映画『二ノ国』主題歌としての書き下ろされた【須田景凪】の「MOIL(モイル)」について、歌詞の意味を徹底的に考察および解説していきたいと思います。
「大人になってしまった」
と嘆く歌詞の背景には、
どのような想いが込められているのでしょうか。
是非、順を追ってお読みください。
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楽曲の基本情報
今回紹介する須田景凪の「MOIL」は、アルバム「porte」の収録楽曲。
ミュージックビデオは、アルバムのリリースに先駆けて配信された実写作品となっています。奇怪かつ不思議な世界観が色鮮やかに描かれています。
個人的に、2番で「花のバルーン」を持つ須田景凪さんにグッときました。バルーン時代の想いも抱え込んで、須田景凪として「大人になって」いこうと言わんばかりではないですか。
また、重要な基本情報があと一つ。
それは冒頭でも述べたように、
映画「二ノ国」の主題歌
であるということです。
映画の為に書き下ろした楽曲とのことですので、楽曲を真に理解していく為には、映画の中身を最低限知っておく必要があります。
どんな映画なのか簡単に紹介していきますね。
アニメ映画「二ノ国」の主題歌!
映画の内容は、上に掲載している本予告動画で概ね把握できると思います。
未試聴の方は、是非視聴下さい。
「俺たちずっと友達だったじゃないか」
というフレーズで始まる予告。これだけでファンタジー性溢れる映画の中に潜む、酷なストーリーを感じることができると思います。
以下が公式サイトで公開されているあらすじになります。
頭脳明晰で、心優しい秀才のユウ。
パスケ部のエースのハル。
そしてハルの恋人コトナ。
同じ高校に通う幼なじみの3人は、かけがえのない親友だった。突然の事件が起きるまでは一ある日突如ユウとハルが迷い込んだ見知らぬ場所、そこは想像を超えた魔法の世界「ニノ国」。
現実(ーノ国)と隣り合わせにある、この美しく不思議な世界で、
2人はコトナにそっくりなアーシャ姫と出会う。どうやらニノ国には、ーノ国と命が繋がっている”もう1人の自分がいるらしい。
アーシャ姫に死の呪いがかけられたことをきっかけに、ユウとハルはふたつの世界に残酷なルールが
あることを知る。二ノ国で尽きるはずの命を救えば、一ノ国の人間がその代償を払うことになるという
のだ。
そして二ノ国ではアーシャ姫が、ーノ国ではコトナが、死の呪いにかけられていた一。
ふたりの彼女、救えるのはひとつの命
アーシャ姫を守りたいユウと、コトナを助けたいハルに突き付けられた残酷なルール、
ふたりが下した《究極の選択)とは一。「愛する人の為に<命>を選べ。」
誰かを救えば誰かが代償を払う。
というルールが残酷すぎますね。
- アーシャ姫を守りたいユウ
- 恋人のコトナを助けたいハル
どのような決断を下すのでしょうか。結末は映画館でチェックですね✔
楽曲名「MOIL」とは
「MOIL」とは
コツコツせっせと働く。
コツコツ仕事をする。
激しく動き回る。
混乱した様子で動き回る。
という意味になっています。
この楽曲名が歌詞の内容と
どう関与しているのでしょうか。
はじめに見解を述べると、「混乱した様子で動き回る」という意味の主張が本楽曲においては強いのではないかと感じています。では、歌詞を見ていきましょう。
歌詞
思い出すのは砂を噛む様な
茹だった焦燥と幼い白昼夢の続き今となってはあの感触も笑えるほど
するり 手からこぼれてしまった故に永遠に無垢を望み
雲間にまた目が向くのは何故大人になった
大人になってしまったみたいだ
左様なら
違う世界に交わる 雲にでもなりたい
明日がいつか 記憶になって
些細な言葉になる前に
今、募るこの想いを
あなたへと伝えたいどんな形で どんな言葉で
どんな明かりで照らせば「あなた無しでは意味がない」
など感情は盲目だ
尚更また膨らむ欠落生きていく度 より鮮明に
胸の底で別れが育つ様な気がした故に懸命に腕を伸ばし
身勝手な光を追うのは何故大人になった
大人になってしまったみたいだ
左様なら
日々の中で揺蕩う 風にでもなりたい
心がいつか 飾りになって
安い空夢になる前に
今、募るこの想いを
あなたへと伝えたい夕凪に世界が身勝手に沈んでも
もう決して目を逸らしはしないだろう
輪郭は段々と曖昧に変わっていく
その様すら愛していたいんだ大人になった
大人になってしまったみたいだ
左様なら
違う世界に交わる 雲にでもなりたい
明日がいつか 記憶になって
些細な言葉になる前に
今、募るこの想いを
あなたへと伝えたいんだどんな形で
どんな言葉で
どんな明かりで照らせば
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歌詞の意味・解釈
前提として
須田景凪は、「MOIL」の歌詞について
「最初に脚本を読ませて頂き、主人公ユウ達の純なひたむきさや、そこに渦巻く想いが色濃く印象に残りました。作品の中で描かれる世界に添えるように、と思い音楽を作りました」
とコメントしています。
映画の世界観にかなり寄り添っていることが分かりますね。これを踏まえたうえで歌詞考察を行っていきます。著者は歌詞全体を通して、主人公「ユウ」の心情が強く滲み出ていると感じました。
1番
思い出すのは砂を噛む様な
茹だった焦燥と幼い白昼夢の続き
白昼夢とは、日中、目を覚ましたままで空想や想像を夢のように映像として見ていること。
思い出すのは~
から綴られる情景は、二ノ国に行く前の2人。
つまり、ユウとハルが純粋に親友だった頃の情景(一ノ国の頃の思い出)が描かれているのでしょう。
今となってはあの感触も笑えるほど
するり 手からこぼれてしまった故に永遠に無垢を望み
雲間にまた目が向くのは何故
しかし「今となっては」純な親友だったのが嘘かのように二人の信頼関係は「手からこぼれてしまった」のです。
この現状を哀しく思っているから、ユウとハルの二人は「無垢」になれることを望んでいます。
無垢とは、煩悩のけがれがなく,清らかなこと。
しかし、二人の思いは行き違える。
- アーシャ姫を守りたいユウ
- 恋人のコトナを助けたいハル
裏を返せば互いにどちらかを犠牲にしようとしている訳です。
後ろめたい気持ちがあるから、両者ともに自分は無垢じゃないと感じているのでしょう。
「雲間」という言葉は、後述するサビで回収されます。
サビ1
大人になった
大人になってしまったみたいだ
左様なら
違う世界に交わる 雲にでもなりたい
明日がいつか 記憶になって
些細な言葉になる前に
今、募るこの想いを
あなたへと伝えたいどんな形で どんな言葉で
どんな明かりで照らせば
「大人になった」
「大人になってしまった」
と、まるで大人になったことを憂うような歌詞が展開されていきます。
「大人」と聞くと何を感じますか?
私個人の意見としては、
「責任」「決断」
といった言葉が連想されます。
そして本楽曲の「大人」もそういった意味を持つのではないかと解釈しました。そう仮説すると
大人になった。
→決断しなけらばならない。
ということになり
大切な人の命を取捨選択しないといけない。
という「二ノ国」の重要なテーマと重なってくるのです。
しかし、こんな大きな決断を下すとすると、心が擦り減ることが必至。
だから
違う世界に交わる 雲にでもなりたい
とある。
これは、一ノ国と二ノ国の中間地点を取りたい。つまり、両者を救いたいという切実な願いが込められているのでしょう。
上の歌詞で「雲間にまた目が向く」とあったのが、まさにここにあたる部分で、苦しい決断から目を逸らそうとする情景が描かれていたことが分かりますね。
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2番
「あなた無しでは意味がない」
など感情は盲目だ
尚更また膨らむ欠落
恋は盲目というように、人間は1人の人間に夢中になってしまうと、他にも大切な物事の本質が見えなくなってしまうものです。
「彼女を救いたい」
とお互いに自分の想い人を優先させようとするユウとハルですが、この二人が争うこと自体が盲目だと言っているのかも知れません。
なぜなら、二人が唯一無二の親友だという本質が薄れてしまっているからです。
生きていく度 より鮮明に
胸の底で別れが育つ様な気がした故に懸命に腕を伸ばし
身勝手な光を追うのは何故
とはいえ、自分の愛する人が命の危機にさらされたとなっては、盲目にならない人間はいないはずです。
「別れ」を肌で感じでしまうからこそ、懸命に互いに大切な人を守ろうとするのです。
身勝手な光
というのはまさに
- アーシャ姫
- コトナ
という、二人にとっての光を指しているのでしょう。
自分の想いを優先させていることを互いに分かっているから「身勝手な光」と皮肉じみた表現が綴られているのです。
サビ2
大人になった
大人になってしまったみたいだ
左様なら
日々の中で揺蕩う 風にでもなりたい
心がいつか 飾りになって
安い空夢になる前に
今、募るこの想いを
あなたへと伝えたい
サビ1と同じようなテイストで綴られていく内容ですが、サビ2の中で注目したいのは「揺蕩う」という言葉。
この「揺蕩う」には
気持ちが定まらずためらう。
心を決めかねる。
という意味があります。
勘の良い方はピンと来ているかも知れませんが
「愛する人の為に<命>を選べ。」
という、残酷なテーマと向きあい葛藤する「ユウとハルの心情そのものを指す言葉」としてぴったりなのです。
3番
夕凪に世界が身勝手に沈んでも
もう決して目を逸らしはしないだろう
輪郭は段々と曖昧に変わっていく
その様すら愛していたいんだ
決断を下した二人の心情
が3番では描かれています。
残酷な世界に苦悩し葛藤した二人でしたが、「もう決して目を逸らしはしない」とあるように、納得のいく「究極の選択」を下したのです。
※究極の選択の内容は映画にて。
輪郭は段々と曖昧に変わっていく
というのは、目に映る世界が朧に映っていることを指していて、下した決断により世界がどう傾こうとも、決して後悔はしないという強い意志が描かれているのでしょう。
感想
いかがでしょうか。
残酷な世界観・ルール、その中で葛藤要素になっている「友情」や「愛情」が登場人物目線で丁寧に描かれていたのではと思います。
須田さん自身、初の映画主題歌ということでしたが、期待を上回る音楽を用意してきましたね。これをきっかけに更に知名度・人気度が向上することは必至でしょう。
また一部では「第2の米津玄師」と皮肉な意を込めて騒がれていますが、他楽曲も含めしっかり視聴して頂きたいなと思います。米津さんには米津さんの、須田さんには須田さんの光る部分があるわけですから。
【須田景凪/MOIL】
歌詞の意味の解釈でした!(‘ω’)
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