知らず知らず落ちてく王様
誰も手を取りゃしないわ
最低ね 立ち去った雄鳥はね
塵一つ残さず
主人公と関係をもったことで、知らず知らず足を足を踏み外した貴方。
きっと誰も助けてはくれないし、そのまま落ちて行けばいい。そんなことを主人公は望んでいます。
しかしそんな彼女の願いもむなしく、彼は立ち去って行ってしまうのです。
立つ鳥跡を濁さず。夜が明ければ、彼女のもとに塵の一つも残すことなく妻の元へ。
最低ね。
一人取り残された主人公は失意の底に沈んでいきます。
サビ2
ベクターフィッシュ
貴女に出逢えて幸せなんて気障なことを
言えない 自称演技派のちゃちな眼が泳ぐ
陳腐な言の葉に包む
白く濁る水槽に沈む心を
見ないで 笑って
過不足な日々の愛を独りきりで慰めたの
ここで「貴方」ではなく「貴女」という呼称が登場します。
「貴方」と異なり「貴女」は女性を指す言葉なので、これは明らかに彼とは別人。流れから察するに、「貴女」は貴方の妻のことではないでしょうか。
本当は不倫相手の妻に「貴方に出逢えて幸せ」なんて嫌味をぶつけたい主人公ですが、ここでの彼女は彼が妻のもとに戻ってしまうことに明らかに動揺しています。とても憎まれ口をたたく余裕なんてありませんでした。
ただ関係だけ持って立ち去られて、ぐちゃぐちゃに乱された彼女の心。
貴方に渡すこともこともなくただ溜まっていく愛を、彼女は独りきりの夜に自ら慰めることしかできないのでした。
3番
吐き倦ねた
嘘の行方
メロディの最高峰と
最底辺
連れてってよ
奪い去ってよ
彼が去ってしまったことで底辺まで堕ちきることもできず、かと言って今更普通の恋を始めることなんかできない。
どうせなら私を最底辺まで連れてってよ。
私からすべてを奪い去ってよ。
中途半端な立場に立たされる主人公はそんなどうしようもないことを熱望しています。
もう共に夜を過ごした貴方を忘れることなどできずにいるのです。
ラストサビ
ベクターフィッシュ
貴方に産まれて欲しくなかっただけなのよと
笑って 萎びた(しなびた)鱗のような頬濡れて
貴方に貴女に 奪われ迎えた結末を赦すの
笑って 横たう服の死体に 熱を乞うの
願って 戻らない熱を知って 朝が来る
他の女と愛し合う貴方に置いていかれた彼女は、一人涙を流しています。
笑って脱ぎ捨てられた服に熱が戻ることを願う。しかしそこに貴方の体温が戻ってくることなんてありません。
ベクターフィッシュに置き去りにされた女の恋の歌。
アダルトな雰囲気を纏いつつも、切ない香りが残る一曲でした。
感想
感染症を運ぶ魚のように、複数の女性と重なり合う男性に振り回される一人の女性の歌。
【ベクターフィッシュ/THE BINARY】
歌詞の意味の解釈でした!
スポンサーリンク
コメント