2番
ねえ弄ぶにもエチケットを
狡猾な罠で釣ってはいけません
礼を欠いといて即駆け引きしないで (ジーザス)
疑心暗鬼に陥った人間の視点から帰還し、2番では再び冷静な立場に。
ここでは好き勝手自分をもてあそんでくる他人に対し、そこにも礼儀作法があるでしょうが、と苦言を呈します。
人にはそれぞれ都合や主義主張があるでしょうから、自分が弄ばれる形になることはまあ甘んじて受け入れるけれど、最低限マナーを守ってもらわないと健全な関係にならないだろう、と。
楽曲で模索されているのは「異なる都合を抱える人間同士がいかに差し障ってゆけるか」。
互いに立場の違いで傷つけ合うことになることはあっても、その在り方をどうしていくかを歌っているのです。
じゃ一回出会い直してよ悍ましき
あの一切合切葬ってよずっと新しく
感じてるでしょうお互いの
相乗効果欠陥を美点として動かせる凸凹なんだと
だったら抱えている異なる都合を一回消し去って真っ新にしてしまおう、とここで提言されます。
ドラマの世界に置き換えてみれば、それは殺人事件の「容疑者の娘」と「被害者の息子」である、という二人の主人公の忌まわしき過去のことでしょう。
でもそんな都合を排除してしまえば、二人はただの血の通った人間同士に過ぎないのです。
そこで新たに出会えれば、価値観の相違や欠点なんてものは補いあう凹凸であって仲良くやっていけるはず。
「とにかく人間同士、上手く差し障っていきましょうや」という協調的な姿勢がこの楽曲のスタンスなのです。
サビ2
大嫌いの原理も大好きの法則さえも
まったく逆なんて却って貴重です
結果倍/自乗倍網羅し両者の情動を
分かち合いたい覚えていたいです
主義主張が全く異なって、分かり合えない人間だって当然世界には存在します。
でもそれって逆に貴重なことなんじゃないか?
そんなことがここで語られています。
自乗はある数の2乗のこと。
ふたりの全然違う価値観を重ね合わせれば、倍、あるいは自乗倍のもっと広い範囲を網羅できるはず。
色んな情動を分かち合えるはず。
それはきっと素敵なことでしょう。
抱える都合や価値観の相違で争うなんて、以っての他なのです。
∵私たちは生きている
脅威を吸い込んでいま
本音と建前とを一緒くたに
人生に保証はないもの
欲していたいよ万事を恋い慕いたい
必要火急です
早よう捕まえさせて
いつも変わっていきたい
「∵」は「∴」(故に)と同じく学術記号で「何故ならば」という意味。
楽曲中では「だって」と読まれます。
争い合うくらいなら全く異なる都合を抱える相手とも情動を分かち合いたい。
∵何故ならばそれは「私たちは生きているから」です。
私たちはこの世界で同じように生きているから。
世界を見渡してみれば、コロナが蔓延し不要不急が叫ばれています。
他にも解決しなければならない課題は山積み。
ドラマの世界でも、殺人事件の真犯人はわからぬままです。
そんな中、同じ目的を持つ私たちが争い合うことなどなんとも馬鹿らしいこと。
だからこそ争いは辞めて仲良くやろうとこの曲では歌われているのです。
1番のサビでは信じるか疑うかで揺れ動き「捕まえて」と願う人物の視点でしたが、今度は転じて「捕まえる」立場に。
もう信じる・信じないとかはいいから血の通った人間同士仲良くやっていこうよ、と訴えかける立場になっています。
もう本音も建前も一緒くたにして、全てのものを恋い慕おう。
争いなんかやめて、異なる都合を抱える人間も上手くやっていこう。
共通の問題を抱える今、これは不要不急なんかじゃなく、必要火急の事態なのです。
感想
「血が通ったもの同士目的は同じようなもの、同盟の様なものだから仲良くやろうや」というミュージックステーション出演時の椎名林檎さんのコメントのまさにその通り、人間同士協力し合う「赤の同盟」を願った曲であるように感じました。
【東京事変/赤の同盟】
歌詞の意味の解釈でした!
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