【PEOPLE 1(ピープルワン)】の「常夜燈」について、歌詞の意味を徹底的に考察および解説していきたいと思います。
✔ 今大注目のバンド ・PEOPLE 1
✔ 俯瞰的で抽象的な歌詞の世界観
当サイトが今最も注目している新人バンド・PEOPLE1。彼らの美しい楽曲を丁寧に考察いたしましたので、是非最後までお読みください…!
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謎多きバンド・PEOPLE 1
今回紹介していく「常夜燈」はバンド・PEOPLE 1が2020年7月に配信リリースを開始した楽曲。
その印象的なサウンドはネットを中心に話題を呼んでおり、世間の認知度は決して高いとは言えないものの公開されたMVは2か月足らずで50万再生を突破しています。
語弊を恐れずに言えば、いわば知る人ぞ知る名曲というやつです。
PEOPLE 1は2019年末に活動を開始したバンド。
記事執筆時点ですでに1枚のEPと2曲のシングルが配信されていますが、メンバーの人数やバンドの構成など、未だその一切が明かされていない謎多きアーティストです。
しかしながらYouTubeの広告をきっかけとして耳の早いリスナーから絶対的な支持を集めており、中毒性抜群かつ鮮烈な音楽は瞬く間に人気を拡大中。
今後の動向に大きな注目が集まっています。
公開された楽曲はどれも最高に美しいものばかり。必聴です。
さっそく歌詞を見ながら楽曲「常夜燈」の魅力を紐解いていければと思います。
キャッチーな歌メロと不安定で挑戦的なメロディ、可愛らしいアニメーション。
まだ楽曲を聞いたことのない方は、是非一度MVを覗いてみて下さい…!
歌詞
天国に学校はあるかしら
ふらつく足で見つけたのは古い映画の悲しい結末皆は君の君は神様のせいにする
その神様の歌声は今じゃよくあるコンビニの放送みんな優しさを受容してそっと心に釘を打つの
期待はずれの夜を抜けてこの世界には未来がキラキラとみえる人もいるというの
それならば食えぬものなど置いていかなくちゃ
例えばこんな胸の常夜燈も才能って一体何だろうね
ブランコを漕ぐみたいな日々が何気なく君に色を差すいつか大人になるならば
忘れたことも思い出そうそんな努力もしてみようそんな些細な妄想で胸の爆弾は軽くなるの
先延ばしの朝を迎えてこの世界では人をだましたりモノを盗んではいけないというの
それならば欲しいものなど君にあげるよ
例えばこんな胸の常夜燈もこの世界には未来がキラキラとみえる人もいるというの
それならば食えぬものなど置いていかなくちゃ臆病な自尊心に匿われて目覚めたのはあの頃の僕らだ
いつか大人になるのならば欲しい物など君にあげるよ
例えばこんな胸の常夜燈も
歌詞の意味・解釈
1番
天国に学校はあるかしら
ふらつく足で見つけたのは古い映画の悲しい結末
とっぴな問いかけによって幕が上げられる1番ですが、歌われているのは漠然とした《生き辛さ》であるように感じます。
この世界で生きていくというのは決して楽しい事ばかりでなく、辛い事や悲しい事だっていくつもあるでしょう。
それでも歩き続け、ふらつきながら辿り着いたのはいつか見た映画のような悲惨な結末。
「天国に学校はあるかしら」
悲しい現実から目を背けて、死後の世界を想像して、なんとか気を紛らわす。
そんな様子が描かれているのではないでしょうか。
かなり漠然としたテーマで未だ全容を掴めないので、次の歌詞を覗いてみます。
皆は君の君は神様のせいにする
その神様の歌声は今じゃよくあるコンビニの放送
「映画の悲しい結末って一体なんだったんだろう」なんて考えてそのヒントを求めていると、楽曲はまた別のことを歌い始めます。
”神は死んだ” なんて言われるようになった現代。
まして無宗教のこの国で、昨今よく目にするようになったのは音楽家を神格化するような風潮です。
「あのミュージシャンは神だ」なんて呟きを見かけるのは日常茶飯事。
しかしそんな音楽家はかつての神と比べればはるかに小さな存在です。
別に世界を作ったわけでもなければ大地の恵みを与えてくれるわけでもない。
空から見守っているわけでもなく、コンビニの放送で流れてるくらいの身近な存在。
責任転嫁するにはあまりに小さくて、結局のところ全部自分で責任を背負って生きなきゃいけない時代なんだな……なんてことを考えさせられたりもします。
これまた抽象的な歌詞ですが、見方によっては先ほどの歌詞と同じく《生き辛さ》を歌っているものだと解釈できるでしょう。
どこか常に俯瞰的な視点で世界を捉えていて、一部分だけを切り取ってみると曲のテーマを掴むことができず、じゃあヒントを探してみようと前後の歌詞を覗いてみるとまた別のことを歌っていたり。
PEOPLE 1の楽曲の歌詞の大きな特徴は、その輪郭を掴めない独特の浮遊感にあるような気がします。
みんな優しさを受容してそっと心に釘を打つの
期待はずれの夜を抜けて
またもや話題は変わり、楽曲の核心は掴めないまま。
恐らくツインボーカルで、歌声までもが変わります。
しかしながら歌われている内容のベクトルは先ほどまでと大きくは変わっていません。
優しさを受容するということはつまり、自分も他人に対して優しさを提供しなければならないということ。
決して独りよがりではならず、隣人のために時に欲求を捨てなければなりません。
心に釘を打つ期待外れの夜。鬱屈とした雰囲気です。
サビ1
この世界には未来がキラキラとみえる人もいるというの
それならば食えぬものなど置いていかなくちゃ
例えばこんな胸の常夜燈も
ここで歌詞はやや主観的に。
「この世界には未来がキラキラとみえる人もいるというの」
僕らにはそうは見えないけど。そんな言葉が後ろに見え隠れしています。
タイトルにもなっている「常夜燈」は一晩中つけておく明かりのこと。
温もりのあるポジティブな単語であるように感じますが、それが「食えぬものなど置いていかなくちゃ」というネガティブな前置きと同居していることには違和感を覚えてしまいます。
しかしこんな風に解釈できるのではないでしょうか。
こんなに生き辛い世の中でも、まだ未来に希望を抱いている人がいるらしい。
僕らにはそうは思えないけれど、きっと僕らにできることはそんな人たちに光を灯してあげることだ。
僕らには何の生活の足しにもならない光でも、誰かを優しい気持ちにするかもしれない。
自分は未来を諦めている、そんな立場から放たれる最大限の明るい歌詞。
ここまでのやや鬱屈とした歌詞の中にも、大衆音楽としてのオプティミズムが息づいているのです。
2番
才能って一体何だろうね
ブランコを漕ぐみたいな日々が何気なく君に色を差す
2番では1番のサビで見えた希望の光が、より大きなものになっていきます。
「才能って一体何だろうね」
そんな言葉にはどこか苛立ちや焦りといった感情が見えてきますが、前に進んだり後ろに下がったり、喜怒哀楽せわしない日々が何気なく君に色を指すだろう、という流れはかなり前向きなもの。
相変わらず俯瞰的な視点でありながら、明るい想像を巡らせています。
いつか大人になるならば
忘れたことも思い出そうそんな努力もしてみようそんな些細な妄想で胸の爆弾は軽くなるの
先延ばしの朝を迎えて
「いつか大人になるならば」
「常夜燈」という楽曲は、大人になることをどこか悲観的に捉えています。
後の歌詞でも《大人になる》というワードが登場しますが、ニュアンス的には「子供の頃の純真な心を失ってしまう」というような意味合い。
「食えぬものはいらない」みたいな少々冷めた考え方をもっている楽曲の視点自体も、かなり大人的なものであるといえるでしょう。
「そんな些細な妄想で」
この一文で2番のこれまでの歌詞は一蹴されます。
日常が君に色を指すとか、大人になる前に忘れたことを思い出すとか、そんなのは些細な根拠のない想像なんだ、と。
しかしそれで胸の爆弾が軽くなるんだからそれでもいいじゃないか。
ここでの歌詞はかなり前を向いています。
たとえ本当の意味で辛い日々が終わらなくても、嫌なことを先延ばしにすれば夜明けは訪れる。
未来に希望を抱いていなくとも、生きることを肯定しようとする彼らの姿勢が見えてくるような気がします。
2番のサビでも1番同様のスタンスで前向きな歌詞が唄われていきます。
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コメント
本人によるとこの曲はPEOPLE1なりの幸せについて語った曲らしいですね。