【まつり】の「演技で染めた二人の日々に」について、歌詞の意味を徹底的に考察および解説していきたいと思います。
✔ まつりが描く生々しく切ない恋愛情景
✔ タイトルが増幅させる本楽曲の切なさ
新世代シンガーソングライターまつりが描く生々しくて切ない恋愛ソング。本人のコメントとともに楽曲を深堀りしていきます。
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マンネリ化した恋人とのリアルな生活感
今回紹介していく「演技で染めた二人の日々に」は、2023年第1弾シングルとして2月22日にデジタルリリースされた楽曲。
平易な盛り上がりとともに、優しい低音ボイスが心に染みる本楽曲では「長く付き合っていてマンネリ化した恋人とのリアルな生活感」が歌われていく。
作詞作曲を努めたまつりさんは
「彼女は内気な性格で、浮気をされているのを察してはいるけど気付かないふりをして別れずにいつも通りの生活を送っている」という、もどかしい関係を表現しました。この曲と同じような状況の人の支えになれればと思います。
と楽曲についてコメントを残しています。
【浮気されているけど気付かないフリをしている】
そんなもどかしくも歯痒くもある状況の中を続けていく彼女の心情。切なさと淡い期待が混じりあうリアルな感情に共感するリスナーは多いのではないでしょうか。
個人的には「演技で染めた二人の日々に」というタイトルも本楽曲の切なさを助長させているなと。ここについても下の歌詞解説で触れていきます。では一緒に歌詞を見ていきましょう。
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歌詞
あなたの側に居れる自信がないの
今の私に何が出来るかな
少しでもまだ信じていたかったな
あなたの好きをまだ感じていたいの私が嫌いになりたいあなたは
今日も柄じゃなくヘアセット
鏡越しに笑ってた平気なフリをしているの
あなたの前では演技しかできないのよ私
本当はあなただって気づいてるんでしょ
惨めだよね、こんなのいつかまたあの幸せだった2人に
戻れるかななんて思ってた
私の気持ちとはちょっと違うみたい
会えない日々が続いてたこのまま終わってしまうのかな
なんて考えて
2人の写真も消していった平気なフリをしていたの
あなたの前ですら何も言えないのよ私
本当は少しだけど信じていたの
期待なんて しないけど平気なフリをしているの
あなたの前では演技しかできないのよ私
本当はあなただって気づいてるんでしょ
惨めだよね、知ってるよ貴方って最低ねほんと。
作詞:まつり
歌詞の意味・解釈
1番
あなたの側に居れる自信がないの
今の私に何が出来るかな
少しでもまだ信じていたかったな
あなたの好きをまだ感じていたいの
歌い出しで綴られていくのは
- 自己肯定感が低くなっていく彼女の心情
- あなたに寄せる淡い期待
浮気されている状況なのに相手に伝えることができない。
この異を唱えたい状況の答えが<あなたの好きをまだ感じていたい>といった歌詞に集約されています。
伝えれば終わっちゃいそうな関係で、自分ではどうしようもない状況だからこそ<あなたのことを信じる>といった形で表面上の二人を継続させていく。
私が嫌いになりたいあなたは
今日も柄じゃなくヘアセット
鏡越しに笑ってた
Bメロで描かれていくのは、他の相手に会うための用意をするあなたの姿。
<今日は>はじゃなくて<今日“も”>なんですよね。連日続く浮気とそれに耐えている彼女を連想させる。
そしてそれでも<嫌いになり“たい”>という感情におさまってしまう歯痒い切なさ。彼女のことを考えずに鏡越しに笑うあなたが彼女の悲しみをより一層引き立たせています。
決して長く語られたメロディではありませんが、繊細な表現技法ゆえに生々しい切なさが心に染みていくるのではないでしょうか。続くサビを見ていきましょう。
サビ1
平気なフリをしているの
あなたの前では演技しかできないのよ私
本当はあなただって気づいてるんでしょ
惨めだよね、こんなの
サビでは<あなたの前で演技しかできない彼女>が描かれていきます。
歌詞解説の前に筆者は「演技で染めた二人の日々に」というタイトルにも切なさが含まれていると言いましたが、あくまでこの曲のフォーカスは「二人」なんですよね。
- 浮気されて悲しい私
- 浮気して最低なあなた
そのどちらかに限局するのではなく「二人の空気感」を描き続けている。まだ個々じゃなくて二人として認識しているのです(後に続く2番では2人といった単語が頻発する)。彼女が抱く未来への僅かな期待が切なさを増幅させます。
そして同じ「演技をしている」でも
- 浮気を隠す演技をしているあなた
- 浮気に気付かないフリをする私
では温度感が全く違う。タイトルを見ただけだと「演技をし合っている二人」なのですが、実際のところ「あなたの演技(嘘)のせいで演技するしかない私」であり、一括りにされたくないようなものなのです。ここももどかしく切ない。
また気付かないフリの私に気付かないフリをしているあなたを彼女は感じており、繰り返される演技の応酬は「演技で染めた」というタイトルを映しています。
2番
いつかまたあの幸せだった2人に
戻れるかななんて思ってた
私の気持ちとはちょっと違うみたい
会えない日々が続いてたこのまま終わってしまうのかな
なんて考えて
2人の写真も消していった
2番では「心を擦り減らしながら別れを予感する彼女」が描かれています。
いつかまたあの幸せだった二人に…
そう願いつつも叶わないことはどこかで確信しており、会えない日々の中で彼女は別れの覚悟を徐々に固めようとするのです。
どうせ別れるから二人の写真を消していく。
彼女の行動は「彼に対する吹っ切れ」を連想させますが、「消した」ではないところが歯切れの悪さとともに未練を表しています。心と一致しない行動が楽曲のもどかしさをより際立たせる。
サビ2~ラストサビ
平気なフリをしていたの
あなたの前ですら何も言えないのよ私
本当は少しだけど信じていたの
期待なんて しないけど平気なフリをしているの
あなたの前では演技しかできないのよ私
本当はあなただって気づいてるんでしょ
惨めだよね、知ってるよ貴方って最低ねほんと。
最後の最後まで彼女はあなたに何も言えず、楽曲の物語は幕を閉じていきます。
<本当は少しだけど信じていたの>
期待しないなんて言いながらも、どこかで希望を捨てきれない彼女は結局最後まで現状維持を選んでしまう。<貴方って最低ね>とまで感じているのにそれすらも伝えることができない。言ってしまえば全てが終わりそうだから。
演技で染めた二人の日々は、終わりに近づきながらも続いていくのです。
感想
本楽曲「演技で染めた二人の日々に」では、演技をする関係になってしまった二人の、生々しくも切ない空気感が描かれていました。
何も言えない彼女。それが最後まで変わらない結末は「彼に対する思い入れの強さ」や「彼との楽しかった過去」を象徴しており、いっそう切ない曲として成り立たせているなと。
そして歌詞の内容に加えて、まつりさんの包み込むような優しい歌声がさらに胸を締め付けてきますね。これ同じような境遇の方はかなり感極まったのではないでしょうか。
本楽曲が心に刺さった方は「縋った恋に、サヨナラを。」をはじめとする、まつりさんが描いてきた他恋愛楽曲もおすすめです。ぜひ一度視聴してみてください。
【まつり/演技で染めた二人の日々に】
歌詞の意味の解釈でした。
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