2番
Yeah, yeah, yeah
学歴も無い前科も無い余裕で Bling-bling
この存在自体が文化財な脳味噌 Bling-bling
高級車は買える免許は無い愛車 Green, green
全国各地揺らす逸品
このベロが Bling-bling
1番はアニメOPで流れることもあり、作品に世界観に近い歌詞になっていましたが、2番の歌詞はCreepy Nuts、というかR指定さんに焦点を当てた内容になっています。
《学歴も無い前科も無い余裕で Bling-bling》
学歴は高卒で特別優れているわけでもない。かといって不良でもないから、HIP HOPの世界では名誉として扱われる犯罪歴もない、自称落ちこぼれ的な経歴。
さらに言えば、R指定さんは免許を持っていないし、特段ジュエリーにも興味が無いので、HIP HOP界で成功の象徴とされるようなbling bling(ド派手な宝石)はほとんど身に着けていません。愛車は電車のグリーン車。多くの場合、黒シャツ一枚というbling blingの欠片も無い服装が彼の基本スタイルです。
《この存在自体が文化財な脳味噌 Bling-bling》
しかし、何の経歴も目立つ装飾もなかったのに、誰よりもHIP HOP界隈で輝いてしまうしまうR指定という人間そのものが、文化財であり【bling bling】なのだとここでは表現されています。
《高級車は買える免許は無い愛車 Green, green》
R指定さんは過去に客演で参加したAK-69さんの楽曲「Speedin’ 」にて、他のラッパーが自身の成功を高級車になぞらえて表現する中で《教習所あがり共にゃ理解不可能な俺のハンドル捌き》《誰もがお見それしましたと
唸るこの天賦の口車 俺は無免許 ここまでテクで来た》といった強烈なパンチラインを残していましたが、今回のリリックもそれに近いものを感じます。
「耳無し芳一Style」の中でも《俺にはタトゥーいらない 重てぇブリンブリンも無いのに誰よりも目立ってまう この耳無し芳一Style》というリリックがありました。
ブリンブリンなんかよりも、自分という存在が成功の何よりの証。
そこらのラッパーがこれを言ったら「いや何言ってんだよ」となるのが目に見えていますが、R指定さんの場合実績が伴いすぎているので誰も口を挟む余地がありません。まさに《反則的立ち位置》です。
バレットなら満タン
関西訛り生身のコトダマ
音楽、幸運、勝利の女神、今宵も三股 Bang bang
漫画みたいな輩とまんまで張りあえてしまってる漫画
圧倒的チカラこの頭と口から
この歌詞では「bling-bang-bang-born」というフレーズの「bang」の部分が説明されています。
「Bang bang」は一般には拳銃を撃つ際の擬音ですが、スラング的に「性行為」の意味で用いられることもある言葉です。
よってこの部分の歌詞は、「バレットなら満タン」→「生身のコトダマ(言霊+弾のWミーニング、バレットから連想)」→「今宵も三股 Bang bang(拳銃の音+性行為のWミーニング)」という連想ゲーム的な言葉遊びになっています。
さらに「満タン」「コトダマ」「三股」「Bang bang」「漫画」「輩」「まんま」というように、[a-a] の韻で綺麗にまとめられているのがもはや恐ろしいです。
《漫画みたいな輩とまんまで張りあえてしまってる漫画》
全身Tatooでムッキムキのイカついヤツや、薬物の逮捕歴なんか当然のようにあるヤツ、少年院上がりのヤツなど、ヤンキー漫画からそのまま出てきたような奴らと対等に生身でやりあえてしまうR指定さんもまた、間違いなく漫画のような存在です…
この身体 Tattoo は入って無い
このツラに傷もついて無い
繰り返しやらかしてくダメージが
イカつい年輪を刻む皺
Bling-bang-bang, bling-bang-bang, bling-bang-bang-born
俺のままで Blingして Bangして Bangする為に Bornして来たニッポン
前半の《この身体 Tattoo は入って無い》から続く歌詞は、「マッシュル-MASHLE-」の世界観とR指定さんを重ねた超巧みな歌詞になっています。
マッシュルの世界では魔法が使えるものは生まれつき顔に線上のアザができ、その本数が基本的に魔力を表します。魔法が支配する世界なので、魔力の強さ=社会的地位であり、魔法が使えないマッシュにはこの傷のようなアザがありません。
一方で、元々不良の文化であるHIP HOPカルチャーにおいても、いかにその不良の世界で力を持っているかは重要な評価材料です。体中にTatooの傷が入っているイカついラッパーも珍しくないし、喧嘩で傷の一つや二つあった方が箔が付くというもの。そんな中で、別に不良ではないR指定さんにはTatooも傷もありません。
このように、「傷(アザ)」がある種名誉とされる世界で、それを持っていないのにも関わらず大暴れしているマッシュとR指定さんを、完璧に重ね合わせたのがこの部分の歌詞なのです。
《繰り返しやらかしてくダメージが イカつい年輪を刻む皺》
この歌詞は直前の歌詞を受け、「顔に傷はないけどイカついシワならある」という歌詞であると同時に、脳のシワに言及したものであると思われます。俗説では「脳のシワが多いほど頭がいい」とされているため、「顔に傷なんか一つもないけど頭の回転では誰も俺に勝てない」というメッセージが暗示されています。
余談ですが、この「脳のシワが多いほど頭がいい」という噂は、近年の科学では誤りとだといわれています。
《俺のままで Blingして Bangして Bangする為に Bornして来たニッポン》
この部分のリリックが「bling-bang-bang-born」というフレーズの意味に当たる部分でしょう。
ここまでの歌詞を総合して考えると、【俺のままでいるだけでbling bling(ド派手な宝石)を身に着けているくらいの存在感を放って、銃弾のようなコトダマで音楽、幸運、勝利の女神を毎晩Bang Bang(抱く)するために日本にBornした(生まてきた)】というボースティングが込められた呪文こそが、「bling-bang-bang-born」という世界を席巻中のフレーズなのです。
まとめ
魔法が全てを支配する世界で、生身の人間が、その身一つで全てを蹴散らしていく。
そんな「マッシュル-MASHLE-」のストーリーと、Creepy NutsのHIP HOPにおける立ち位置が余りにも完璧に重なった、誕生すべくして誕生した名曲「Bling-Bang-Bang-Born」。
ラッパー、DJとしての絶対的な実績と、ラジオやテレビで築いた圧倒的な知名度。
「音楽活動に集中したい」という理由でメディアへの出演を昨年からセーブしている二人ですが、それから程なくして今回の楽曲で世界的大ヒットを飛ばしてしまったのですから、有言実行過ぎてもう誰も手を付けられません。
まさに「反則的立ち位置」のCreepy Nutsの、今後の活動に大注目です。
【Creepy Nuts/Bling-Bang-Bang-Born】
歌詞の意味の解釈でした!
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