【Aimer(エメ)】の「茜さす」について、歌詞の意味を徹底的に考察および解説していきたいと思います。
✔ 別れを歌った儚く切なすぎる歌詞
✔ Aimerさんの表現の美しさ
大切な人との別れを経験した全ての人へ。是非最後までお読みください。
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楽曲の基本情報
今回紹介していく「茜さす」は2016年11月発売の楽曲で、アニメ『夏目友人帳 伍』エンディングテーマ。アニメの世界観も相まって、感動的なエンディングで涙する人も多かったようです。
出会いと別れ。その美しさと儚さを描いた切なすぎるバラード曲。
アニメの視聴の有無にかかわらず、「別れ」の痛みを知る人間なら誰しも心揺さぶられる楽曲と言っても決して過言ではないでしょう。
2020年4月9日に、AimerさんのYouTubeチャンネル登録者100万人突破と新曲のオリコン週間デジタルシングル1位を記念して、今楽曲のMVが公開されています。まだご覧になっていない方は是非。
楽曲名「茜さす」とは
「茜さす」とは本来和歌の枕詞で、
- 茜色に照り映える(日)。
- 照り映えて美しい(君)。
といった意味があります。
枕詞は必ず特定の語句の前に置かれる言葉で、本来は()内の言葉とセットで使われる言葉。
しかし今楽曲ではそのような表現が見られないことから、枕詞ではなく単に「太陽が茜色に照り映える」といった意味で用いられているようです。
夕日差し込む美しい情景が目に浮かんできますね。
この楽曲名が歌詞の内容とどう関与しているのでしょうか。
早速歌詞を見ていきましょう。
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歌詞
枯れ葉舞う町角を 駆け抜けてく乾いた風
伸びた影とイチョウ並木 季節を見てたかった返事のない呼ぶ声は あっという間 かき消されてしまう
目抜き通り 人波抜けて どこか遠く 誰もいない場所へ気付いていたのに 何も知らないふり
一人きりでは 何もできなかった出会えた幻にさよならを 茜さす この空に
零れた弱さに手のひらを 一輪の徒花 そんなふうに
願い叶え 痛みを知る渡り鳥の鳴く声も 赤く染まる雲に消えてしまう
帰り道も遠く離れて 今は一人 誰もいない場所で気付いた景色の色にふれたとしても
一人きりでは 声も出せなかった愛した幻に口づけを 黄昏れた この空に
まだ夕べの星灯らない 待ち宵も朧げ 月は何処に
引き裂かれて 痛みを知るくり返す日々の中で探してたのは
歩き続けるための願い出会えた幻にさよならを 憧れは この空に
流れた月日を手のひらに 一片の花弁 そんなふうに
痛み重ね 出会いを知る出会い重ね 願いを知る
作詞:aimerrhythm
歌詞の意味・解釈
1番
枯れ葉舞う町角を 駆け抜けてく乾いた風
伸びた影とイチョウ並木 季節を見てたかった
秋を思わせる寂しげな情景描写から楽曲はスタート。
「伸びた影」とあることや曲名「茜さす」からわかるように、時間は夕暮れ時のようです。
燃え盛るような夏が終わり訪れる悲しみの季節・秋の中でも、最も寂しさを感じる夕暮れ時。この季節・時間の描写だけでも、どことなく楽曲の切ない感じが伝わってくるような気がします。
返事のない呼ぶ声は あっという間 かき消されてしまう
目抜き通り 人波抜けて どこか遠く 誰もいない場所へ
返事のない呼ぶ声。ここで、楽曲の主人公が経験したであろう「別れ」の存在が暗示されています。しかしながら、夕暮れ時の切ない雰囲気のおかげで心なしか「衝撃的な悲しみ」というよりは「しっとりとした哀しみ」といった印象を受けますね。
返事がないとわかっているのに別れた相手の名を呼んでしまう。別れをまだ受け止められていない主人公は、人目を避けるように誰もいない場所へと歩いていきます。
悲しい出来事を受け入れるために誰もいない場所へ。誰もが一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
気付いていたのに 何も知らないふり
一人きりでは 何もできなかった
本当は「別れ」に気付いているのに、何も知らないふり。主人公は気づかないふりをして、悲しみをやり過ごそうとしているようです。
しかし、一人きりでは何もできなかった。
例え気付かないふりをしていようとも、「一人では何もできない」という状況が「大切な人との別れ」という残酷な現実を突きつけてくるのです。
サビ1
出会えた幻にさよならを 茜さす この空に
零れた弱さに手のひらを 一輪の徒花 そんなふうに
願い叶え 痛みを知る
出会えた幻にさよならを。
別れた人物をすぐに消えてしまう「幻」としてとらえることで、「出会いと別れ」という出来事の儚さが美しくも描かれています。
「一輪の徒花」の「徒花」とは「咲いてすぐに散る儚い花」のこと。
花が美しく咲き誇り、すぐに散っていくまさにそのように、「出会い」という奇跡の様な出来事に喜びを覚え、必ず訪れる「別れ」により私たちは痛みを知るのです。
「出会いと別れ」は一輪の徒花のように儚い刹那的なもの。そう教えられているような気がします。
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2番
渡り鳥の鳴く声も 赤く染まる雲に消えてしまう
帰り道も遠く離れて 今は一人 誰もいない場所で
渡り鳥のなく声も消えてしまう。もちろん「返事のない呼ぶ声」も、誰に届くでもなく消えていきます。
帰り道も遠く離れて。人通りの多い目抜き通りにとどまらず、いつも通っている帰り道すらも遠く離れて、主人公は一人きりになれる場所へと行き着くのでした。
多くを語らない日本語の美しさがここに感じられますね。
気付いた景色の色にふれたとしても
一人きりでは 声も出せなかった
普段は来ることのない、誰もいない場所で見た景色の色。
しかし、主人公は「綺麗だね」なんて言葉も口にすることはできませんでした。彼の隣には、今までは当然いたはずの感動を共有できる相手はもういないのです。
景色の色に触れ、気づかないふりをしていた「別れ」に気付かされる。この世界は時に残酷です。
サビ2
愛した幻に口づけを 黄昏れた この空に
まだ夕べの星灯らない 待ち宵も朧げ 月は何処に
引き裂かれて 痛みを知る
「待ち宵」は恐らく「待宵」のことで、「訪れるはずの人を待つ宵」のこと。
星はまだ灯らず、月も見えない朧げな夕闇。
主人公の不安定な心境を描写していると同時に、「訪れるはずの人」などもういない、訪れることなどないのだと暗に現実を投げつけているようにも思えます。
出会い、引き裂かれてその痛みを知る。
「月は何処に」という歌詞が、救いを求める主人公の想いを代弁しているような気がして胸に刺さります。
3番
くり返す日々の中で探してたのは
歩き続けるための願い
どうか幸せでありたい。大切な人とともに時を過ごしたい。
毎日繰り返されていく日々の中で私たちは出会いと別れを繰り返しながら、そんな当たり前の願いを探し続けています。
何もしなければ月日など無味無臭。一人きりでは抱く希望もありません。
大切な人のために心から願える、そんな生きる意味を感じられる時間を探し求めて人間は今日も誰かと出会い、また別れを経験していくのでしょう。
ラストサビ
出会えた幻にさよならを 憧れは この空に
流れた月日を手のひらに 一片の花弁 そんなふうに
痛み重ね 出会いを知る出会い重ね 願いを知る
咲き誇っては散っていく一片の花弁。
そんなふうに人間は出会いと別れを繰り返し、別れの痛みを積み重ねていきます。
永遠に別れが訪れなければ、それは「出会い」ではありません。
人間は別れの痛みを知り、はじめてそれが出会いであったと知るのです。
出会いを積み重ねて初めて、生きる意味を見出すことができるのです。
どうしようもなく儚く、だけどどこか美しい出会いと別れ。
それは決して無意味なものなんかじゃない。そう思わせてくれる楽曲です。
感想
出会えた幻にさよならを。一片の花弁のように、儚く美しい楽曲でした。
今楽曲がEDテーマとなっているアニメ『夏目友人帳』では、毎回妖と人間の刹那的な出会い、そして別れが繰り返されていきます。
アニメの世界にこの上なくマッチしたエンディング。視聴者が涙を流すのも納得です…
【Aimer/茜さす】
歌詞の意味の解釈でした!
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