2番
何もしないのは 傷つきたくないってことだろう
もっとじたばたして かっこ悪くたって良いじゃないか
同じことを何度も言うようで申し訳ないのですが、2番の歌詞も非常にポジティブです。
「周りに合わせるよりはマシだから」とかではなくて、《かっこ悪くたって良いじゃないか》。
何もしないで授業を受けてる人たちは自分の意志で選んでいるというより、傷つきたくないからそうしてるだけだろう。
むしろプールに飛び込んだ自分を肯定しようとする少女の姿がそこにはあります。
僕なりの抵抗で じっと息を止めれた
いつまで居られるだろう 水の中は平等だ
ゆっくり立ち上がる
教室から眺める人たちへのささやかな抵抗として、10月の冷たいプールの中で潜水してみせる主人公。
プールの中には、彼女を指さして笑う生徒も口うるさく正義を振りかざす先生もいません。
《水の中は平等だ》
ここでの主人公は自らの《本当の自由》を存分に楽しんでいます。
サビ2
10月のプールを泳ぐのは そうさ愚かなことだ
教室の窓みんなが こっち見て騒いでる
そしてずぶ濡れで震えてる 僕は中指立て
大声で言ってやったんだ
「出来るものなら やってみろよ」
10月のプールを泳ぐのは愚かなこと。
そんなことは彼女だってわかっています。
しかしそれ以上に彼女が抱いているのは、「自分は誰よりも自分らしく生きているんだ」という絶対的な自信と、「自分は自由なのだ」という確証です。
《大声で言ってやったんだ 「出来るものなら やってみろよ」》
そこに立っているのは、はみ出し者としての自らの生き方に誇りを持っている一人の少女。
黒い羊としての負の側面なんか気にも留めず、「僕は自由だ!」と言わんばかりに勝ち誇る一匹狼の姿です。
黒い羊。不協和音。エキセントリック。
そんな後ろ向きな言葉も今回の楽曲では息を潜めます。
「10月のプールに飛び込んだ」
それは言うなれば、美談として描かれたもう一つの「黒い羊」の姿なのです。
3番
びしょびしょの足跡が 廊下に残っている
教師は何も言わなかった 僕に興味が無いんだろうプールには何度だって また飛び込んでやる
季節なんか関係ないのが 僕の生き方だ
もはや教師にも何も言われなくなった少女。
それは客観的に見ればきっともう呆れられているのでしょうが、そんなの彼女にとって知ったことではありません。
《季節なんか関係ないのが 僕の生き方だ》
周りの生徒にも、教師にも、そして季節にさえも左右されず、彼女は《本当の自由》をきっと誰よりも謳歌しています。
その姿を嘲笑する世間に中指を立てながら。
感想
発売されるはずだった欅坂46 幻の9thシングル。
もしこの曲が発売されれば、彼女たちの「黒い羊」のような世界観はよりポジティブに、美談として描かれ始めていたことでしょう。
しかし結局この曲が表題曲として発売されることはなく、「黒い羊」は「黒い羊」のままで終わりを迎えました。
厄介者のまま、負の側面をすべて背負い込んだままで。
映画のネタバレになってしまうので詳細の説明は省きますが、この楽曲の表題曲としてのリリースが中止になった背景にはセンター・平手友梨奈さんの意向が少なからず関係しています。
ひょっとしたら彼女は、この結末を望んでいたのかもしれません。
もっと言えば、彼女自身がこの曲の生き方を体現しているのかも……
【欅坂46/10月のプールに飛び込んだ】
歌詞の意味の解釈でした!
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