3番
Yea, I was resurrected!
My mind disconnected the feet from the ground,
and I passed through the storm
after enduring massacre, overtaken by noise
and chaos, pathos oozing outta loophole!
Overdosing on the stories, I’d metamorphosed into Hades
Thoroughbreds, crossbreds had repeated the duels
Till the storm abated, and its eye appeared upon me
It looked at me after we’d fully shed our blood
心が両足を地面から離して、 俺は嵐をくぐり抜けた。
ノイズ、銃眼から漏れ出てくるカオス、
ペーソスに襲われながら、
大虐殺に耐えた後!
俺は物語を過剰摂取して、ハーデース(ギリシャ神話の冥府の神)に変身していた。
純血、混血が争いを繰り返していた。
嵐が弱まり、その目が俺の頭上に現れるまで。
俺たちが沢山の血を流してしまった後、そいつは俺を見たんだ!
3番ではMVにて主人公が巻き込まれることとなる、最後の戦いが描写されているように思います。
神話のような圧倒的なスケールで抽象的に描かれていますが、要するに彼は様々な主義思想にさらされる中で嵐のような戦いに巻き込まれてしまいます。
そして最後に冥府の神のように残虐に立ち振る舞い、一切風の吹かない台風の目のような平穏を手に入れたのです。たくさんの血を流し、全てを無に帰した後で。
すべては勝ち負けのためではなく、《小川のそばに俺たちがいられるように》。
Ah that calmness! A hope!
To a big hole in the sky, I flew up at top speed
and reached the black space with no ups or downs
Nor was the wind blowing
So I finally dismantled my wings;
It’s just an old story
空のでっかい穴に向かって俺は、
全速力で飛び上がった。
そして、黒い宇宙に到着した。上も下もない場所に。
風も吹いていなかった。
だから俺はようやく翼を解体した——
ただの昔話さ。
戦いの末に待っていたのは、もう上も下もない黒い宇宙でした。
MVでは、自らを飼いならす組織も愛する人との関係を上から抹消しようとする存在も全て消し去った状態を主人公は手に入れています。
きっと社会からのノイズが消えたわけではないでしょうが、これまで捕らわれていた負のループは完全に消滅したのです。
それは主人公にとっての《希望》でした。
もっとも、これは昔話。
主人公が全てを消し去ったのは、手紙を誰かに読まれるよりずっと前の事です。
Time to go back now
Hey, morning has broken and roll the drops of dew
The world’s all cleaned upGo Philip as you like
It’s all fine
ほら、朝だよ。露が転がる。
世界がすっかりキレイになった。
行けよ、フィリップ。君の好きなように。
全部大丈夫さ。
何度も繰り返しになりますが、これは主人公が誰かに当てた手紙です。
そして手紙の最後にこう記しています。
《行けよ、フィリップ。君の好きなように。 全部大丈夫さ。》
MVを見ればわかるのですが、どうやら「Philip」はまだ産まれてきていない息子の名前であるようです。
それはMVの演出から暗に示されていますし、「Philip」は男性名であることから愛した女性の名前ではないので残された選択肢は息子以外ありません。
結果から言えば、主人公は息子の誕生に立ち会うことなく射殺されてしまいます。
かつて負のループの中にいた人間として、あるいは最後の戦いでたくさんの血を流した罪として、その報いを受けたのかもしれません。
しかし、戦いを経て《世界がすっかりキレイになった》ことは間違いありません。
もう最愛の人と息子を縛るものは何一つとしてないのです。
《行けよ、フィリップ。君の好きなように。 全部大丈夫さ。》
それは負のループを断ち切った主人公が、息子に希望を込めて贈った最後のメッセージだったのでした。
感想
MVの世界観は犬を主人公としたややキャッチーなものでありながら、描かれているものは現実世界に蔓延る問題とそう大きくは変わりません。
蔓延る差別的な思想や相反する主義思想、人身売買、繰り返される戦争。
その渦中で主人公は苦しみ、最終的にはその命と引き換えに自由を手にします。
「愛は主義思想を凌駕し後世に継がれる」というのが、楽曲の公式なテーマになっているそうです。
《行けよ、フィリップ。君の好きなように。 全部大丈夫さ。》
それは愛する人に宿った新たな命へのメッセージでありながら、きっと次の世代を生きる人々へのmillennium paradeの祈りでもあるのではないでしょうか。
【millennium parade/philip】
歌詞の意味の解釈でした!
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コメント
なるほど!何となくですが理解出来ました。わかりやすい解説ありがとうございます。
やはり常田さんの軸は常に「愛」にあるようですね。男女、家族、人間だけでなく、生きとし生けるものへの愛。
そこが心を捉えられる理由なのだなと思いました。
おっしゃる通り、作詞者が違うということで描かれ方には大きな違いはあるものの生きる者への愛というのは常に軸にありそうですね。
「世の中ノイズだらけだけど自分らしく生きていこう」というKing Gnuの楽曲でよくみられるスタンスも今回の楽曲に共通しているように思います。