【宇多田ヒカル】の「Time」について、歌詞(和訳)の意味を徹底的に考察および解説していきたいと思います。
✔ 主人公とあなたの異質な関係性(友達男女なのか、同性愛なのか、セフレの歌なのか)
✔ Timeに込められているものとは?
✔ 歌詞とともに揺れ動く主人公の情動
そこには神秘的な性愛が描かれていました。物語ともいえる歌詞をぜひ最後までお読み下さい。
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主人公とあなたの異質な関係性
今回紹介していく「Time」は、連続ドラマ「美食探偵 明智五郎」の主題歌として書き下ろした楽曲。
そのため“恋する毒殺サスペンス”と称される、明智五郎(中村倫也)と主婦マリア(小池栄子)の対決に寄り添った内容になっていることは間違いないのですが、本記事で伝えていきたい部分は他の部分になります。
(ドラマに沿って考察するなら、マグダラのマリアを軸に考えると面白いと思います)
・歌詞の異質性
・主人公とあなたの関係性
楽曲ファンの方はこの2点に意味深さを感じたのではないでしょうか。私もそうでした。
本楽曲はただのラブソングではないのです。
「恋愛なんかの枠に収まらない二人」を宇多田さんはどのように描き、何を真に伝えたかったのでしょうか。楽曲を深堀りしていきましょう。
今回も本当に奥ゆかしい内容でした、、、
さっそく本題の歌詞に、、、と言いたいところですが、楽曲の理解を深めるために、まずはタイトルに着目していきます。
楽曲名「Time」とは
一見、シンプル過ぎるタイトル。
周知とは思いますが「Time」とは『時間』という意味を持ちます。
そして歌詞の解釈を終えたうえで言うと、この『時間』というタイトルは主人公の心情と密接な関係があると思っています。
具体的に言うと
- 「時間を戻したい」
- 「自分を偽っていた時間を取り返したい」
といったところですね。時に囚われた女性の叫びが凝縮されているのです。
また『Time』に込められた愛情と後悔の度合いは、聴き手によって変わってくると思います。異質だからこそ強調される想いがそこには合ったのです、、、
本題の歌詞を見ていきましょう。
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歌詞
カレシにも家族にも言えない
いろんなこと
あなたが聞いてくれたから
どんな孤独にも運命にも耐えられた降り止まない雨に打たれて泣く私を
あなた以外の誰がいったい笑わせられるの?いつも
近すぎて言えなかった、好きだと
時を戻す呪文を胸に今日もGoキスとその少しだけ先まで
いったこともあったけど
恋愛なんかの枠に収まる二人じゃないのよ
(そゆことそゆことそゆこと)大好きな人にフラれて泣くあなたを
慰められる only one である幸せよだけど
抱きしめて言いたかった、好きだと
時を戻す呪文を胸に今日もGoずっと
聞きたくて聞けなかった、気持ちを
誰を守る嘘をついていたの?逃したチャンスが私に
与えたものは案外大きい
溢した水はグラスに返らない 返らない
出会った頃の二人に
教えてあげたくなるくらい
あの頃より私たち魅力的 魅力的友よ
失ってから気づくのはやめよう
時を戻す呪文を君にあげようIf I turn back time
Will you be mine?
If I turn back time作詞::Hikaru Utada
歌詞の意味・解釈
1番
カレシにも家族にも言えない
いろんなこと
あなたが聞いてくれたから
どんな孤独にも運命にも耐えられた
歌い出しの歌詞から主人公とあなたの異質な関係性を考えさせられる。
主人公に「彼氏」がいるんですよね。
そしてそれを前提に「あなた」がいて、あなたを想う歌詞が綴られていくのです。
ただ見落としてはいけないのが「どんな孤独にも運命にも耐えられた」というラストの一文です。
主人公には彼氏がいて、なんでも聞いてくれるあなたという存在がいる。
しかしその現状は「耐え難い運命」であり「辛い運命」であると言っているのです。一般的に考えるとかなり充実したものだと捉えることができるのに、、、
これからどのように展開されていくのか。歌詞を追っていきましょう。
降り止まない雨に打たれて泣く私を
あなた以外の誰がいったい笑わせられるの?
このBメロで「あなたの特別感」がよりいっそう強調されます。
降り止まない雨と比喩されるほど、強く落ち込んだとき。そこに笑顔を与える存在は彼氏でも家族でもなく「あなたの存在」だと言っているのです。
恋人でも家族でもない存在、、、ここは2番以降で正体が見えてきます。まずは続くサビを見ていきましょう。
サビ1
いつも
近すぎて言えなかった、好きだと
時を戻す呪文を胸に今日もGo
ここで明確になるのは「あなたが好き」という事実です。
サビに辿り着くまでは、仲のいい友達に感謝を伝える歌とも取れなくはなかったのですが、そんな安易な線は一瞬で葬り去られました。友達に好感を持つ好きではなく、しっかり性愛としての好きが描かれているのです。
そして主人公はあなたのことが好きなのに、他の彼氏を作って運命に抗おうとしてしまった。
それを後悔しているから時を戻したいという意を込めてタイトルが『Time』になっている。Timeには確かに「後悔」の意味合いが込められているのです。
2番ではさらに予測外の歌詞が綴られていきます。そして同時に歌詞の異質性の正体にグイっと近づきます。
2番
キスとその少しだけ先まで
いったこともあったけど
恋愛なんかの枠に収まる二人じゃないのよ
(そゆことそゆことそゆこと)
初見だと「ん?」となる2番のAメロ。
二人はキスとその少し先までいったことがある関係なのです。つまり今は違えど過去で繋がったことがある恋仲なのです。
ただ「恋愛なんかの枠に収まらない二人」を、男女関係だけに限局するのは本楽曲においては少々野暮なものがあるなと思います。
『Time』で描かれている二人の性愛は、性別なんて度外視の愛情。一般的な「恋愛」として括る枠には収まり切らない愛があるのです。
とはいえ同性愛を歌っているのかと言うと、それもまた限局するには値しないと思います。
少し具体的に言うと
- 同性愛
- 身近な友達を好きになった男女の歌
- 元カレを想い続ける女性の歌
- セフレに恋をした女性の歌
などリスナー次第で思い描く情景が変わる、様々なシーンの性愛を歌っているのです。
大好きな人にフラれて泣くあなたを
慰められる only one である幸せよ
主人公には彼氏がいて、あなたには大好きな人がいる。
しかしドロドロした環境の中で、主人公はあなたを一番に想っている。
好きとは言えないけど慰めることができる存在であることに幸せを感じているさまからは、真の欲望を抑えつけた愛情が垣間見えます。
サビ2以降も主人公の情動とともに、物語は揺れ動いていきます。さらに後を追っていきましょう。
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コメント
とても面白い考察でした。
個人的には、最後のフレーズの部分は主人公ではなく あなた の視点なのではないかと思ってました。
247さんその発想めちゃくちゃ面白いです!
ラストフレーズだけ視点が変わるのですね。なるほど。両者の感情を想像できることでさらに深みが増すように感じます。
面白いコメントありがとうございました。