【ゲスの極み乙女。】の「私以外も私」について、歌詞の意味を徹底的に考察および解説していきたいと思います。
✔ 代表曲「私以外私じゃないの」との関係
✔ 残酷な世の中への皮肉
誰もが気になる衝撃的なタイトル。一体どんなメッセージが込められているのか、じっくり考察していきます。
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まさかのタイトルと衝撃。
今回紹介していく「私以外も私」はアルバム「ストリーミング、CD、レコード」収録曲。
誰もが知る名曲を自ら覆すまさかのタイトルに、発売前から大きな注目が集まっていました。
ボーカルの川谷絵音さんはアルバムについて以下のようにコメントしています。
「ぶらっくパレード」でデビューしてから、他者との関わり方や社会に物申す感じであったり、そういう棘のあるバンドとしてこれまで活動してきたんですけど、今はその棘の使い方がだんだん変わってきたと思います。切なさの中に、棘の要素を落とし込めるようになったというか。
https://realsound.jp/2020/05/post-546957.html より
「私以外も私」もこの発言の例に漏れず、切ない歌詞・曲調の中にゲス乙女らしい毒が秘められているような楽曲だと感じています。
アルバム「ストリーミング、CD、レコード」は、CDの代わりにバウムクーヘンを発売するという前代未聞のアルバムでもあります…。
楽曲名「私以外も私」とは
タイトル「私以外も私」。
これは明らかに、誰もが知るゲスの極み乙女。の代表曲「私以外私じゃないの」をオマージュしたタイトルとなっています。
「私以外私じゃないの 当たり前だけどね だから報われない気持ちも整理して 生きていたいの 普通でしょ?」
誰も私には替われない、だから自分らしく今を生きるだけだ、と歌い上げた「私以外私じゃないの」を自ら真っ向から否定するタイトル。
一体何を思って川谷さんはこんなタイトルを付けたのでしょうか。
さっそく歌詞を見ていきましょう。
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歌詞
私以外も私
それはまやかしの雨
私以外も私
だと思えるあなたは誰?ねえ
誰だっけ
え?わかんない
そもそも誰も傷つけてない
当たり前でしょ
登んな
私が下にいるのに
おんなじ分だけ払って
あっやっぱそれ以上の心
疲弊してへりくだって
それに比例して許す
か・も私以外も私
それはまやかしの雨
私以外も私
だと思えるあなたは誰?雨を待った 椿一本
強くなった それは空想
正気だった はずの今日も
壊れてった これは現実正義は勝ってしまうよ
後に残る花の香り
急に参ってしまうよ
私以外の誰かに私以外も私
それはまやかしの雨
私以外も私
だと思えるあなたは誰?
私以外の私
それも本当は鏡
私以外の私もあなたも
正義だと疑わない雨を待った 椿一本
強くなった それは空想
正気だった はずのみんな
壊れてった これが現実
作詞:川谷絵音
歌詞の意味・解釈
私以外も私
それはまやかしの雨
私以外も私
だと思えるあなたは誰?
冒頭から問題の「私以外も私」というフレーズが登場。
しかし、どうやら楽曲「私以外私じゃないの」で歌った内容を否定するわけでは決してないようです。
「まやかし」とは「ごまかすこと、いかさま、いんちき」。
つまり「私以外私じゃない」のだから「私以外も私」であるはずがない、というわけです。
そして楽曲中の「あなた」は対照的に「私以外も私」だと思い込んでいる様子。
この部分だけではいまいち内容を掴めないので、後に続く歌詞を見ていきましょう。
1番
ねえ
誰だっけ
え?わかんない
そもそも誰も傷つけてない
当たり前でしょ
登んな
私が下にいるのに
おんなじ分だけ払って
あっやっぱそれ以上の心
疲弊してへりくだって
それに比例して許す
か・も
1番の歌詞は、主人公が「あなた」に反論する形で進行していきます。
「あなた」が誰なのかははっきりとは示されていませんが、過去に自分を傷つけた人に対して苦言を呈していることが何となく読み取れますね。
ゲスの極み乙女。に置き換えて言うのであれば、それは過去に誹謗中傷をぶつけてきた世間のことでしょう。
「私以外も私」だと思っている人々は、本来誰も傷つけていない主人公の言動に対して文句をつけてきました。なぜなら主人公も「私」だから。
主人公の事を他人だとは思っていない人々は、主人公の言動が自分の正義感に反していることが許せないのです。
そして主人公にマウントを取り、自分が優位に立とうとしてくる。
「私以外も私」であれば「誰も私と替われない」という「私以外私じゃないの」の歌詞と真逆で、「私は誰にでも替わられる存在」になります。だから自分の立場を守ろうと、必死に私以外の私を侮辱するのです。
主人公はそんな「あなた」に対して強い不満を抱いています。
向こうがいくら「私以外も私」だと思っていても、主人公にとっては名前も知らない他人。そんなやつらにとやかく言われる筋合いは全くありません。
サビ1
私以外も私
それはまやかしの雨
私以外も私
だと思えるあなたは誰?
1番の歌詞を上記のように解釈すると、サビで言わんとすることもはっきりとしてきます。
「私以外も私」だと錯覚するようになった世の中。
「私以外も私」。そうであるならば、自分以外の全ての人が同じ正義を持っていなければなりません。正義に反する人は赤の他人であれ罰を与えなければいけなくなります。
「私以外も私」であるならば、私は唯一無二の存在ではありません。誰かに替わられるかもしれないという不安を抱き、常に他の「私」より優位に立たなければなりません。
そうやって、自分以外を互いに罵り合うようになった醜い世の中。楽曲では、そんな悲しい社会を嘆いているのです。
雨を待った 椿一本
強くなった それは空想
正気だった はずの今日も
壊れてった これは現実
椿の花言葉は「気取らない優美さ」。
「私以外も私」というまやかしの雨を受け、他人を傷つけ上に立つことで、人々は強くなったような気がします。
成功者を吊し上げ、徹底的に叩き落せば、自分の地位が一気に上がったような感覚に襲われます。
しかし、そんなものはただの空想。そこには「気取らない優美さ」なんてものの欠片もなく、ただの醜い現実がそこに残るだけなのです。
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