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【ヨルシカ/レプリカント】歌詞の意味を徹底解釈! 人間は皆何かのレプリカ…?

3番

満たされるならそれで良かった 歌を歌うのに理由もないわ
他人のために生きられない さよなら以外全部塵
人を呪う歌が描きたい それで誰かを殺せればいいぜ
夏の匂いに胸が詰まっていた

「さよなら以外全部塵」

この歌詞にここまでの歌詞の全てが集約されているように思います

 

人間なんか全部偽物だし、この世界も全てレプリカ。思い出も愛も脳の信号だし、これまでの自分の人生も全く面白くない。

アルバムを通して「さよなら」の美しさに固執する主人公にとって、それ以外は全てゴミみたいに無価値なのです。

 

主人公はそんな人生を、誰かを呪う歌を歌って過ごしています。

 

作詞のn-bunaさんが過去のインタビューでおっしゃっていましたが、「人の人生を変えてしまうようなものは総じて呪い」であるとのこと。

よってここでの「人を呪う歌」が必ずしもネガティブであるとは限りませんが、「さよなら」を美徳とする主人公は「歌を歌うのに理由なんかないけどそれで人の命が終わるなら本望だ」くらいのことを言い放っています。

 

 

「夏の匂いに胸が詰まっていた」

最後の一行だけ空気が全く異なっていますね。

 

ヨルシカの楽曲でいう「夏」は夏という季節そのものよりも、春の後に訪れる季節であるという側面に意味があるように思います。

春に咲く花を思い返す季節。

「夜行」然り「花に亡霊」然り。

 

n-bunaさん自身、夏はハイになる季節というより切なくて透明感のある空気が好きであると語られていました。

 

そう考えると、今回の楽曲における「夏の臭い」というのも決して花火の焦げたような臭いが…とかそんな話ではなくて。

主人公は、夏のちょっと切ない空気感の中で過去を思い出し、思わず胸を詰まらせているのではないでしょうか。

 

「誰かを殺せればいい」とか「さよなら以外全部塵」とか「思い出だって偽物だ」とか言ったことをかなり強い口調で言い放つ主人公ですが、その心のどこかでは未だに思い出が息をしていて忘れられずにいることが「夏の匂いに胸が詰まっていた」という一文で暗に示されているのです。

 

この思い出への追憶が、同アルバムの「思想犯」「花に亡霊」といった後の楽曲のテーマとも結びついてきます。

 

ラストサビ

僕らの心以外は偽物だ 言葉以外は偽物だ
この世の全部は主観なんだから 君もみんなレプリカだ
さよならだって投げ出して このまま遠く逃げ出して

言葉で全部表して 心も愛も書き出して
それでも空はひどく青いんだから それはきっと魔法だから
いつか季節が過ぎ去って 冷たくなって年老いて
その時にやっとわかる 僕にもその青さがわかる

心や言葉以外は全部偽物だ。

この世は全部自分の主観でしかないから、僕の世界の君はあくまで僕に見えている姿であって本物の君ではない。

つまり君もレプリカだ。

そうして主人公は、自分の世界の自分以外の全てを偽物として捉えています。

 

そしてここで、これまでのサビの歌詞の後半で歌われてきた内容が完結します。

 

主人公曰く、どれだけのものを言葉で書き出そうと空はひどく青いまま

いまいち何が言いたいかを掴めませんが、解釈するにどれだけ偽物をかき集めたって本質にはたどり着けない、ということではないでしょうか。

 

偽物を描き続ける限り、空はひどく青いだけでそれが何なのかはわからない、つまり世界や人生が一体何なのかなんて分からず、満たされることなんかありません。

死ねない世界から抜け出して、年老いて初めて、本物を知り空の青さが何なのかがわかるのです。

 

いつか死が近づいて、「さよなら」の本当の美しさを見る時に初めて、人間は模倣から解放されオリジナルになれる。

そんなことを言われている気がしています。

 

その時まで主人公は、ただ漫然と人を呪う歌を歌い続けるのです。

 

感想

「神様だって作品なんだから 僕らみんなレプリカだ」

「この世の全部は主観なんだから 君もみんなレプリカだ」

そんな主人公の極端なまでに達観した人生観が垣間見える一曲でした。

 

【ヨルシカ/レプリカント】

歌詞の意味の解釈でした!

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