2番
死の淵から帰った 生かされたこの意味は
命と共に 遊ぶことにある
僕らふざけた生き物 脆く
ひしゃげた文明の
言葉遊びが落ち着いたかと思えば、今度は怒涛のマリオBGMメドレー。
やや分かりにくいですが、【スーパーマリオブラザーズ地下BGM ⇒ 地上BGM ⇒ スーパーマリオランド…】と続いていきます。
お洒落すぎます。
《死の淵から帰った 生かされたこの意味は》は星野さんの2013年前後の経験談から。
インタビューにて星野さんはこの歌詞について「僕が過去にくも膜下出血で倒れて、死というものを凄く身近に感じた経験が投影されています。生かされたからには “もっと挑戦する遊びをしよう”と思ったことを歌にしました。」とコメントされています。
人間なんてはなっから脆くてふざけた生き物なんだから、人生遊んでなんぼじゃないか。
そんな創作への想いが表れています。
制約の屋内で
気をずらして外側
この部分はコロナ禍の世の中を反映しているとも、屋内で存分に楽しめるゲームについて歌っているようにもとれるやや抽象的な歌詞となっています。
ゲームボーイの起動音とともに、楽曲は再びサビへと移ります。
サビ2
目下捻り出そうぜ 閃きの妙案
枯技咲いた場所から 手を振る普通と
バタつく未来を 水平に見た考案
途方もない 学びを繰り返して
口に出したくなるお洒落な言葉が並んだ歌詞ですが、この部分も実は任天堂リスペクトです。
ゲームボーイの生みの親である横井軍平さんの哲学に「枯れた技術の水平思考」というものがあります。
「枯れた技術」とは最新ではない既に普及している技術のことであり、「水平思考」とはフラットに今までになかった利用方法を考察すること。
つまり要約すると「新しい技術に飛びつかず、考え方やアイデアで既存の物から新しいものを作り出そう」という考え方です。
ゲームキューブはもちろん、DSやWiiもこの考えに基づいて開発されており、星野さんも過去にこの言葉に大きな衝撃を受けたと語っています。
《枯技咲いた場所から 手を振る普通と バタつく未来を 水平に見た考案》
サビ前のゲームキューブの起動音も、実は「今からゲームボーイ作った人のネタぶっこむよ」という見事なフリだったわけです。
MVのコメント欄で外国の方がコメントされていてハッとしたのですが、恐らく3番前の間奏はまさかの「マリオカート Wii」のレインボーロードのBGMです。
選曲が渋すぎます…
3番
時の大海で 喧騒の波間で
驚いた笑顔見せて目下走り出そうぜ 物作る冒険
あり得ないさ 全ては馬鹿げてた妄想
現れる様相 目の前の風景
襷抱いた 遊びを繰り返し
ここでは「物作りの冒険へ走り出そうぜ」と私たちを創作の魅力へと誘います。
結局彼らの生み出す風景や物語、音楽は作り物にすぎません。
《あり得ないさ 全ては馬鹿げてた妄想》
現実にお姫様が魔王に襲われることなんかありえないし、大きな旗の前に巨大な階段なんかないし、土管に入っても地下世界は広がっていないし、死んでも生き返れやしないのです。
しかしながら、《時の大海で 喧騒の波間で 驚いた笑顔見せて》というのが創作の、ひいては人生の本質であるような気がします。
どうせ生きるからには、大変な世の中でも馬鹿げたことで笑ったり驚いたりして生きていこう。
そんなメッセージを感じずにはいられません。
何か創り出そうぜ 非常識の提案
誰もいない場所から 直接に
独(いち)を創り出そうぜ そうさ YELLOW MAGIC
色褪せぬ 遊びを繰り返して
最後は甲羅の反射、ファイヤーボール、クッパの炎、敵を踏み潰す音などなど、マリオの効果音のオンパレードです。
「枯れ木の水平思想」で、誰もいない場所から「非常識の提案」を「直接」届けよう。
馬鹿げていて、色褪せることのない遊びを繰り返して「独創」を続けよう。
『スーパーマリオブラザーズ』発売35周年記念CMソング『創造』。
任天堂と星野源という最強のタッグが生んだ究極の1曲でした!
感想
『スーパーマリオブラザーズ』発売35周年記念CMソングにふさわしすぎる、クリエイト組織・任天堂と星野源の創作精神を歌った楽曲。
散りばめられたマリオシリーズの効果音やBGM、任天堂にまつわる歌詞の数々がその遊び心溢れる創作を物語っています。
今後も両者の独創的な作品から目が離せません…!
【星野源/創造】
歌詞の意味の解釈でした!
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