【米津玄師】が作詞作曲を努め、Foorinに楽曲提供をした「パプリカ」について、歌詞の意味を徹底的に考察および解説していきたいと思います。
実は、パプリカについては1年ほど前に
別記事で考察を述べているのですが、
- 米津玄師のセルフカバーMV
- 米津玄師本人が語る誕生秘話
の公開を記念して解釈を見つめ直し、可能な限り信憑性の高い考察を再度行っていこうと思います。
是非、最後までお読み下さい。
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楽曲の基本情報
冒頭でも述べたように、パプリカは米津玄師によって作詞作曲され、「Foorin」のシングルとして2018年8月15日にリリースされた楽曲です。
MVでは、大人になった主人公の“僕”が、幼少期に出会った“風の子”との思い出を回想するストーリーが描かれています。映像は、サウンドにちりばめられた「和楽器」に呼応するよう、縁側で風鈴の音に涼む様子や夕暮れの港を歩く姿、夜空に打ち上げられる花火など、日本の情緒や原風景がふんだんに盛り込まれています。
そもそもユニット名「Foorin」は、パプリカを歌い踊っている5人の姿を「風鈴」に例えて、米津玄師が命名したもの。
これが、MVの風鈴の音に涼む様子と絡んでくるのが面白い。
そんな「和」を彷彿させるようなMVで構成されている「パプリカ」ですが、誕生の裏にはどんな背景や想いが込められているのでしょうか。ここを知らずして楽曲考察はできませんよね。米津玄師本人が語る誕生秘話を調査しましたので、以下にまとめていきます。
米津玄師が語る「パプリカ」の秘話
パプリカが生まれたきっかけ
そもそも「パプリカ」は「<NHK>2020応援ソング」のプロジェクトを米津玄師が受けたことが誕生のきっかけです。
この依頼を受けたとき米津が感じたのは
果たして自分に作れるのか
という悩みだったそうです。なぜなら、米津玄師の他楽曲を聴いて分かるように「分かりやすい応援ソング」は未だかつて制作したことがなかったからです。
企画として求められる方向性と、これまで米津玄師が表現してきたものは、必ずしも重なり合っていたわけではないのです。
誰が歌うかで音楽の書き方が変わる
皆さん周知の通り、「パプリカ」という楽曲は小学生ユニット「Foorin」が歌っています。
しかし、プロジェクトの話を受けたときは、誰が歌うかなんて決まっていなかったそうです。
「人に歌ってもらう曲というのは、その人ありきで書いていた」
とインタビューで述べており、今まで菅田将暉やDAOKOに提供した楽曲はそのパーソナリティを知った上だからこそ作ることが出来ていたとのこと。
だから結果として、
150人くらいの中からオーディションを行う。
という方法で歌うメンバーを選抜し、
- もえの
- ひゅうが
- たけるくん
- りりこ
- ちせ
の5人が選抜されたのです。
この5人(Foorin)について米津玄師は
「パプリカ」はこの5人がいたからできた曲で、もし仮にこの5人でなかったら、全然違う曲になってただろうと思います。
とコメントを残しています。
Foorinを通して
メンバーの決定後、楽曲制作に取り掛かった米津玄師ですが、制作秘話をインタビューで明かしています。
自分が5人と同じくらいの年頃のころを思い浮かべて自己投影をしていった
とのことです。
投影された内容は、5人くらいの年の頃に、徳島にある爺ちゃん婆ちゃんの家、その山の中で遊び回ったり、川で泳いだりしていた記憶だそう。
だから歌詞では「青葉の森」「晴れた空」など、自然を彷彿させるワードが頻繁に使われているのですね。
この思い出した記憶と
最初に依頼された
「子供たちが歌って踊れる応援ソング」
というキーワードを組み合わせ、
更には
子供と同じ目線に立って作る
ことを意識し、やっと誕生したのが
「パプリカ」という楽曲なのです。
ストーリーがありますね~
歌詞に描かれているものは?
これはズバリ
小さな物語、小さな世界
と米津玄師は語っています。
え?応援歌だよね?
と感じてしまうかも知れませんが、ここにも米津玄師の人生経験からなる考えがあるのです。
私自身もかなり共感できたのですが
大きな応援ソングへの嫌悪感。
というのを米津は主張していました。
日本の音楽の中で「応援歌」というのはありふれていますよね。物凄く背中を押してくれる音楽だったり「頑張ればいつかは報われる」といったような、いわゆる「分かりやすい応援ソング」です、
これに米津は不信感を抱いていたとのこと。
綺麗すぎる言葉は信じられない。といったところでしょうかね。だからこそ米津は自分が子供の頃に感じた「小さな物語・世界」に5人を入れて、最終的に、童謡とか、日本の風土感とか、ある種のノスタルジーを含め、「応援ソング」として制作していったとのこと。
NHKという大きなものの中で、結果としてそれが大きくなっていけばいい。自分が作れる応援ソングというのは、そういうところにしかないんだろうなって感じですね。
とコメントを残しています。
歌詞に「頑張れ」などといった王道的な応援ワードが一切含まれていないことにも納得ができますね。
これらを踏まえたうえで、改めて楽曲考察に移っていきます。
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楽曲名「パプリカ」とは
本来「パプリカ」とは
ナス科の多年草であるトウガラシの栽培品種。
を指す言葉です。まさに上の画像。
本楽曲のタイトル「パプリカ」もこれを指しています。敢えて「パプリカ」にした理由を米津さん本人が語っていました。内容は以下。
- 音の響き
- パプリカという物自体のポップな感じ
- かわいい感じ
まずはこれが当てはまるようです。
私が1年前に行った解釈は
花言葉に注目して
パプリカの花言葉=君を忘れない
なんて唱えていましたが、花言葉は意図としてなかったようです(笑)
米津さんは
「なんでパプリカなのか?」
と訊かれたときには
「わかりやすい意味はないです」
という一言で説明できると言っていました。
大切なのは、第一印象。イメージ。なのです。
実は、ここでまた米津さんは深い言葉を語っています。「わかりやすい意味はないです」と「何も考えていない」の違い、その危惧がかなり共感できましたので、ピックアップさせて頂きますね。
大人になればなるほど、今まで見てきたもの、理論的な思考回路に縛られてしまう感じが、すごくあると思うんですよね。「普通そんなこと起こらない」って言ってしまう。本当は何でもやってもいいものに「それだとリアリティがない」とか「意味が通らない」って言ってしまう。そういうのって、危ういと思うんです。子供向けの絵本を見ても、どこか荒唐無稽な感じがあって。イマジネーションの世界なんですよね。幼稚園にクマが転校してきたっていいし、子供たちみんなでクジラと綱引きしてもいい。だから、わかりやすい意味を説明するのも大事なことだと思うんですけど、そのなかで全部完結させてしまっては、あまりにあっけないというか。本来そういうところでは説明できないブラックボックス的なところがあるから音楽のエモーションが生まれてきているわけで。
大人になるほど、理論的になる。
の共感性が高すぎませんか?
しかも、言葉だけではなく子供向けの絵本のくだりなど、具体例があるぶん説得力が増していますよね。
子供の頃は、特にイマジネーションの世界で生きていたのですね私たちは。本当に深い。
では、タイトル「パプリカ」に込められた想いをなぞったうえで、本題の歌詞に迫っていきましょう。
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歌詞
曲りくねり はしゃいだ道
青葉の森で駆け回る
遊び回り 日差しの町
誰かが呼んでいる夏が来る 影が立つ あなたに会いたい
見つけたのは一番星
明日も晴れるかなパプリカ 花が咲いたら
晴れた空に種をまこう
ハレルヤ 夢を描いたなら
心遊ばせ あなたにとどけ雨に燻り 月は陰り
木陰で泣いていたのは誰
一人一人 慰めるように
誰かが呼んでいる喜びを数えたら あなたでいっぱい
帰り道を照らしたのは
思い出のかげぼうしパプリカ 花が咲いたら
晴れた空に種をまこう
ハレルヤ 夢を描いたなら
心遊ばせあなたにとどけ会いに行くよ 並木を抜けて
歌を歌って
手にはいっぱいの 花を抱えて
らるらりら会いに行くよ 並木を抜けて
歌を歌って
手にはいっぱいの 花を抱えて
らるらりらパプリカ 花が咲いたら
晴れた空に種を蒔こう
ハレルヤ 夢を描いたなら
心遊ばせあなたに届け
かかと弾ませこの指止まれ作詞作曲:米津玄師
歌詞の意味・解釈
1番
曲りくねり はしゃいだ道
青葉の森で駆け回る
遊び回り 日差しの町
誰かが呼んでいる作詞作曲:米津玄師
インタビューでも述べていたように
「森の中で遊び回るシーン」、つまりは米津さんがいう「小さな世界」が分かりやすく描かれています。
子供の頃の自分と重ね合わせることで、誰しもがノスタルジーを感じるのではないでしょうか?
夏が来る 影が立つ あなたに会いたい
見つけたのは一番星
明日も晴れるかな作詞作曲:米津玄師
ここで登場してくる「あなた」に注目。
あなたをどう捉えるかで、楽曲の見方がどのようにも変化してきます。
会いたい
など、ラブソングのような語法で描かれていますが、ここで騙されてはいけません。「パプリカ」は単なる恋愛歌ではないのです。
あくまでも「応援歌」です。
これを踏まえてサビを見ていきましょう。
サビ1
パプリカ 花が咲いたら
晴れた空に種をまこう
ハレルヤ 夢を描いたなら
心遊ばせ あなたにとどけ作詞作曲:米津玄師
またも登場する「あなた」
ここで「あなた」について徹底的に解釈していきましょう。
結論から申し上げますと
大人になった自分
という解釈に落ち着きました。
というのも、この解釈は米津さん本人が「Foorin」に言ったセリフを参考にしています。紹介させていただきますね。
繰り返しですが、上のコメントは米津さん自身が、NHK撮影後の打ち上げの締めで「Foorin」に言ったセリフです。
つまりは、
Foorinのメンバーが大人になった時に思い出して、自分に応援される。
という意図があるということなのです。
米津さん自身、作曲時にそこまでの意図があったのかは定かではありませんが、ポッとこういう言葉が出たということは、その意図が潜在的に存在していたということではないでしょうか。
子供の頃の思い出に応援される。
まさに、小さな世界に励まされるという米津さんの価値観にも当てはまる意味が込められているのです。
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2番
雨に燻り 月は陰り
木陰で泣いていたのは誰
一人一人 慰めるように
誰かが呼んでいる喜びを数えたら あなたでいっぱい
帰り道を照らしたのは
思い出のかげぼうし作詞作曲:米津玄師
2番は、
泣いている誰かを慰める
という情景が描かれているように、「応援歌」として最も真摯に向き合っている部分になります。
こうして、子供が泣いている情景を絵が描いているのにも秘話があります。
米津さんは、歌詞を書いているときに
あれ?子供は応援される立場じゃないのか?
子供に応援ソングを歌わせるって、
どういうことだろう?
という疑問にぶつかったそうです。
だから、ここの歌詞では
泣いている子供を慰める。
という、子供から発信される応援歌としては歪な内容になっているのです。
<サビ1と同じである為、サビ2の解釈は割愛します>
3番~ラストサビ
会いに行くよ 並木を抜けて
歌を歌って
手にはいっぱいの 花を抱えて
らるらりらパプリカ 花が咲いたら
晴れた空に種を蒔こう
ハレルヤ 夢を描いたなら
心遊ばせあなたに届け
かかと弾ませこの指止まれ作詞作曲:米津玄師
ここまでの解釈の末、
大人になった自分が、
子供のときの自分に応援されるという
「応援ソング」
と歌詞全体を捉えて、ラスト部分に向き合うと、かなり力を貰える内容であることが分かる。
「手にいっぱいの花」「パプリカの花」などキラキラしつつもノスタルジックな情景から「希望」が生まれ、「会いに行くよ」「あなたに届け」などの文が存在することで、「その希望を届けてくれる」というストーリーが出来るわけです。
感想
大きな応援ソングへの嫌悪感
と言っていた米津さんでしたが、結果的に「大きな応援ソング」になっていますね。いやこれはある意味、目論見通りなのでしょう。改めて関心させられます。
私も何十年後とかに「パプリカ」を聴いて、今の自分と照らし合わせて応援されたいものです。
【米津玄師/パプリカ】
歌詞の意味の解釈でした!(‘ω’)
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