サビ2
あの人の言う通り
いつになれど癒えない傷があるでしょう
黄昏を振り返り その度 過ちを知るでしょう
君がいない日々は続く
しじまの中 独り
サビ2は、サビ1と同じように「歳を重ねるごとに気付かされる罪の意識」についてが描かれています。
カムパネルラを失ったこと、また失ったことで自分の心に芽生えた罪悪感のタネは成長していくばかりなのです。
またしじまとは、静寂を表す言葉。
言葉の意味や歌詞の物語の流れを理解しておくと、沈黙の中で何かを求めてさまよう主人公の姿を浮かべることができるのではないでしょうか。
3番
光を受け止めて 跳ね返り輝くクリスタル
君がつけた傷も 輝きのその一つ
3番では「宝石(クリスタル)」についてが歌われていますが、米津さんはアルバムのインタビューの中で「原石を傷つけることで美しく輝く宝石と、傷つけ合い成長していく人間の相関性」を語っていました。
本楽曲においては、カムパネルラを間接的に殺してしまった主人公(ザネリ)の罪悪感が「傷」として表現されています。
永遠に消えてくれない傷をポジティブに。
ポジティブというとちょっとアレですが、失ってしまった君を美しい形で残そうとする前向きな姿が、ここ3番でようやく描かれていくのです。
ラストサビ
あの人の言う通り わたしの手は汚れてゆくのでしょう
追い風に翻り わたしはまだ生きてゆけるあの人の言う通り いつになれど癒えない傷があるでしょう
黄昏を振り返り その度 過ちを知るでしょう終わる日まで寄り添うように
君を憶えていたいカムパネルラ
3番で前向きな歌詞が描かれたせいか、サビ1・2と似た内容で描かれるラストサビは、悲しみの世界観だけではなく、美しい感情を帯びているように見えてくる。
というのも「カムパネルラ…」と繰り返されるこの歌の核の部分にあたる感情は最後に綴られる「君を憶えていたい」であり、最後までカムパネルラを考え抜く姿は愛ともいうべき慈しみの感情を表しているからです。
自責の念に駆られながら、失ってしまった人を慈しむ。
銀河鉄道の夜を題材にした『カムパネルラ』は、圧倒的スケール感で描かれた後悔と美しさが行き交う自責の歌だったのです。
感想
アルバム1曲目から世界感がすごい、、、
歌詞はアーティストの感性をうつすとか言いますが、米津玄師さんのセンシビリティは本当にセンスに溢れているなと。
歌詞を読むことで得られる知見や、価値観。拙い考察ながら本当に勉強になります。
【米津玄師/カムパネルラ】
歌詞の意味の解釈でした!
スポンサーリンク
コメント
昔コールタールでアスファルト舗装していたと思うので、タールは真夏のアスファルトのようなイメージかと思います。
匿名さん明瞭な解釈のシェアありがとうございます。
確かにと納得しました。
アスファルトから陽炎が上がる情景でしたか、、、
私も『カンパネルラ』に惹かれて、米津さんのインタビューを参照にしつつ考察のために『銀河鉄道の夜』を読みました。
しかし、リンドウの花言葉や中原中也の引用は気づきませんでした…!
とても納得のいく解釈で素晴らしいと思います。参考になりました!
自分も銀河鉄道の夜を復習して記事を執筆していったのですが、言葉1つ表現1つを噛み砕いていくごとに、隠されたメッセージ性を発見することができて感動しておりました、、、
今日たまたま国語の教科書をみていたら月夜の浜辺を見つけて
米津玄師さんのカムパネルラで似たような歌詞があるなと思って調べていたら辿り着きました。
銀河鉄道の夜を読んだ事がなかったのですがわかりやすく解説してありとても分かりやすかったです。
ありがとうございました
この楽曲は本当に哲学的な側面を多く併せ持っていますよね。解説分かりやすいかったとのこと、嬉しく思います。コメントありがとうございました。
宮崎駿の千と千尋の神隠しに、20年越しに新説が出ていて、ハクの正体が、千尋の命を救った実のお兄ちゃんで、カムパネルラに重ねるとのことです。であるならば、この歌は千尋の視点の歌ということになりますね。なお、私はこの新説を知った時、心震え、泣きました。岡田斗司夫という方の解説動画でした。最近、銀河鉄道の夜がホットですね!
Jさんコメントありがとうございます。
その説は全く知りませんでした、驚きです!
ハクの正体がカムパネルラに重なるなんて、本当に銀河鉄道の夜はアツいですね。
この歌は心が持って行かれそうな気持ちになりす。海外のどこかの国の意味で、鐘……と、言うらしいのですが、鐘の響きもまた、綺麗です。ずっと、聴いていたい相変わらず、いいものを作ります。
途中の転調が素晴らしい