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【スピッツ/紫の夜を越えて】歌詞の意味を徹底解釈! 愛され続ける彼らの”対比の美学”

【スピッツ】「紫の夜を越えて」について、歌詞の意味を徹底的に考察および解説していきたいと思います。

 

注目ポイント

✔ 「紫の夜」の意味

✔ スピッツが魅せる対比の美学

✔ 美しく繊細な描写

 

骨助
骨助

デビュー30年を迎えたスピッツが贈る1曲。彼らの歌詞の特徴に触れながら、楽曲の素晴らしさを伝えていければと思います。

 

 

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「NEWS23」エンディングテーマ

今回紹介していく「紫の夜を越えて」はTBS系のニュース番組「NEWS23」のエンディングテーマとして起用されているスピッツの楽曲。

配信リリース日はスピッツデビュー30年記念日である2021年3月25日です。

 

草野マサムネさんは楽曲について

毎日当たり前のように夜11時からは『NEWS23』を拝見してきたので、スピッツの曲を使っていただけるのは不思議でもあり、大変光栄に思います!
新型コロナの影響で従来の価値観が揺らいで、社会全体が不安の霧で覆われそうな昨今です。
そんな日々の締めくくりに『NEWS23』を見て一喜一憂した後に、この曲を耳にされた方々が今後少しずつでも霧が晴れて、明るい方へ向かっていけるイメージを持ってもらえたらという思いで作りました。

とコメントされています。

また、楽曲制作は過去のニュース映像を見ながら進められたとのこと。

 

コロナ禍で不安に包まれた日常を、ほんの少しだけ明るくしてくれるようなやさしい楽曲。

今回の記事ではその歌詞に注目して、その魅力を紐解いていきます。

 

骨助
骨助

まずは「紫の夜」というワードに焦点を当ててみます。

楽曲名「紫の夜を越えて」とは

「紫の夜を越えて」という楽曲でやはり大きな問題となってくるのが、「紫の夜」という言葉の解釈です。

夜の暗闇を「紫」という色で表現したのだと捉えることも出来ますが、きっとそれだけではないでしょう。

 

ここで注目しなければならないのが、過去の草野さんの発言です。

私自身そのインタビューを直接確認したわけではなく、言伝の形になってしあうのですが、草野さんは10年ほど前のインタビューにて「孤独に色があるとしたら?」という問いに対して「うすい紫」と回答したとのこと。

彼にとっての紫色は孤独の色なのです。

 

つまり「紫の夜を越えて」というタイトルをあえて言いかえるなれば「孤独な夜を乗り越えて」といったところでしょう。

コロナ禍の生活でこれといって希望もなく、ニュース番組を通して世の中を眺めては孤独を感じるような夜。

そんな中でも「この曲を耳にされた方々が今後少しずつでも霧が晴れて、明るい方へ向かっていけるイメージを持ってもらえたら」という草野さんの想いが籠ったタイトルとなっているようです。

 

骨助
骨助

タイトルについて確認したところで、さっそく本題の歌詞を見ていきましょう。

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歌詞

君が話してた美しい惑星は
この頃僕もイメージできるのさ本当にあるのかも

いつも寂しがり時に消えたがり
画面の向こうの快楽匂いのない正義その先に

紫の夜を越えていこういくつもの光の粒
僕らも小さなひとつずつ
なぐさめで崩れるほどのギリギリをくぐり抜けて
一緒にいて欲しいありがちで特別な夜

溶けた望みとか敗けの記憶とか
傷は消せないが続いていくなら起き上がり

紫の夜を越えていこう捨てた方がいいと言われた
メモリーズ強く抱きしめて
従わず得られるならば砂の風に逆らい
再び生まれたいありがちで特別な夜

袖をはばたかせあの惑星に届け

少し動くのも恐れてた日々突き破り

紫の夜を越えていこういくつもの光の粒
僕らも小さなひとつずつ
なぐさめで崩れるほどのギリギリをくぐり抜けて
一緒にいて欲しい遠くまで潤み始めた目を開いて
紫色の夜を越えて

 

作詞:草野正宗

歌詞の意味・解釈

1番

君が話してた美しい惑星は
この頃僕もイメージできるのさ本当にあるのかも

「スピッツの楽曲の本質は【ファンタジー】と【センチメンタルな現実】の対比にある」

「相反する事象の分裂が彼らをポップな存在にしている」

そんな言説を目にしたことがあるのですが、この冒頭の歌詞はそんなスピッツの世界観が如実に表れたものであるように感じます。

 

《君が話してた美しい惑星》

この部分だけを見ると、非常にポップでファンタジックな世界。

しかし楽曲中の主人公にはそれが見えていません。

《この頃僕もイメージできるのさ本当にあるのかも》とあるように、今まではその存在を信じてすらいなかったし、今でも【想像できるようになっただけ】にすぎないのです。

 

センチメンタルで現実的な生活の中で、ほんの少しだけファンタジックな希望をイメージできるようになった。

この楽曲は一見太陽のように明るいものにも見えますが、歌っている内容を紐解いていくとたったそれだけの照度しかありません。

 

いつも寂しがり時に消えたがり
画面の向こうの快楽匂いのない正義その先に

この部分はコロナ禍の不安な世の中と、病的なネット社会の描写でしょう。

いつも孤独で、ここに快楽などなくて、画面の向こうの実体のない快楽や正義に踊らされている。

《匂いのない正義》というフレーズがまさに言い得て妙です。

 

「新型コロナの影響で従来の価値観が揺らいで、社会全体が不安の霧で覆われそうな昨今です。」という草野さんのコメントが、ちょうどこの部分に現れています。

 

さきほどの《君が話してた美しい惑星は…》というファンタジックな歌詞からは遥にかけ離れた、実にリアルな歌詞。やはり彼らの楽曲にはファンタジーと現実、ネガとポジ、光と影とが繊細に混在しています。

 

サビ1

紫の夜を越えていこういくつもの光の粒
僕らも小さなひとつずつ
なぐさめで崩れるほどのギリギリをくぐり抜けて
一緒にいて欲しいありがちで特別な夜

楽曲タイトルである「紫の夜を越えて」というフレーズが登場するサビですが、ここもやはりスピッツの対比の美学に溢れています。

《ありがちで特別な夜》なんて歌詞は「ロビンソン」《ありふれた魔法》というフレーズにも通ずるものがありますね。

 

別に彼らは「一緒にいれば無敵だ」みたいな愛の高揚感を歌うわけでもありません。

現実はなぐさめの言葉で崩れるほどに脆く、心はどこまでも孤独。

どうか一緒にいてほしい、《ありがちで特別な夜》

【平凡】であり、同時に【非凡】。どこにでもあるけれど、きっとここにしかない。

そこにあるのは、冷酷な暮らしの中でのほんの少しの希望です。

 

《紫の夜を越えていこう》

孤独な夜の中で、それだけの言葉が放つ淡い光に、人は温もりを感じます。

 

2番

溶けた望みとか敗けの記憶とか
傷は消せないが続いていくなら起き上がり

2番の歌詞も、内容はかなり現実よりでセンチメンタル。

 

君が見てた美しい惑星も最近イメージできるようになった、と語っていた主人公ですが、結局のところ彼はリアリストです。

「愛により失われた望みが取り戻せる」とか、「過去に負った傷も言えるだろう」なんて希望を、この楽曲は私たちに提供してくれるわけではないのです。

 

だけど、この日々が続いていく以上は起き上がり進んでいく。

進んでいくしかない。

 

この曲の原動力となっているのは、考えうる限り最小限度のエネルギーでしかありません。

しかしながら、リスナーを包み込んで夜の外側に連れて行ってくれるような優しさをこの曲は持ち合わせているような気がします。

 

骨助
骨助

以降の歌詞でも、草野さんの歌詞の神秘的な世界は続いていきます。

 

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コメント

  1. ウイリー より:

    日本が世界からオリンピックとコロナの事で厳しく見られてると言う小さい規模のニュースを聴いて今迄で一番落ち込んだ後、この歌に偶然聞けて嬉しかったです。夜の中は捨てたものじゃないから自分も落ち込んでばかりいないで頑張ろうと思いました。それはほんの本当に少しだけど、
    スピッツが居てくれてありがたいです。
    心身の薬の様でした。

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