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【スピッツ/紫の夜を越えて】歌詞の意味を徹底解釈! 愛され続ける彼らの”対比の美学”

サビ2

紫の夜を越えていこう捨てた方がいいと言われた
メモリーズ強く抱きしめて
従わず得られるならば砂の風に逆らい
再び生まれたいありがちで特別な夜

「思い出なんか捨てた方がいい」

そんな命令に従わずにいられるならば、思い出を強く抱きしめて生きていたいと決意した《ありがちで特別な夜》

必死に思い出にすがる様は他の誰かにとってはありがちでつまらないものでしょうが、当の本人にとっては心を決めた特別な夜です。

 

この曲の主人公のいる場所をそのまま描くとするなれば、それはただの寝室でしょう。

なにも面白いものではありません。

しかし不思議なもので、この楽曲がリスナーの心の中に描き上げるのは、風が吹き荒ぶ砂漠と紫の夜空に浮かんだ美しい惑星。

ファンタジーに溢れた実に壮大な景色です。

 

心のキャンバスに、丁寧に水彩絵の具で色を重ねていくような草野さんの巧みな歌詞表現。

惚れ惚れしますね…

 

3番

袖をはばたかせあの惑星に届け

少し動くのも恐れてた日々突き破り

この歌詞にもスピッツ特有の【ファンタジーと現実の混在】が見られます。

 

《あの惑星に届け》と願うこの歌詞自体は、草野さんの突き抜けるような歌声も含めてとても幻想的。

しかしながら、その前の歌詞は残念ながら《翼をはばたかせ》ではありません。

彼は空を自由に飛べる翼の存在を一切想定していないのです。

はばたかせるのは《袖》

あくまでこの歌詞は、現実の中にあります。

 

《少し動くのも恐れてた日々突き破り》

別に希望を提供してくれるわけでもない。翼を与えてくれるわけでもない。

だけど、ちょっとだけ光が見える。

何とかやっていけるような気がしてくる。

 

それこそが、この楽曲の魅力なのではないでしょうか。

 

ラストサビ

紫の夜を越えていこういくつもの光の粒
僕らも小さなひとつずつ
なぐさめで崩れるほどのギリギリをくぐり抜けて
一緒にいて欲しい遠くまで潤み始めた目を開いて
紫色の夜を越えて

崩れかけのギリギリの日々の中で、この夜を越えていこうと思える微かに明るい楽曲。

僕らは光の粒の小さなひとつずつに過ぎず、大した光でもありません。

 

歌詞は直接希望を与えてくれやしないのに、それでも私たちがこの曲に光を見るのは、きっと草野さんの歌声や音楽性がもたらすスピッツの魔法なのでしょう。

感想

【ファンタジー】【センチメンタルな現実】の対比が明確に表れている、スピッツのポップな世界観を象徴するような楽曲でした。

決してあっけらかんと希望を歌うわけではなく、ずっと現実的なのに、少しだけ温もりを感じられる歌詞。

スピッツの楽曲がなぜ広く愛されているのか、その理由の一端を見た気がします。

 

【スピッツ/紫の夜を越えて】

歌詞の意味考察でした…!

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コメント

  1. ウイリー より:

    日本が世界からオリンピックとコロナの事で厳しく見られてると言う小さい規模のニュースを聴いて今迄で一番落ち込んだ後、この歌に偶然聞けて嬉しかったです。夜の中は捨てたものじゃないから自分も落ち込んでばかりいないで頑張ろうと思いました。それはほんの本当に少しだけど、
    スピッツが居てくれてありがたいです。
    心身の薬の様でした。

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