2番
涙の理由も知らずに
愛が体を喰いちぎった
正しさを振りかざさないで
事実が理由を喰いちぎった
ここにきて音楽的にまた新たな展開を迎える2番冒頭。
ここでは里香と夏油の境遇を、乙骨視点で描いているように思います。
《愛が体を喰いちぎった》はまさに怨霊となった里香の描写。
《正しさを振りかざさないで 事実が理由を喰いちぎった》は夏油の信念のことを歌っていて、「正しさ」=「非術師は滅びるべきだという彼の主張」、「事実」=「非術師が呪術師を虐げている事実」、「理由」=「呪術師は非術師を守るためにあるから…という理由」と考えればストーリーを知っている方ならつじつまが合うのではないでしょうか。
彼は過去に信念を曲げざるを得ないような事実と直面したため、現在は新たな正しさを振りかざして乙骨と対峙しています。
鼓動が止まぬように
喧騒に薪を焚べたんだ
帳を張ることすら
無粋な気がしてんだ
この歌詞も解釈が分かれる部分ではありますが、個人的には乙骨が愛を誓う場面だと捉えています。
《喧騒に薪を焚べたんだ》
King Gnu「Vinyl」の歌詞から推測するに、省略せずに言えば「喧騒に上がる煙に薪を焚べた」。
相手に息の根を止められぬように、彼は愛を以ってその呪力を膨れ上がらせていきます。
《帳を張ることすら 無粋な気がしてんだ》
「呪術廻戦」をある意味代表するワードである「帳」をここでぶち込んでくるあたりに、King Gnuの原作愛を感じます。
作中において、「帳」は外から中の様子を見えなくする結界です。
乙骨が里香に愛を伝えるこの場面において、もはやそんなものの存在は無粋。
誰にも隠す必要なんかなく、ストレートに一途な純愛を伝えようとする彼の意志が描かれた歌詞なのではないでしょうか。
さあ来世に期待ね
光れ閃け猛スピードで
一途に向かいます
余力を残す気はないの届け届けと血を巡らせて
一途に愛します
永遠なんて必要は無いの
この部分も一番冒頭の歌詞で《最後にもう一度 強く抱きしめて その後はもう 何も要らないよ》と歌っていたことから、戦いの後に死ぬ覚悟が出来ている乙骨視点だと解釈。
《余力を残す気はないの》
彼はこの戦いで、自分の全てを捧げるつもりでいます。
一途に里香を愛しきって、最後にもう一度強く抱きしめられたならそれでいいのです。
《永遠なんて必要は無いの》
彼は里香と永遠に愛し合える未来なんか望んでいません。
この瞬間に、刹那的に里香に満たされて戦いを終わらせる気でいます。
この後の最後の歌詞の解説は少々露骨なネタバレを含みます。ご注意ください。
最後にもう一度 強く抱きしめて
その後はもう 何も要らないよ
見えない未来も 消せぬ過去さえも
あなたで満ちれば 後悔はないよ最後にもう一度 力を貸して
その後はもう 何も要らないよ
僕の未来も心も体も あなたにあげるよ
全部全部
最後の歌詞の後半は、ほとんど完全に劇中のセリフの引用です。
乙骨が里香への純愛を誓う場面。
未来も心も体も全部あげるから、一緒に逝くから、最後にもう一度だけ力を貸してほしい。
そう願っています。
劇中のセリフの引用を最後の歌詞で持ってきたのはKing Gnuの最大限の作品へのリスペクトであり、乙骨の純愛を描く上でこのセリフ以上の言葉など存在し得ないという彼らの行き着いた結論なのではないでしょうか。
大義と純愛、矛盾だらけの両者がぶつかり合う劇的で圧倒的な決戦を鮮明に描き出した一曲。
【King Gnu / 一途】
歌詞の意味の解釈でした!
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