【米津玄師】の「POP SONG」について、歌詞の意味を徹底的に考察および解説していきたいと思います。
✔ タイトル「POP SONG」の真意
✔ 世の中は「全部くだらねえ」
米津さんの過去の発言などをベースに、彼の楽曲の根幹にあるものに迫ります。ぜひ最後までお読みください!
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PlayStation・CMソング
今回紹介していく「POP SONG」はPlayStationのCMソングとしてリリースされた楽曲です。
2022年2月7日に配信が開始されてからというもの、配信デイリーチャートでは36冠を獲得し、MVは公開後わずか3時間で100万再生を突破するなど爆発的な人気を集めています。
死神のような奇抜なスタイルとおとぎ話のような世界観で注目を集める今回のCM。
米津さんはCMおよびMV制作において「変身する」というコンセプトを打ち出したほか、キャラクターデザインも自身で手掛けられたとのことです。
親交の深い菅田将暉さんが「ツインテールの米津玄師が見られる時がくるとは誰も思ってなかったはず」と語るように、ファンにとっても衝撃的な作品となりました。
常々「ポップソングを作っていきたい」と語ってきた米津さんが、満を持して「POP SONG」と銘打った楽曲。
一体どんな思いが込められているのか、この記事では米津さんの過去の発言を引用しながら読み解いていきます。
さっそく本題の歌詞を見ていきましょう…!
歌詞
ちゃらけた愛を歌ってるベイビー 煌めいてシックなメロディ
誰も見当たらない 夜がまたひとつ
頭空っぽチープなハーモニー 誰だって愛されたいのに
いらないことばかり 口をつく始末どうしちゃったの皆 そんな面で見んな
まともじゃないよあなた方 あー喧々諤々さんざっぱら
雨に唄えば なんて晴れやかだ
さぞかし大層楽しかろ あーりんりんらんらんあっぱっぱらぱー123で愛を込めて もう一生遊ぼうぜ
準備してきたもの全てばら撒いて
そうさどうせ何もかも 全部くだらねえ
君だけの歌歌ってくれ
それもまた全部くだらねえだらけた恋がしたいのさレイディ モラリスト呆れるセオリー
嫌なことばかり 春が過ぎていく
猫足のバスタブでフライバイ 飛んじゃってお茶の子さいさい
唱える呪文は ビビデバビビデブー我がストーリー 愛の成す通り
生きてたい夢中に 全てが遊びの様に
異常にくだらねえよ何もかも
君だけの歌歌ってくれどうかしてる どうかしてる あいつもそいつもみんな変だ
ちょっとついていけない 楽しめない イカれてるエクスタシー
どうかしてる どうかしてる 全てが全部くだらねえんだ
君だけの歌歌ってくれ素晴らしいほど馬鹿馬鹿しい
これぞ求めていた人生
君は誰だ 教えてくれよ
どうせ何もないだろう?喧しいこと甚だしい
これぞ価値のある人生
誰でもいいけど君がいいんだよ
愛を歌っておくれそれもまた全部くだらねえ
作詞:米津玄師
歌詞の意味・解釈
1番
ちゃらけた愛を歌ってるベイビー 煌めいてシックなメロディ
誰も見当たらない 夜がまたひとつ
頭空っぽチープなハーモニー 誰だって愛されたいのに
いらないことばかり 口をつく始末
米津さんは過去のインタビューにて、「人間の伝えたいことって、最後には『飯が食いたい』とか『誰かと話したい』とかに行き着くと思うんです。それ以外は全部嘘なんじゃないかなって」と語っていたことがありました。
突き詰めていけば人間はシンプルな食欲と社会的な欲求しかないのだ、というのが彼の考え方です。
《誰だって愛されたいのに いらないことばかり 口をつく始末》
誹謗中傷が飛び交う世の中。炎上なんて日常茶飯事。
みんな結局は誰かと話して誰かに愛されたいだけなのに、誰かに認められたいがために他人を傷つけてしまいます。
《頭空っぽチープなハーモニー》
1番冒頭では、米津さんはそんな世の中の風潮を憂いています。
どうしちゃったの皆 そんな面で見んな
まともじゃないよあなた方 あー喧々諤々さんざっぱら
雨に唄えば なんて晴れやかだ
さぞかし大層楽しかろ あーりんりんらんらんあっぱっぱらぱー
先ほど述べた世の中の好ましくない流れに対し、ここで彼は「まともじゃないよあなた方」と言い放っています。
「喧々諤々」とは様々な意見が出て口やかましい様子。
要はごちゃごちゃうるせえってことです。
《雨に唄えば なんて晴れやかだ》
彼はそんな世の中の悲観すべき流れを前にして、呑気に歌でも唄っていられたらさぞかし大層楽しい事だろうな、と歌ってみせます。めちゃくちゃ楽観的。
この曲の中の米津さんのスタンスは、世の中の忙しない雰囲気とは対極にあるのです。
《真実も道徳も動作しないイカれた夜でも 僕ら手を叩いて笑い合う》
そんな歌詞が「感電」でもありましたが、このくだらない社会の流れに左右されまいとする姿勢は彼の様々な楽曲で共通しています。
サビ1
123で愛を込めて もう一生遊ぼうぜ
準備してきたもの全てばら撒いて
そうさどうせ何もかも 全部くだらねえ
君だけの歌歌ってくれ
それもまた全部くだらねえ
世の中はどうかしてるし、怒りを覚えることも絶望することも感情的になることもたくさんある。
《何もかも 全部くだらねえ》
全てをひっくるめて、彼はそう吐き捨てます。
しかし、「全部くだらねえから生きるのなんてやめてやる」とは歌わないのが米津さんらしいところ。
彼はアルバム『STRAY SHEEP』発売時のインタビューで世の中に対する失望や怒りを語ったうえで、「自分がやれることはポップソングを作ることだという結論に行き着いた。最終的には生きていくことや生活していくことを肯定しなければならない。悲観的になるのはすごく簡単で、怒りや悲しみに身を任せてものを作ることもできるけれど、それは自分の役割ではないと感じたんです。」と語られていました。
彼の求める「ポップソング」では、最終的に生きることを肯定しなければなりません。
この曲が「全部くだらねえ」で終わってしまっては、彼の求める音楽ではなくなってしまいます。
悲観的なだけの曲を作ることは彼の言う ”自分の役割” ではありません。
《123で愛を込めて もう一生遊ぼうぜ》
だからこの曲は、【全部くだらねえからこそ好き勝手遊んで生きようぜ】というあくまで肯定的なメッセージを発信しているのです。
2番
だらけた恋がしたいのさレイディ モラリスト呆れるセオリー
嫌なことばかり 春が過ぎていく
猫足のバスタブでフライバイ 飛んじゃってお茶の子さいさい
唱える呪文は ビビデバビビデブー
2番では《嫌なことばかり 春が過ぎていく》と憂鬱を歌いながらも、《猫足のバスタブでフライバイ》《ビビデバビビデブー》といった歌詞はおとぎ話のようで楽観的。
あくまで自分は世の中に対しててきとーに、という彼のスタンスが強調された歌詞となっているように感じます。
後半のメルヘンな歌詞は米津さんが多大な影響を受けているというジブリ作品の世界観も感じられますね。
サビ2
我がストーリー 愛の成す通り
生きてたい夢中に 全てが遊びの様に
異常にくだらねえよ何もかも
君だけの歌歌ってくれ
2番サビで歌われている内容も1番サビ同様。
《異常にくだらねえよ何もかも》
どうせ全部くだらねえんだから、何かの夢中になって遊ぶように人生を過ごしてやろうと歌い上げています。
なにをやったってどうせくだらないんだから、君は君だけの歌を歌ってくれ、と。
人生や世の中がそうであるように、PlayStationなどのゲームも興味のない人に言わせれば「くだらねえ」ものであり、言ってしまえば無くても生きていけるものではあります。
しかし、どうせ全部意味なんかないんだから遊んでやろう、という今回の楽曲のメッセージはゲームの在り方を肯定するものであるような。
PlayStationのタイアップ曲として、ピタッとはまった楽曲であるように感じます。
3番では畳みかけるように、世の中の風潮を否定して人間のくだらない人生を肯定していきます。
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