【DECO*27(デコニーナ)】の
「シンセカイ案内所」について
歌詞の意味を徹底的に
考察および解説していきたいと思います。
- 二つのシンセカイの意味
- 切なさを受容していく主人公
に注目してご覧ください。
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楽曲の基本情報
今回紹介する「シンセカイ案内所」は、第6弾アルバム「アンドロイドガール」の収録曲。MVの映像は、akkaさん、サイトウユウマさんらが手掛けています。
リスナーの皆様は、これまでのDECO*27作品の中にはなかった「新しいサウンド」を感覚的に捉えることができたのではないでしょうか。
それもそのはず。DECO*27さんは曰く
という想いで本楽曲を制作したとのこと。
音楽自体の完成度は常に高いところをキープしているのに、サウンドのテイストがガラッと変わるのが面白い。というか凄い。
では、さっそく楽曲考察に移っていきましょう。
楽曲名「シンセカイ案内所」とは
「シンセカイ案内所」を直訳すると
新しい世界へ導く場所。
という意味で捉えることができます。
この「新しい世界」というのが
本楽曲のキーになってきます。
先に考察結果を述べると本楽曲は
輪廻転生を繰り返す。死に送り出す。
といった情景で構成されています。
また、タイトルの意図について
DECO*27さんは
「シンセカイ案内所」は、歌詞だけだと「何回も死んで送り出す」という内容の曲ですけど、もうひとつの意味として、「新しいDECO*27の世界に案内したい」という気持ちを込めた曲です。
と述べています。
楽曲の基本情報の欄でも述べましたが、「過去のどの曲にも当てはまらないものにしたい」という想いがタイトルにも顕著に表れているのです。
二つの意味が込められた
「シンセカイ案内所」
この楽曲名が歌詞の内容と
どう関与してくるのでしょうか。
歌詞
おはよう シンセカイ
昨日までは前世と見做して
消えない自己否定を抱いて息してるの
劣っているんだ
陰っているんだ君に為りたくておはよう シンセカイ
大好きなご褒美蹴っ飛ばして
仮面被り 「いやいや」と謙虚を謳う
嫌っているんだ 困っているんだ
心は満たされない息したって 苦しくって
残り物の酸素が好き
愛されたい人生だった
僕にこそ為りたい人生だった– ここで「案内して」って言うんなら
どうなったっていいんでしょ?
– もういっそ もういっそ
二人で終わってみませんか?
– また出逢いたいなんて思えたら
最高じゃんか 期待だね
– もう一歩 もう一歩
旅立とう“2周目”までねえ何回目?これで何回目?
案外ね 悪くないかもね
ああそうだよね ホントそうだよね
知ってるよ ちゃんと知ってるよおはよう シンセカイ
冗談は希望だけにしてって
何度言えば“YES”をくれるのですか?
勝ってみたいな 笑っていたいな
もちろん嘘ですよ夢見たって 慕妬けちゃって
ネガティブ視力何とかして
頑張りたい人生だった
君と重なりたい人生だった– ここで「案内して」って言うけど
また怖くなって逃げんでしょ?
– もういっそ もういっそ
一人で終わってくれませんか?
– 中途半端って醜いんだよ
精一杯輝いてよ
– もう一歩 もう一歩
旅立とう“2周目”までねえ何回目?これで何回目?
案外ね 悪くないかもね
ああそうだよね ホントそうだよね
知ってるよ ちゃんと知ってるよ間違えたのは僕のほうさ
操られて浮かれて
叶えて やがて僕は消えたくなるだろう– 何回も「案内して」って言うのは
ちゃんと叱って欲しいから?
– もういっそ もういっそ
僕と変わってみませんか
– 別に頑張んなくていいんだよ
嫉妬したっていいんだよ
– もう一歩 もう一歩
届かない“2周目”までねえ何回目?これで何回目?
案外ね 悪くないかもね
ああそうだよね ホントそうだよね
知ってるよ ちゃんと知ってるよ妄想ならば これがそうならば
後悔を前借りしても良い?
嗚呼一生にいくつかの願いさ
切ってくれ 僕を切ってくれ作詞作曲:DECO*27
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歌詞の意味・解釈
1番
おはよう シンセカイ
昨日までは前世と見做して
消えない自己否定を抱いて息してるの
劣っているんだ
陰っているんだ君に為りたくて作詞作曲:DECO*27
前提として本楽曲の主人公は
輪廻転生を繰り返しています。
そんなファンタジーの中で主人公は何を想うのでしょうか。
「おはよう」で目が覚める朝は
昨日までを前世と見做すとあるように
転生した後の最初の朝です。
それなのにどうして、前世に抱えていた自己嫌悪感は心に残り続けています。
また「君に為りたくて」という言葉からは、他者に対する圧倒的な劣等感が垣間見えます。
どうなっていくのでしょうか。
転生を繰り返す主人公の結末
を追いかけて行きましょう。
おはよう シンセカイ
大好きなご褒美蹴っ飛ばして
仮面被り 「いやいや」と謙虚を謳う
嫌っているんだ 困っているんだ
心は満たされない作詞作曲:DECO*27
ここで主人公のキャラクター像が見えてきますね。
相手に合わせて仮面を付け替えて、自分の意見があっても押し殺して謙虚にやり過ごしています。
まさに現代社会の日本人
といったところでしょうか?
共感できる人は多いのではないでしょうか。
どんなに人生をやり直しても変わらない自分。当然、心が満たされる訳なんてありません。
息したって 苦しくって
残り物の酸素が好き
愛されたい人生だった
僕にこそ為りたい人生だった作詞作曲:DECO*27
酸素が枯渇した状態の「残り物の酸素」は
苦境の中に見える一筋の希望
のようなものを比喩しているのでしょう。
輪廻転生を繰り返しても、自分の心を変えることはできないけど、それでもいつかは変わるのではないかという希望に照らされているのです。
また歌詞中の「僕」とは
「理想の僕」のこと。
思い通りにいかない主人公は
理想通りになりたい人生だった
と言っているのです。
サビ1
– ここで「案内して」って言うんなら
どうなったっていいんでしょ?
– もういっそ もういっそ
二人で終わってみませんか?
– また出逢いたいなんて思えたら
最高じゃんか 期待だね
– もう一歩 もう一歩
旅立とう“2周目”まで作詞作曲:DECO*27
サビの鍵括弧で綴られる「案内して」という言葉は、「死に送って」「輪廻転生させて」といった意味と同義です。
ちなみに「案内して」というセリフは、主人公以外の人間が吐いたものです。
歌詞中で「二人」とありますが
この楽曲の登場人物は二人だけ。
- 劣等感にまみれる主人公
- 主人公が憧れを抱く君
の両者です。
情景を整理すると、
主人公から見たら羨んでいる君が、
輪廻転生をしたいと言ってきた
といったところです。
まさかの内容ですね。これは妄想的な世界ですけど、主人公は転生する(させる)能力を持っていて、それを知った君が主人公の専売特許である「転生」を懇願してきたのです。
そんな君を目の当たりにして主人公が想ったことが
どうなったっていいんでしょ?
– もういっそ もういっそ
二人で終わってみませんか?
と、この部分で描かれているのです。
「え?転生したいくらいどうでもいい人生なら僕と一緒になりませんか?」
と心で訴えています。
主人公→君
の好意が伝わりますね。
ねえ何回目?これで何回目?
案外ね 悪くないかもね
ああそうだよね ホントそうだよね
知ってるよ ちゃんと知ってるよ作詞作曲:DECO*27
このサビ後半の文字列は
サビ2、ラストサビでも同じように羅列されていくのですが、文章が持つ色はそれぞれのサビでガラッと変わってきます。
ここでは
希望を持って転生をするさま
が読み取れることでしょう。
2番以降どうなっていくのでしょうか。
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2番
おはよう シンセカイ
冗談は希望だけにしてって
何度言えば“YES”をくれるのですか?
勝ってみたいな 笑っていたいな
もちろん嘘ですよ作詞作曲:DECO*27
2番の歌詞は
「転生に対する憂鬱」と「君に対する想い」
を中心に構成されています。
まずは前半部分の転生に対する憂鬱。
良く聞く言葉で「冗談は顔だけにして」というものがありますが、これは「君の顔は不細工で見ているだけで面白いんだから、言動でまでふざける事はないよ」という意味を持つ言葉です。
本楽曲に綴られる「冗談は希望だけにして」
を楽曲の情景を落とし込んで解釈すると
「君の人生は、暗くてどうせ変えようのないものだから、希望を語るのは自由だけど、人生が希望に溢れることはないよ」
といった、かなり暗い印象を持つ言葉にすり替えることが出来ます。
だから
何度言えば“YES”をくれるのですか?
(何度転生すれば希望通りにいくの?)
という嘆き混じりの問いが続くのです。
その後に綴られる
勝ってみたいな 笑っていたいな
というのは
理想の人生になってみたいな
ということです。
しかし、自己肯定感が低い主人公は
もちろん嘘ですよ
どこまでも謙虚に誤魔化してしまいます。
夢見たって 慕妬けちゃって
ネガティブ視力何とかして
頑張りたい人生だった
君と重なりたい人生だった作詞作曲:DECO*27
ここで
- 主人公の君に対する想い
- なぜ人生に憂鬱を感じていたのか?
という部分が鮮明に見えてきます。
それが最も強くストレートに表現されているのが
君と重なりたい人生だった
という部分。
しかし、それは叶いませんでした。
何度も転生してトライしても、謙虚で自分の意見が言えない主人公は、君との関係を築けずに終わってしまう。
頑張りたい人生だった
しかし、1番であったように
「いやいや」と謙虚を謳う
ことしかできないのです。
サビ2
– ここで「案内して」って言うけど
また怖くなって逃げんでしょ?
– もういっそ もういっそ
一人で終わってくれませんか?
– 中途半端って醜いんだよ
精一杯輝いてよ
– もう一歩 もう一歩
旅立とう“2周目”まで作詞作曲:DECO*27
ここまでを整理すると
- 主人公は君に恋心を抱いている。
- しかし恋が成就しないから何度も人生をやり直している。
というストーリーの土台があります。
主人公の君に対する想い
は、しっかりと伝わってきたのではないでしょうか。
何度も人生をやり直してトライするということは、君は主人公に思わせぶりな素振りを見せていたのかも知れません。故に淡い希望を抱いて転生を繰り返していたのです。
しかしながら君は主人公を拒む。
サビ1で
「二人で終わってみませんか?」
と手を差し伸べた主人公でしたが
“君は怖気づいて逃げた”
という事実がこのパートで明確になる。
君を想う心が強いままに憂鬱にまみれ、死を繰り返していたというのに、君は主人公を拒絶したのです。
それならいっそ君なんて、、、
と逆恨みしてしまい
「一人で終わってくれませんか?」
なんて心にないことを呟いてしまいます。
ねえ何回目?これで何回目?
案外ね 悪くないかもね
ああそうだよね ホントそうだよね
知ってるよ ちゃんと知ってるよ作詞作曲:DECO*27
1番では希望を持って転生する主人公の情景が目に浮かぶようでしたが、ここまでのストーリーをなぞった後だと、一種の「悟り」のように感じました。
君を逆恨みしてしまいつつも
君と重なることができない人生を
ああそうだよね ホントそうだよね
知ってるよ ちゃんと知ってるよ
と、受容しているのです。切ない。
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3番
間違えたのは僕のほうさ
操られて浮かれて
叶えて やがて僕は消えたくなるだろう作詞作曲:DECO*27
心にないことを言って、君に逆恨みしてしまったことを悔いています。
操られて浮かれて
というのは、君との未来を勝手に夢見て転生を繰り返していた自分を皮肉めいた表現で形容しているのでしょう。
自分に飽き飽きして、
自己嫌悪感に包まれる主人公。
それなのに再び君は主人公の目の前に現れて、「案内して」と言ってきます(ラストサビへ)
ラストサビ
– 何回も「案内して」って言うのは
ちゃんと叱って欲しいから?
– もういっそ もういっそ
僕と変わってみませんか
– 別に頑張んなくていいんだよ
嫉妬したっていいんだよ
– もう一歩 もう一歩
届かない“2周目”まで作詞作曲:DECO*27
人の気も知らないで転生を懇願してくる君を見て愛想尽かしながらも、ここのサビでは君の全てを肯定しようとしています。
- 僕から見たら君は素晴らしい
- 僕から見たら君は既に成功している
そう思っているからこそ
僕と変わってみませんか
別に頑張んなくていいんだよ
という声をかけるのです。
「僕の人生と変わったらきっと自分の人生の素晴らしさに気付けるよ」と相対的に君を肯定して、遠まわしに鼓舞を送っています。
届かない“2周目”まで
というのは、何度転生しても変わらないという意味ではなく、2週目をする必要がないくらいいい人生だよと言っているように聞こえます。あくまでも肯定的に。
妄想ならば これがそうならば
後悔を前借りしても良い?
嗚呼一生にいくつかの願いさ
切ってくれ 僕を切ってくれ作詞作曲:DECO*27
君の全てを肯定した後で、どんなに頑張っても君に届かないと悟った主人公は
切ってくれ 僕を切ってくれ
と、君を想う心や君との関係自体に
踏ん切りを付けようとします。
もしかすると、ここで主人公は君に対してはっきりと好意を伝えたのかも知れません。どこまでも自分の想いを伝えれない謙虚な主人公が、希望を抱けない今を追い風に変えて行動を起こしたのです。「後悔」と言う文字通り、後で悔いる結果になってしまったとしても、もどかしい憂鬱に、ひいては繰り返す人生に終止符を打つことを決意したのです。
感想
直感の赴くままにストーリーを展開していきましたが、我ながらかなり独創的に展開してしまったなと思います。解釈できる幅が広すぎる。
どんな背景を前提に置くのか、
で何通りものストーリーが生まれそうですね。
もし自分に転生する能力があったら、、、
と考えながら楽しく考察させて頂きました。
【DECO*27/シンセカイ案内所】
歌詞の意味の解釈でした!(‘ω’)
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