金曜ナイトドラマ「時効警察」の主題歌!
【椎名林檎】の
「公然の秘密」について
歌詞の意味を徹底的に
考察および解説していきたいと思います。
さすが椎名林檎さんと言わんばかりに、今回紹介する楽曲も難しい単語が多いです。一つ一つの単語を解説しつつ考察を進めていきたいと思います。
マジで語彙力が高くなります(笑)
そしてMVも美しい…
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ドラマ「時効警察はじめました」の主題歌
実に9年振りのコラボ!
冒頭でも述べたように、今回解説していく「公然の秘密」は、ドラマ「時効警察はじめました」の主題歌として書き下ろされた楽曲。ドラマのメイン監督は三木聡、主演はオダギリジョーが努めるのですが、実はこのタッグに椎名林檎が楽曲を提供するのは今回で2回目。過去に東京事変として「天国へようこそ」を提供しています。
懐かしい楽曲。2010年の楽曲ですが、この機に視聴してみてください。
前回の提供が2010年になるため、林檎さんはなんと9年ぶりのオファーになります。林檎さんの1ファンとしてはオファーして頂いてありがとうございますといった感じです(笑) また「公然の秘密」は、椎名林檎自身のツアーバンド・MANGARAMAのメンバーを迎えてレコーディングが行われたそう。
奇々怪々な歌詞×疾走感溢れるメロディー
このアンサンブルが、リスナーの感情を高揚させてくれる印象。
楽曲の詳細は大方掴めましたか?ではさっそく楽曲考察に移っていきます。
、、、と言いたいところなのですが、本楽曲はあくまでも「時効警察はじめました」の為に書き下ろされた楽曲です。そのため楽曲の真意を理解するためには、ドラマの内容を把握しておく必要があります。まずは、ドラマのあらすじを追っていきましょう。
「時効警察」のあらすじ
時効事件が解決していくのが趣味。
主人公「霧山修一朗(オダギリジョー)」を待っているストーリーとは?
以下が公式が発表しているあらすじ。
時効になった事件を“趣味”で捜査する男・霧山修一朗(オダギリジョー)――あの伝説の男がFBIに派遣されてから12年が経ったある日、ふらっと総武警察署の時効管理課に帰ってきた。しかも舞い戻るや、霧山は24年前に発生した「浦島ガソリンスタンド火災事件」に興味を抱く。寂れた港町・浦島町のガソリンスタンドが全焼した上に大爆発を起こし、焼け跡から損傷の激しい焼死体が見つかった、この事件…。警察は当時、死体が握っていた制服のボタンや体格などから、犠牲者は元アルバイトの高校生・沢村浩司と断定し、事故・殺人・自殺の可能性も含めて捜査したが、真相は闇に覆われたまま。くしくも9年前、殺人の時効が廃止されるわずか1日前に時効を迎えていた――。
日本に戻ってきたところで特にやることもない霧山は、この事件を調べてみることに。霧山への恋心が再燃した交通課の三日月しずか(麻生久美子)も、下心をちらつかせながら、趣味の捜査のお手伝いを名乗り出る。さらに新人刑事の彩雲真空(吉岡里帆)も刑事課という自分の本業は二の次で、時効事件の捜査に首を突っ込んでくるのだった。。。
- とにかく時効事件に興味がある霧山
- 恋心が再熱し、寄り添う三日月
- 時効事件に首を突っ込む彩雲
三者三様の想いが交わってますね。今後どのように展開されていくのでしょうか。是非是非、ドラマをチェックですね。
先に言っておくと歌詞は「恋心」が妖艶な形で描かれています。あらすじだけで予測すると三日月の想いになるのでしょうか?断定はできませんね。まずは楽曲名をチェックしていきましょう。
楽曲名「公然の秘密」とは
「公然の秘密」とは
表向きは秘密とされているが、
実際は広く知れ渡ってしまっていること。
という意味になっています。
この楽曲名が歌詞の内容と
どう関与しているのでしょうか。
「公然の秘密」の歌詞
どこからか漂う 美味しそうな匂い
逃れられないの一旦嗅いだら最後よくらくら鎧跟けちゃう 拐かす匂い
秘密という名で評判のフレーバーよ秘すれば花ね本当噂通りで堪んない
自分を誰し込んだ本体突き止めたい
ほらご覧隠したってみえみえ…嘘を
乗せたトップノートああ近いようね
初々しいバニラ そう甘やかでしょとろとろ蕩けちゃう 抱え切れぬ恋
秘密といういま流行のフレーバーの主に成り果てて噂立ったら堪んない
自分を化かし通し首尾よく諦めたい
眼は逸らしたってばればれ…悔いを
残すラストノートああスパイシーね
もどかしいシナモン ほろ苦いのよ騙し騙され未来はどうなっちゃうの
罰は受けるハッピーエンドをお願い頭まで微熱持ってめろめろ…ジゴロ
憖そそらないで存在さえもう罪深い
チョコレート 芳しいのよ厭だ厭だ
見付かんないで誰にも…フェロモン
遍く振り撒いて皆を誘き寄せないで
いつも見張り続けて独り占めしたい
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「公然の秘密」歌詞の意味・解釈
1番
どこからか漂う 美味しそうな匂い
逃れられないの一旦嗅いだら最後よくらくら鎧跟けちゃう 拐かす匂い
秘密という名で評判のフレーバーよ
本楽曲は「匂い」「香水」「フレーバー」など、嗅覚を刺激する物質や形容がなされた歌詞が多く登場しますが、これは全て「異性のフェロモン」を指しています。
言うまでもなく、冒頭の美味しそうな匂いは、異性(ここでは主人公を女性と捉えて男性と仮定しましょう)の魅力的な体臭を表しています。
そして、魅力に惹き込まれていく主人公を、巧みな表現からなる下の二文が物語る。
歌詞中の鎧は、「理性」を対比しており、跟けるとは、あるものを加え、新しい状態にすること。
また、拐かすとは、力ずくで、または、騙して、人を連れ去ること。
魅力的過ぎる彼のフェロモンは、主人公の理性を容易に取っ払っていくのです。またこの誘惑が「秘密という名のフレーバー」と対比されている理由は、匂いは可視化できないからです。
秘すれば花ね本当噂通りで堪んない
自分を誰し込んだ本体突き止めたい
ほらご覧隠したってみえみえ…嘘を
乗せたトップノートああ近いようね
初々しいバニラ そう甘やかでしょ
秘すれば花とは、世阿弥の「風姿花伝」にある言葉で、“観客は予想もしていないようなことに感動するものである。そして、結果を予想させないように演じるのが芸である”と説かれたもの。つまり、隠すこと・秘めることの重要性を説いたものです。
また「誰し込んだ」も椎名林檎さんならではの当て字で、元の語は「誑し込んだ(たらしこんだ)」。これは“うまいことや甘いことを言って、年若い異性をうまくだますこと”を意味します。本歌詞では自分を~とありますので、
- 自ら彼の魅力に入り込んでいっている。
- 自ら恋に溺れに行っている
という、主人公の胸の内を表現しています。
そして、トップノート(top notes)とは、香水をつけて最初に感じる香りを指す言葉。
- 秘すれば花
- 嘘を乗せたトップノート
- 初々しいバニラ
などの言葉から解釈するにここでは彼が持つ
不道徳な要素を含んだ性的魅力
について綴られていることが分かります。
ミステリアスな人は、妖しい魅力があるとか言われますが、まさにそういった類ですね。
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2番
とろとろ蕩けちゃう 抱え切れぬ恋
秘密といういま流行のフレーバーの
抱えきれぬ恋が蕩ける(とろける)というのは、
理性のうちに隠していた恋が漏れ出す
ということ。
フレーバーとは、口に入れた瞬間に感じる香り、触感、味など、たくさんの意味を包括する言葉なのですが、彼と出会った瞬間に理性がぶっ飛ぶほどの衝撃を受けた主人公を示す言葉として、ここでは使われています。
今回のテーマは「匂い」なのですが、林檎さんの比喩力の高さを改めて感じますね。
主に成り果てて噂立ったら堪んない
自分を化かし通し首尾よく諦めたい
眼は逸らしたってばればれ…悔いを
残すラストノートああスパイシーね
もどかしいシナモン ほろ苦いのよ
ここでは
恋心を悟られないことに必死な主人公
が描かれています。
主に成るというのは
自分の好意が表立ってしまうほど、強くなってしまうこと。
そうなってしまえば、
周りに気付かれることも必至。
噂されて恋が終わってしまうかも知れません。
だから自分を化かし通して、今の絶妙な距離感を首尾よく通そうとしているのでしょう。
化かし通すとは、
自分の心を迷わして正常な判断を狂わせること。
首尾よくとは、物事が都合よく運ぶさま。
おそらく主人公は、彼の前でも恋心を悟られないようにそっけない態度を取っています。それに対する後悔が後半の歌詞で綴られる。
ラストノートとは、匂いの余韻のこと。
目が合っても逸らすなど、彼に対して興味がないように装っている主人公ですが、悔いが残るラストノートとあるように、後に後悔をしています。
その感情が歌詞中の
もどかしいシナモン ほろ苦いのよ
という部分で表現されています。
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3番
騙し騙され未来はどうなっちゃうの
罰は受けるハッピーエンドをお願い
自分の恋心を悟られないように、自らを騙し、彼すらも欺いている主人公ですが、進展のない恋愛に不安を感じています。
罰を受けてもいいから恋を成就させて!
と、神にすがるような想いが綴られる。
頭まで微熱持ってめろめろ…ジゴロ
憖そそらないで存在さえもう罪深い
チョコレート 芳しいのよ厭だ厭だ
見付かんないで誰にも…フェロモン
遍く振り撒いて皆を誘き寄せないで
いつも見張り続けて独り占めしたい
難しい単語が多いのでまずは紹介から。
ジゴロとは、女たらしのこと。
憖そそるとは、中途半端な刺激を与えてある感情や行動を起こさせること。
芳しいとは、の持つすばらしいという意味を否定し、「状態・状況が良くない」 という意味。
厭だ(いやだ)とは、物事に対して不快な気持ちを抱くこと嫌な感じがすること。
勉強になりますね(笑)
主人公から見た彼は女たらしであり、誰にでも中途半端に優しくしてしまう人物のようです。
まさに「チョコレート」のような甘い誘惑。
その甘さに自分以外の女性がとろけてしまうのを恐れている主人公は
見付かんないで誰にも…
と心で呟いており、最後には
いつも見張り続けて独り占めしたい
という独占欲がストレートに溢れ出すのです。
全体を通して
「魅力的なあの人の魅力に気付いているのは、自分だけだと思いたい」
そんな人間らしい欲望が描かれているのです。
感想
全体を通して
- 恋心を悟られない隠す主人公
- 妖艶な雰囲気で周囲を誘惑する彼
といった二者の絶妙な距離感と、進展できない恋のもどかしさが描かれていたように感じました。
情景は各々あるとは思いますが
恋心を悟られて現状を壊すのがこわい
だから、遠くからそっと見守る
という主人公の環境や心情は、
共感性が高いものだと思います。
そして改めて、林檎さん語彙力高すぎです(笑)
【椎名林檎/公然の秘密】
歌詞の意味の解釈でした!(‘ω’)
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コメント
「誑し込んだ」が「誰し込んだ」になってるのは、誤字?、駄洒落?
返信遅れまして申し訳ありません。
コメントありがとうございます。
これは誤字ではなく、林檎さんの楽曲に多い「当て字」。いわば駄洒落のようなものですね。記事の方に解説を追記しておきました。