2番
呼吸を拒めなくたって
その両足で立って叫んで得体の知れない欲望が
小さな体を蝕んだ
止まらない憂鬱の中で主人公は「呼吸を止めてみよう」とします。しかしあろうことか、本能は生にしがみつき「呼吸させようとする」のです。
まるで「シャキッとしろよ!」と自分に言われたような主人公は、開き直って前を向こうとする。立ち上がって叫ぶ姿はその意志を表明しているのでしょう。
また後半部分の歌詞表現が秀逸的。
得体の知れない欲望というのは、本記事で夢と置き換えた主人公の目標のことなのですが、小さな体とあることから、その夢が主人公の身の丈に合っていない大きなものであることを読み取ることができるのです。
大きな夢である故に主人公は苦悩している。
背伸びしたってアヒルはアヒルか
空の蒼さを眺めているんだこんな夜は聞き慣れた
歌でも聞きたいな
アヒルと言うと【みにくいアヒルの子】という劣等感を抱いた雛の物語を連想させられるのではないでしょうか。
おそらく劣等感を感じている自分とアヒルの子を重ね合わせているのだろうと解釈しているのですが、更に付け加えて言うと、アヒルは飛ぶことへの動機や飛ぶ能力自体が低下した二次的な進化をしていない鳥であると言われています。
アヒルが飛べないように主人公も飛べていない。
だから空の蒼さ(暗闇)を眺めているしかないのです。
サビ2
きらりこの世を踊るんだ
なんだかんだで上手く行く
気がしている午前三時素晴らしきこの世界を
悪あがき、綱渡り
その心、裏腹に胸騒ぎ
時は進み「午前3時」を迎える。
憂鬱に陥ったり開き直ったりを繰り返しているうちに、またも「なんだかんだ上手くいく」という、1時頃の心情に戻っています。概ね楽観的な気分のときですね。
サビ2までで時間を描いてきたことで
楽観→憂鬱→楽観
と主人公の心が常に揺れ動いていること。それくらい考え事に没頭してしまっていること、を読み取ることができる。
全体的に具体的な情景表現だからこそ、主人公の境遇を自分の中に落とし込みやすく、共感しやすいのではないでしょうか。歌詞はいよいよラストフレーズに移ります。
3番
始まりと終わりはつむじ風
いつだって唐突に揺さぶられ耐え忍ぶ時は永遠に感じられ
まあそれも今じゃ御一興
ここで「風」という言葉が出現し、「風通る隙間埋めあって」という1番の歌詞の伏線が回収される。
歌詞から分かるように「風」は主人公の心を揺さぶるものとして使われています。やはり風を遮るという行為は、主人公にとっての救いを表していたのです。
孤独な夜に葛藤する物語の中で、人々の温かさや有難みが隠されたメッセージとして記されていたわけです。
また後半の文から「完全に開き直って前を向いている」主人公の姿を想像することができる。
ユーモアを奪う孤独な夜の時間すら「一興(面白い)」と言っています。葛藤の中で何かが吹っ切れた主人公は前を向くことを決意したのでしょう。
どんな状況も「面白い(ユーモア)」を感じれるのならば、まさに敵なしの状況というわけです。
みにくいアヒルの子の物語だって、劣等感を感じていた雛は美しい白鳥の子へと成長します。これと同じように人一倍悩み、自分の夢と葛藤した主人公はきっと夢へと羽ばたいていくのではないでしょうか。
感想
いかがでしょうか。
どんな人だって、悩みに起因する眠れない夜を経験したことがあると思います。私もあります。
今後、あなたの身にそのような状況が訪れたら「ユーモア」であると自分の中に落とし込んで、その状況すらも楽しもうとしてはいかがでしょうか。
苦しんだって楽しんだって夜は明けていくのですから。
私もユーモアを味方に付けてポジティブに人生を謳歌していきたいなと改めて感じました。
合わせて読みたい:【King Gnu】歌詞の意味解釈やアルバム情報、バンド情報など全てのまとめ!
【King Gnu/ユーモア】
歌詞の意味の解釈でした!(‘ω’)
スポンサーリンク
コメント
自分も凡そ同じ解釈でした。
しかしながら、こちらのサイトはより詳細により深く言語化されており、表現力に感銘を受けました。
私もこの歌詞と同じく、気持ちが浮き沈みする日々を過ごしており、かつての若いころに発揮していたユーモアを今こそ取り戻し、現状を打破できればと思います。
前向きに生きたいです。
かなりの亀レスですが、コメントありがとうございます。夜は特に気持ちの浮き沈みが激しいものですよね。
ユーモアを取り戻して前向きに生きる。
まさにメッセージ性の本質ですよね。