アルバム「CEREMONY」の収録楽曲。
【King Gnu(キングヌー)】の
「小さな惑星」について
歌詞の意味を徹底的に
考察および解説していきたいと思います。
なぜ「惑星」ではなくて「小さな惑星」なのか。その意図を読み取っていくことで、楽曲の素敵さに磨きがかかります。
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楽曲の基本情報
今回紹介していく「小さな惑星」は、King Gnuの第三弾アルバム「CEREMONY」の収録楽曲であり、Honda「VEZEL」のCMソングとして書き下ろされた楽曲。
CMは“昼篇”と“夜篇”の2バージョンがあり、上に埋め込んでいる動画がそれに当たるのですが、“昼篇”を「King Gnu」で“夜篇”を「Friday Night Plans」がそれぞれ担当しています。
CEREMONYの中で1番の爽やかさを感じさせる本楽曲と、都会の街を颯爽と駆け抜けていくVEZEL車の疾走感が絶妙にマッチしている。書き下ろし楽曲としては文句のつけようがないのではないでしょうか。
またKing Gnuは本楽曲の作成にあたって
これからの季節感、疾走感を意識して作らせていただきました。
とコメントを残しています。この発表があったのは11月でしたので、これからの季節とは「冬」から「春」になっていく季節感のことを指しています。(しっかり後述していく歌詞に関与してきます)
最後に余談ですが、HONDAのCMと言えば、これまで米津玄師、ONE OK ROCK、Suchmos、Nulbarich、SIRUPなど、日本のアーティストが多く起用されており、とにかく「選曲がお洒落」だと定評があります。
そこで今回は2019年の音楽シーンで最前線を走る「King Gnu」と、イギリスのメディアに取り上げられるなど国内外問わず注目を集める「Friday Night Plans」が目を付けられたということなのです。
毎回毎回本当に思いますが、HONDAの選曲が本当に良すぎる。曲がかっこ良すぎて、車も尚更かっこよく見える。まさに相乗効果ですね。
続いて楽曲について見ていきましょう。
楽曲名「小さな惑星」とは
本楽曲において「小さな惑星」とは
私たちが生命を置く地球
のことを指しています。
地球を指していることは歌詞を見ていくことで容易に明らかになるのですが、面白いのがあえて「小さな」と形容している意図です。
実はこの意図にはポジティブ要素とネガティブ要素が混在しているのではないかと筆者は解釈しているのですが、解明するべく歌詞に着目していくことで、些細な幸せに気付くことができました。
さっそく本題の歌詞に迫っていきましょう。
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歌詞
ずっと夢を見ていたいのに
決まった時間に今日も
叩き起こされるんだ大きな欠伸くらい許してよ
酸素が足りずに今日も
産声をあげているんだ小さな惑星の
いつもの街角の
何気ない陽だまりの中で凍った愛が静かに溶け出したんだ
街から仄かに春の匂いがした
結局何処へも行けやしない僕らは
冬の風に思わずくしゃみをした終わらない歌を
歌っているんだ
意味のない日々に
何を恐れてるのか鳥たちは無心で飛んでゆく
ただただ空の青に
魅せられてしまったのか同じ夢を見たんだ
在り来たりな夢だったと
あなたがふっと笑うから凍った愛がみるみる溶け出したんだ
心の奥底に春の風が吹いた
次第に綻びボロが出てきたとして
まあそれも別にいいかと
くしゃみをして笑い合うのさずっと夢を見ていたいのに
決まった時間に今日も
叩き起こされるんだ大きな欠伸くらい許してよ
酸素が足りずに今日も
産声をあげているんだ作詞作曲:常田大希
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歌詞の意味・解釈
1番
ずっと夢を見ていたいのに
決まった時間に今日も
叩き起こされるんだ大きな欠伸くらい許してよ
酸素が足りずに今日も
産声をあげているんだ
ここで描かれているのは
ネガティブ要素の小さな惑星。
「決まった時間に叩き起こされること」は、規則正しく生きないといけない肩身の狭い社会のことを表していて、「酸素が足りずに」という歌詞は、窮屈で息苦しいことをストレートに表現しています。
社会の狭さを漠然と感じている主人公。
あなたも決められた道を歩まないといけない社会に、うんざりした経験があるのではないでしょうか?
私は圧倒的にあります。
小さな惑星の
いつもの街角の
何気ない陽だまりの中で
この「陽だまり」という暖色カラーの言葉が、上記の歌詞で述べられていたネガティブ要素まみれの小さな惑星をポジティブ要素に切り替えようとしています。
歌詞を追っていきましょう。
サビ1
凍った愛が静かに溶け出したんだ
街から仄かに春の匂いがした
結局何処へも行けやしない僕らは
冬の風に思わずくしゃみをした
氷が溶けて行くように、歌詞に温かみが出てきます。
これは完全に考えられた意図で「凍った愛が静かに溶ける」という歌詞は、まさに情景全体が温かみを持つイメージと重なります。
さてこの温かみに溢れたサビを解釈していきましょう。
1番のAメロで述べられていたネガティブな情景を重なるのですが、「結局どこにも行けない」とあるように、私たちは窮屈な社会で生きていかなければならない。
しかし窮屈な社会だからこそ、人々が寄り添い「温かさ」を感じることができるのです。だから歌詞では「凍った愛が静かに溶けて行く」と、小さな惑星だからこそ起こる奇跡が描かれているのでしょう。
些細な幸せに気付けますね…
小さな惑星の小さな幸せに気付いた主人公だからこそ、さきほどまでの憂鬱を取り払うように、「くしゃみ」をして日常の中に戻っていくのです。
2番
終わらない歌を
歌っているんだ
意味のない日々に
何を恐れてるのか
「終わらない歌」が指すのは、
→世界の狭さに温かさを感じる
というループする感情が描かれる「小さな惑星」そのものなのではないかと考えています。
終わらないとあるのは、社会の中で生活する人間である以上、1番で述べられたような苦悩は一生ついて回るものであるし、サビ1で述べたような人間愛もついて回るものだからでしょう。
自分の葛藤を「悩むだけ無駄!」だと感じたからこそ「意味のない日々に何を恐れてるのか」と前向きな言葉が歌詞で綴られていくのでしょう。
鳥たちは無心で飛んでゆく
ただただ空の青に
魅せられてしまったのか同じ夢を見たんだ
在り来たりな夢だったと
あなたがふっと笑うから
「悩むのが無駄!」
と理屈では解った主人公ですが、やはり心の奥底では「窮屈な社会」に対するうんざりを隠し持っている。
私たちもきっとそうですよね。知らず知らずのうちに「本当の欲求」を諦めているのではないでしょうか。
だから主人公は自由を象徴する鳥を眺めながらも「まあ仕方がない。窮屈な社会を愛していくしかないか。」と諦めて、「空」から「あなた」に視点を切り替えるのです。
きっと歌詞中の「あなた」は
広義的な愛する者の象徴
なのでしょう。
サビ2
凍った愛がみるみる溶け出したんだ
心の奥底に春の風が吹いた
次第に綻びボロが出てきたとして
まあそれも別にいいかと
くしゃみをして笑い合うのさ
ニュアンスとしてはサビ1とほどんど同じ。
ただ大きく違うのは「思わずくしゃみをした」と締められるサビ1に対して、サビ2は「くしゃみをして笑い合うのさ」というフレーズで終わりを迎える。
これこそ人類愛の象徴なのではないか。
そう思わせるように仕向けたのではないか。
と感じています。
私たちが生きている社会は決して「自由」とは言い難い。だが「愛がない社会」とも言い難い。
空に羽ばたくための大いなる風を待ち望むのもいいが、まずは心に吹いてくれている春の風を感じることが大切なのだ。
「小さな惑星」の歌詞には
小さな惑星だからこそ感じれる愛情。
それに気付かされるメッセージ性が隠されていたのです。
感想
楽曲が持つ爽やかさに負けずと、前向きな歌詞が素敵すぎました。
考察中では触れませんでしたが、散々遠まわしに「人間愛の素敵さ」を説いたにも関わらず「次第に綻びボロが出てきたとして」と、愛は恒久的ではないことを意味する歌詞をさりげなく入れてきているのは、常田さんらしいなと勝手に感じました。
歌詞考察を終えたうえで楽曲から感じたことは、遠く広がる空の大きさに憧れるのもいいけど、小さな惑星の中にある些細な幸せに目をやるのもいいものだということ。というより当たり前に居てくれる存在をまずは大切にしたいなと。
合わせて読みたい:【King Gnu】歌詞の意味解釈やアルバム情報、バンド情報など全てのまとめ!
【King Gnu/小さな惑星】
歌詞の意味の解釈でした!(‘ω’)
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