【Creepy Nuts × 菅田将暉】の「サントラ」について、歌詞の意味を徹底的に考察および解説していきたいと思います。
✔ 演者の生き様を生々しく描いた歌詞
✔ コラボだからこそ生まれた世界観
✔ すべての人に突き刺さる普遍性
ラジオ番組がきっかけで生まれた最高にカッコいい楽曲。是非最後までお読みください…!
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エンターテイナーの目線で描いた曲…?
今回紹介していく「サントラ」はCreepy Nuts・菅田将暉のコラボ楽曲。
Creepy NutsはUMB3連覇を成し遂げた日本一のラッパー・R指定と、2019年にDJの世界大会で優勝を果たしたDJ松永からなる二人組のヒップホップユニットです。
2019年の中頃にお互いのラジオ番組「オールナイトニッポン(0)」でのやり取りの中で楽曲の共同制作が決定し、紆余曲折を経ておよそ1年後の2020年7月1日にこの楽曲が発売されました。
作詞を担当したR指定さん曰く、楽曲は「エンターテイメントをする人たちの目線から書いた曲」とのこと。
Creepy Nutsと菅田将暉さんの仕事を重ねて描きながら、リスナーの人生を彩るような熱い楽曲となっています。
DJ松永さんの世界大会挑戦が楽曲制作決定後に挟まったので、制作発表から完成まで1年もの期間が空けられることとなりました。
楽曲名「サントラ」とは
「サントラ」とは「サウンドトラック」の略で、映画のフィルム上における音楽が収録されている部分のこと。
タイトルを命名したDJ松永さんはラジオ番組にて
それぞれの仕事(俳優とミュージシャン)が集約されているものがサウンドトラックだし、映画も音楽もエンターテイメントで、それぞれが聴く人・見る人の感情を助長するものじゃないですか。
それ自体がリスナーの人生という映画のサウンドトラック的なものでもあるんじゃないかなというのがありまして。
とコメントしています。
- 俳優とミュージシャンが交わる部分である
- リスナーの人生を彩るBGMである
という二つの意味合いで「サントラ」という言葉が用いられているようですね。
この楽曲名が歌詞の内容とどう関与しているのでしょうか。
さっそく本題の歌詞を見ていきましょう…!
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歌詞
悩み事 隠し事 私事だらけを書く仕事
悩み事 隠し事 のみこんで笑顔でやる仕事
目の前の白紙ごと 塗りつぶす想いを吐く仕事
泣く仕事笑う仕事 自分じゃない誰かになる仕事
傾奇者 お尋ね者 なれずに何故か もがく仕事
あらぬ事よからぬ事かきたてられ心底病む仕事
いくつもの言の葉を紡ぎやっと一つ伝わる仕事
言葉すら不要 目の動き一つ全て伝えてしまう仕事
自分を正当化する仕事 自分を過大評価する仕事
大勢の他人を蹴落としてでも
自分を認めさせる仕事
泣かせる仕事 笑わせる仕事
見たお前が勝手に重ねる仕事
ヒトの感情以外は何一つ生み出さぬ仕事映画みたいな生まれ育ちや
ドラマみたいな過去じゃ無くても
華々しく照らしてくれ
ありふれた生き様を
この人生ってヤツはつくりばなし
自分の手で描いて行くしか無い
あの日でっち上げた無謀な外側に
追いついてく物語ペンを持てばマイクロフォン握れば
一度回る溝に針を落とせば
幕が上がれば 板の上に立てば
カメラが回りスタートがかかれば
俺は最強で単純で最低な奴
異常で繊細で平凡な奴
引き出しが空っぽになるまで全部を出しても出しても出しても飽き足らず
ココロとカラダの恥部を晒す
幾度と無く自分を笑う
首吊り台からピース ワンラブ
こんな俺を認めてくれるか?
あの頃の俺は惚れてくれるか?
パッと咲き誇り散って行くのか?
じっと枯れ残り腐って行くのか?
26最後の夜、少し期待して目を閉じ眠る
27最初の朝、何事も無くまた目が覚めた
ツレが遠くへ旅立った日
身内があっちへ行った日
ステージの上から画面の向こうから
この口でほざく「どう?調子!」声を張り上げ 肩を震わせ
目を見開いて赤い血をたぎらせて
生々しく書き上げてく
自分だけの生き方を
夢なんて見なけりゃ苦しまない
それでもこうしてもがいて行くしか無い
あの日踏み外したレールの向こう側に
刻みつけるこの轍ライツ カメラ いくつもの夜
いくつものシーンといくつものカット
ライツ カメラ いくつもの朝
いくつものウソといくつものファクト
ライツ カメラ いくつもの目
行き着く先ならいくつもの末路
ライツ カメラ いくつもの耳へ
一枚の素肌から アクション映画みたいな生まれ育ちや
ドラマみたいな過去じゃなくても
華々しく照らしてくれありふれた生き様を
この人生ってやつは作り話
自分の手で描いていくしかない
あの日でっち上げた無謀な外側に
追いついていく物語声を張り上げて肩を震わせて
目を見開いて赤い血を滾らせて
生々しく書き上げてく自分だけの生き方を
夢なんて見なけりゃ苦しまない
それでもこうしてもがいていくしかない
あの日踏み外したレールの向こう側に
刻み付ける物語作詞:R指定
歌詞の意味・解釈
1番
悩み事 隠し事 私事だらけを書く仕事
悩み事 隠し事 のみこんで笑顔でやる仕事
目の前の白紙ごと 塗りつぶす想いを吐く仕事
泣く仕事笑う仕事 自分じゃない誰かになる仕事
傾奇者 お尋ね者 なれずに何故か もがく仕事
あらぬ事よからぬ事かきたてられ心底病む仕事
いくつもの言の葉を紡ぎやっと一つ伝わる仕事
言葉すら不要 目の動き一つ全て伝えてしまう仕事
エンターテイメントをする人たちの視点から描かれた楽曲「サントラ」。
楽曲冒頭ではエンターテイナーであるCreepy Nutsと菅田将暉さんの仕事が対比されながら、その在り方が語られていきます。
Creepy Nutsの仕事は音楽を届けること。悩み事や隠し事を全て歌詞や音に落とし込み、なんとか伝えたいことをリスナーに伝える仕事です。
自分をありのままに曝け出すという点で特殊な仕事であり、そこにはきっとミュージシャンでなければわからない苦悩や葛藤があるはずです。
一方の菅田将暉さんの仕事はそれとは対照的で、自分ではない誰かを演じること。自分の悩みや不安などはおくびにも出さず、見るものに演じている人物の全てを伝えることを仕事としてます。
何の言葉も使わずに、その目の動き一つで感情をぶつける仕事。時に本来なる必要もない「傾奇者」や「お尋ね者」を演じきれず、もがき苦しむことだってきっとあるはず。
それぞれが表舞台に立つ華々しい存在でありながら、お互いに全く異なる仕事を日々全うしています。
あえて言うことでもないかもしれませんが、盛り込まれたライム(韻)や言葉遊びの一つ一つが聴いていて最高に心地良いです。
自分を正当化する仕事 自分を過大評価する仕事
大勢の他人を蹴落としてでも自分を認めさせる仕事
泣かせる仕事 笑わせる仕事
見たお前が勝手に重ねる仕事
人の感情以外は何一つ生み出さぬ仕事
いかに自分が正しくて、いかに他人が自分より劣っているかを認めさせるのがラップバトル。
「自分を正当化する仕事 … 自分を認めさせる仕事」はCreepy Nuts、ひいてはバトルMCのR指定さんの仕事の在り方を言い表しているような印象を受けます。
ここまでの歌詞を見ると在り方がかなり対照的で、偏にエンターテイナーと言ってもほとんど共通点が無いようにも思えるCreepy Nutsと菅田将暉さん。
しかし彼らの間で確かに共通していることは、「人の感情以外は何一つ生み出さぬ仕事」を生業としているということです。
サビ1
映画みたいな生まれ育ちや
ドラマみたいな過去じゃなくても
華々しく照らしてくれ ありふれた生き様を
サビは突き抜けるような菅田将暉さんの歌声で。
世の中皆が皆、映画の主人公のような生まれ育ちや壮絶な過去を抱いて生きているわけではありません。
それは勿論音楽で想いを伝えるCreepy Nutsも、映画やドラマで主人公を演じる菅田将暉さんも同じはずです。
しかし彼らの届けるエンターテイメントは、たとえ聴く者・見る者の人生が壮絶なものではなかろうと人々に夢や感動を与える存在。
「華々しく照らしてくれ ありふれた生き様を」
彼らの仕事は人々のありふれた生き様を華々しく照らし上げる、まさに人生の「サウンドトラック」を届けることなのです。
またこの部分の歌詞はエンターテイナー視点のものでありながら、エンターテイメントによって照らされる私たちリスナーの視点ともぴたりと重なります。
それはきっとCreepy Nutsと菅田将暉さんもまた、エンターテイメントにより生かされる人間の一人だからでしょう。
ありふれた生き様かもしれないけれど、その音楽で、その演技で、この人生を華々しく照らし上げてほしい。
きっと誰もがそう望んでいるはずです。
この人生ってやつは作り話
自分の手で描いていくしかない
あの日でっち上げた無謀な外側に
追いついていく物語
この部分の歌詞も、エンターテイナー側の視点でありながらリスナーにも共感を持って受け入れられる内容になっています。
自分の人生は自分で描いていくしかない。あの日でっちあげた無謀な外側に追いついていく物語。
R指定さんが歌唱する部分のやや主観的でアングラ的な歌詞と、菅田さんが歌うサビの普遍的でポップな歌詞が絶妙なバランス感で共存しながら、楽曲は美しく進行していきます。
2番
ペンを持てばマイクロフォン握れば
一度回る溝に針を落とせば
幕が上がれば 板の上に立てば
カメラが回りスタートがかかれば
俺は最強で単純で最低な奴
異常で繊細で平凡な奴
引き出しが空っぽになるまで全部を出しても出しても出しても飽き足らず
ココロとカラダの恥部を晒す
幾度と無く自分を笑う
首吊り台からピース ワンラブ
再びR指定さんの歌唱ゾーンへ。
2番では、板の上に立つ演者側の人間が抱える苦悩や葛藤といったものにスポットライトが当てられていきます。
マイクを握る、レコード上に針を落とす、カメラが回りスタートがかかる。
3人はその仕事の在り方こそそれぞれ異なりますが、板の上では全力で自らの仕事を貫きます。
自分の持てる全てを空っぽになるまで出し尽くし、時に体を張り、時に涙を流し、心や体のありのままを観衆にさらけ出す。
その姿は最高にカッコいいものでありながら、見ようによっては笑って水に流したくなるような恥を晒すものでもあるはずです。
ここからの歌詞ではそんなエンターテイナーの抱えるどうしようもない不安が描かれていきます。
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