3番
せっかくの丑三つ時なのに眠そうで
気づけばいつの間にか寝息を立ててる
まるでこの世のものとは思えない
写真にだけ写る美しさ
丑三つ時と言えば、2時から3時。幽霊にとってのゴールデンタイム。
それなのに「気付けば寝ちゃっている」という、おっちょこちょいな幽霊を表現したかった。
そしてこの4行の中に普段尾崎世界観が書かないフレーズがある。
それは「美しさ」
何でかと言うと「写真には映らない美しさがあるから」というブルーハーツの「リンダリンダ」の心に残るフレーズを掛けている。
写真には写らない美しさもあれば、写真にだけ写る美しさがある。
幽霊でいえば心霊写真。
まるでこの世のものとは思えない、写真にだけ写る美しさ。
おっちょこちょいな幽霊を表現したのは、君という人物がそんな性格だったからでしょう。
幽霊の仕草は、言うならば君とのかけがえのない想い出の一端なのです。
またブルーハーツの詞を意識した、写真の発想はとてつもないですよね。
君はもうここにいない。だから写真だけに残る美しさ。
題材になっているのは心霊写真なのにすごく切ない。
ラストサビ
分けて
悲しいことも 苦しいことも
怖いどころか嬉しいんだよ
成仏して消えるくらいなら いつまでも恨んでて
なんて言わせる 君は幽霊失格
「化けて」から「分けて」になっている。
ここまできたらなりふり構っていられない。
懇願している。
成仏して消えるくらいなら いつまでも恨んでて
なんて言わせる 君は幽霊失格
この2行が本音。
幽霊失格と言いながら、本当は自分が人間失格なだけ。未練があって幽霊失格=自分に対する戒めでもある。
本当に男って情けないなという歌。
結局化けて出ているというよりは、こっちが引きずり出しているだけなので。
「幽霊失格」で幽霊を歌っているけど、人間を歌っている。人間の寂しさや滑稽さを描いた。
最後の最後まで深い。
幽霊失格の正体は、人間失格。
言われてみればそうですよね。幽霊という存在はきっと実在する人間側が意識することで生み出しているもの。
いなくなってしまった君を幽霊として自分の側に置いているのは、前を向けない憐れな自分に起因していることの現れ。
しかし情けないと感じながらも歌詞は
成仏して消えるくらいなら いつまでも恨んでて
と綴られる。
引きずっていることを情けなく思っているものの、二人で過ごした思い出が消えてしまうくらいなら、この未練を引きずりながら人生を歩んでいきたい。
幽霊失格は、惨めで滑稽な男に寄り添った未練歌だったのです。
感想
尾崎先生本人の解説を軸につらつらと記事を書いていきましたが、作詞者本人の解説がこんなにも面白いとは。YouTubeの生放送を見ながらもそう感じていました。
これはきっと
説明してしまってつまらなくなるような歌ではダメ。ネタ晴らしにも耐えられるような歌詞を作っていきたい。
という尾崎世界観の歌詞に対する想いに起因しているのでしょうね。本当に面白かった。
【クリープハイプ/幽霊失格】
歌詞の意味の解釈でした!
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