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【Ado/ギラギラ】歌詞の意味を徹底解釈!劣等感を抱えた少女の世間への反逆。

【Ado】「ギラギラ」について、歌詞の意味を徹底的に考察および解説していきたいと思います。

 

注目ポイント

✔ 少女の抱えるコンプレックス

✔ 共感できる痛烈な歌詞

✔ お洒落すぎる言葉遊び

 

骨助
骨助

「うっせぇわ」の世界観を踏襲しつつ、新たなメッセージが盛り込まれた楽曲。痛快で爽快なリリックは必見です。

 

 

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今回紹介していく「ギラギラ」はAdoさんが2020年2月14日に配信リリースした楽曲。

作詞・作曲・編曲はボカロPのてにをはさんが担当されており、YouTubeではMVも公開されています。

 

2018年の活動開始以降、くじらさんの楽曲「金木犀」や自身のメジャーデビュー曲「うっせぇわ」が驚異的な大ヒットを記録するなど、若者からの絶大な支持を獲得してきたAdoさん。

中毒性たっぷりの歌声は一度聴けば耳から離れません。

「うっせぇわ」「レディメイド」で描かれてきた世界観を引き継ぎ、今回の楽曲「ギラギラ」でも若さゆえの世の中への不満を爆発させています。

 

2002年生まれの若き天才ボーカリストが一体何を歌っているのか、当記事では歌詞に注目しながら楽曲を読み取っていきます!

 

骨助
骨助

楽曲の概要を確認したところで、さっそく歌詞をチェックしていきましょう。

歌詞

あーもう本当になんて素晴らしき世界
んで今日もまた己の醜悪さに惑う
だのに人を好きって思う気持ちだけは
一丁前にあるから悶えてるんでしょう

Ugly 正直言って私の顔は
そう神様が左手で描いたみたい
必然 この世にあるラブソングはどれひとつ
絶対 私向けなんかじゃないでしょう

使い道のないくちづけ 憐みを恣(ほしいまま)に
スパンコールの瘡蓋(かさぶた)で身を守る
愛されないくらいなんだ

ギラギラ輝いて私は夜を呑み
Rap Tap Tap Tap
今に見てろこのluv(ラヴ)
目に染みるは1mgの花火
Drag on Drag on
なんてファニー この世はビザール

ギラ ギラギラ ギラ

Unknown お釈迦様も存ぜぬうちに
もう健やかに狂っていたみたい
それは世界の方かそれとも私の方ですか?
共生は端からムリでしょう

マガイモノこそかなしけれ 無我夢中疾る疾る
強い酸性雨が洗い流す前に
蛍光色の痣抱いて

メラメラ火を噴いて私は夜の狼
Rap Tap Tap Tap
そこで見てろこの乱舞
強くおなり あなたなりの武装(メイクアップ)で
Flap up Flap up
不意に不安に

孤独は燃料(ガソリン) 卑屈な町を行く
目を閉じて もういいかい もういいかい
もしも神様が左利きならどんなに幸せか知れない

ギラギラ輝いて私は夜を呑み
Rap Tap Tap Tap
今に見てろこのluv(ラヴ)
目に染みるは1mgの花火
Drag on Drag on
なんてファニー この世はビザール

ギラ ギラギラ ギラ ギラギラ
Give Love 花は満ちて(ギラギラ)
ありのまんまじゃいられない 誰も彼も
なんて素晴らしき世界だ!
ギラついてこう

 

作詞:てにをは

歌詞の意味・解釈

1番

あーもう本当になんて素晴らしき世界
んで今日もまた己の醜悪さに惑う
だのに人を好きって思う気持ちだけは
一丁前にあるから悶えてるんでしょう

「ギラギラ」の歌詞全体を通してその背景にあるのは、私たちが抱える大きな劣等感です。

容姿や勉強、恋愛、コミュ力など劣等感を抱える分野はきっと人それぞれですが、周囲の人は楽しく生きているのに自分だけが満ち足りていない…なんて感情は誰もが一度は抱いたことがあるでしょう。

 

世界は呆れるほど素晴らしいのに、それに比べて自分は悲しいくらいに醜い。

自分は人に愛されるような姿をしていない。

《だのに人を好きって思う気持ちだけは一丁前にある》

 

人を好きになる気持ちや人に好かれたいという欲求も欠如していたならばよいものを、そこだけは残念ながら一丁前に抱えて産まれてきてしまいました。

常に一方的な好意だけで、満たされることのない孤独を抱えた主人公はそのギャップに苦しんでいます。

 

Ugly 正直言って私の顔は
そう神様が左手で描いたみたい
必然 この世にあるラブソングはどれひとつ
絶対 私向けなんかじゃないでしょう

続く歌詞では、楽曲の主人公が抱えるコンプレックスの正体が明らかになります。

「Ugly」の意味は「醜い」。

彼女はまるで《神様が左手で描いたみたい》な自分の顔をひどく憎んでいます。

彼女は自らの容姿に絶対的なコンプレックスを抱いているのです。

 

ここでの神様は右利き。

「不細工な顔」なんて野暮な表現をせず、【利き腕と逆で描いた顔】というイメージしやすい表現に言い換えられているのが非常に洒落ています。

 

顔に自信がないのだから、残念ながら恋とかいうものに縁がない人生を彼女は歩んでいます。

世の中に溢れる幸せそうなラブソングは綺麗に生まれて来られた誰かのためのものであって、どれひとつ私のための曲ではない。

そんな彼女の切実な嘆きに共感できる方も多いのではないでしょうか。私は激しく共感しています。

 

使い道のないくちづけ 憐みを恣(ほしいまま)に
スパンコールの瘡蓋(かさぶた)で身を守る
愛されないくらいなんだ

恋なんか関係ないのだから、全く使い道なんかないくちづけ。

愛情は手に入らないのに、欲しくもない憐れみだけは欲しいと思えばいくらでも手に入ってしまいます。

なぜなら世間一般に見て自分の人生は可哀そうだから。

 

そんな彼女は《スパンコールの瘡蓋》で身を守ろうとしています。

瘡蓋は傷口を覆い隠すために形成されるもので、スパンコールは上の画像のような光を反射して輝く材質のこと。

 

彼女は自らの容姿への劣等感という大きな傷口を、キラキラ輝くもので誤魔化そうとしています。

言い換えれば、彼女は【そんなコンプレックスなんか気にならないくらいにギラギラした生き方をしてやろう!】と意気込んでいるのです。

 

これこそが楽曲のタイトルである「ギラギラ」の意味するところ。

ここからの歌詞はこのテーマに沿って展開されていきます。

サビ1

ギラギラ輝いて私は夜を呑み
Rap Tap Tap Tap
今に見てろこのluv(ラヴ)
目に染みるは1mgの花火
Drag on Drag on
なんてファニー この世はビザール

劣等感を心に抱きながら、ギラギラと輝く道を選んだ主人公。

 

「luv」はスラングで「love」の雑な書き方です。

《今に見てろこのluv》と強烈に吐き捨てる歌詞からは、恋とか愛とかに溢れた世の中への恨みや反骨精神を感じられますね。

「私は自分のやり方で輝いてやるからお前らはそこでずっと惚気ておけば?」とでも言わんばかりです。

 

《目に染みるは1mgの花火》の解釈が非常に難しいところ。

涙が流れていると捉えることもできるし、その後の《Drag on》というフレーズに「煙草を吸いこむ」という意味があるので煙草のことを表している可能性もあります。

また《Tap Tap Tap》《Drag》とスマホ関係のワードが並んでいるのでスマホのブルーライトの可能性も。

いずれにせよ感傷に耽っている様を表現していることは間違いありません。

 

この世はおかしくて(funny)奇妙(bizarre)だ。

そう嘆きながら、彼女は我が道を突き進みます。

 

2番

Unknown お釈迦様も存ぜぬうちに
もう健やかに狂っていたみたい
それは世界の方かそれとも私の方ですか?
共生は端からムリでしょう

ここでは1番の神様に代わってお釈迦様が登場していますが、意味合い的にはさほど変わりません。

神も仏も知らないうちに、健やかに狂っていったのは世界か、はたまた私か。

 

ここからの歌詞の大きな特徴は、自らが世の中の道理を外れてギラついていることを全く悪びれる気がないというところです。

「なんか少しずつ狂っていったみたいだけど、狂ったのって世界の方じゃない?」といった感じ。

世間に合わせて生きることを辞めた彼女にはもはや、なりふり構ってあげる道理はないのです。

 

《共生は端からムリでしょう》

世の中はきっと醜い彼女を迎え入れる気はないし、彼女も今更世間に合わせて生きる気は更々ありません。

共生なんか端からムリ。

恋やら愛やらに満ち溢れた幸せそうな世の中に、孤独な彼女は反逆の狼煙を上げるのです。

 

マガイモノこそかなしけれ 無我夢中疾る疾る
強い酸性雨が洗い流す前に
蛍光色の痣抱いて

マガイモノ(偽物)のような姿で生まれ、悲しみながらも無我夢中で輝きを追いかける主人公。

 

劣等感は絶えず抱き続けなければならない大きな傷で、常に心の中で目立ち続けます。

その意味で「蛍光色の痣(あざ)」という表現は言い得て妙です。

 

強い酸性雨が「スパンコールの瘡蓋」を洗い流す前に。環境の変化によりコンプレックスに代わるストロングポイントが失われてしまう前に。

彼女は生き急ぐように、名一杯に輝きを放つのです。

 

骨助
骨助

完全な余談ですが、「~こそ~けれ」という係り結びの古典表現は馬鹿みたいに高校のテストで頻出するので学生の方は覚えておくとお得です。

 

2番サビも猛烈にカッコいいので必見です!

 

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コメント

  1. 緒方Miki より:

    なかなか解釈が難しい詩ですよね。

    私は「夜の狼」と「孤独は燃料」の部分がどうにも引っかかります。

    幾つかのワードから夜の蝶、つまりホステス業がイメージされるのですが、狼だ乱舞だというのは内面にしては荒々しすぎる点。

    そして燃料をガソリンと読むのも違和感を感じます。孤独を糧にするなら「エナジー」でも良いはず。

    これ等から、彼女はバイクか車を運転しているのでわ?と思えるのです。

    そうすると「目を閉じて もういいかい」の情景が恐ろしげに見えてきます。

    彼女は不意に不安になり、このまま死んでしまって楽になりたい!という衝動に駆られている。んでうぉ〜〜!なのかなと(笑)。

    おそらくはリスペクトされてる椎名林檎のオマージュもあるかもですね。

    • 匿名 より:

      夜の狼は後半の映像で少女が神様を壊して頭の冠を奪って身に着けていることからこんな風に産んだ神様に対してクソくらえって反逆の意思を表したものなのだと思います。
      なので自分が狼として神様を飲み込んでやる!と飲み込んで自分らしく生きることに対する比喩表現なのではないかと解釈しました。

  2. ジャムぬこ より:

    ギラギラは歌詞もかっこいいし、音楽もかっこいいですよね。
    なのに歌詞に深い意味もあるなんて…
    ハマりそうです(もうハマってます)

  3. 平和主義系一般人 より:

    ここのコメみた上での私の考察は
    醜い自分が嫌で
    ガソリン=バイク
    で輝いていた(卑屈な町を)
    が1mgの花火(恐らく自己による飛び散った火花)
    そして事故で死に行く情景(メラメラ)
    事故の原因(雨)
    そして自分が美しければこんな荒んだ生き方をしなかったのに
    という卑屈
    狂っていたみたい(adoさんが昔の曲をリスペクトしているため暴走族やヤンキーが一般的に存在した頃より少し後)の時代感

  4. みわこ より:

    スパンコールの瘡蓋は顔にできるニキビを比喩したものかと想像しました
    ニキビが乾いて蛇皮のような

  5. より:

    夜の狼は、神話の神殺し、太陽か月を呑みこんだ北欧神話の狼でわ

  6. y.o より:

    ・スパンコールの瘡蓋→塞がっていない傷を綺麗なもので覆う→自分の容姿による消えぬ劣等感を整形により覆い隠す?
    ・共生は端から無理→ともに生きることはできないという意味と、矯正は無理、つまり整形をしても自分に愛を与えてくれる明るい世界なんかないという諦念のような意味のダブルミーニング?
    ・蛍光色の痣→整形をして生きていくうちに血、つまり自分の内面まで蛍光色のような派手で目立つものに変わってきた?
    自分はこの曲の歌詞を聴いてこんな風に想像してました。

    後、もしかしたら狙ったものではないかもしれませんが、二番のサビの夜の狼のところ、曲だけ聞いてると、私は夜の神って聴こえて、主人公は一匹 狼 であり、また、夜を支配するもの、つまりホストやキャバ嬢のようなものだという意味があると考えてました。

  7. K より:

    私は、夜の街に生きる女性(ホステス)の半生で、捨てきれない昼の世界への憧れ。と、解釈しました。
    ・スパンコールの瘡蓋→スパンコールをあしらった衣服かアクセサリー
    ・ギラギラ→野心に満ち溢れている様子
    ・夜を呑み→夜の街でアルコールを呑む・夜の街でのしあがる
    ・Rap Tap Tap Tap→こつこつと叩く、扉(ドア)を叩く→何かを伺い、扉を開いて新たな展開に変える
    いまに見てろこのLuv→いまこの手にある、雑な愛(その場限りの愛)(Rap Tap・・・と合わせて、LuvをLoveに変えようとした)
    目に染みるは1mgの花火→昭和頃の技法で、失恋等で哀しみで涙が流れるのを誤魔化す表記の変換
     今夜は、タバコが目に染みる(中島みゆきさんの歌にもあります。題名は、忘れましたが。m(_ _)m)
    1mg→ニコチンの単位(かなり軽く、女性が好むのタバコ)
    花火→目に染みるまで煙を出す
    には、一気に吸い込まないといけない。一気に吸うと火がついてるところが燃え上がり、線香花火の玉のようになる
    Drug on Drug on→1mgの花火がタバコとして、気を落ち着かせるために、何回も吸い込んでいる
    等々、細かく書くと長くなります。m(_ _)m

  8. 匿名 より:

    スパンコールの瘡蓋、蛍光色の痣、は比喩ではなく、イラスト同様の直接的な太田母斑への表現でしょう。私自身、とても大きな太田母斑がある知人が居ますが、(勿論本人には言いませんが)見るたびに造形物としての美しさに見惚れてしまいます。この痣を単なる可哀想な病と受け取るか、神からの印と取るか、は、受容する側の問題でもあり、少なくともこの楽曲の中ではマイナスイメージとしては唄われていません。サブカル的言葉遊びではなく、直接的な強い表現、意思を感じます。

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