【米津玄師】の
「Flamingo(フラミンゴ)」について
MVと歌詞の意味を徹底的に
考察し、解説していきたいと思います。
米津さんの高すぎる語彙力ゆえに
かなり読み応えのある内容になっています。
是非、最後までご覧ください!
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約7か月ぶりのシングル!
「Lemon」以来、7カ月ぶりの
両A面シングルのリリースとなります。
表題曲に「Flamingo」と「TEENAGE RIOT」が収録。さらに、3曲目に「ごめんね」の計3曲になります。
「Lemon」以来とは言いましたが
最近では小学生ユニット「Foorin」に
「パプリカ」を作詞作曲して提供したことも
大きな話題となりましたよね。
毎楽曲、メロディの音楽センスだけでなく
言葉選びといった歌詞のセンスにも
衝撃を走らせる米津玄師。
着目していきたいと思います。
楽曲名「Flamingo」とは
「Flamingo」とは
フラミンゴ目フラミンゴ科の鳥の総称です。
「フラミンゴ」は
向い合せになった姿が
ハートの形に見えることから
「幸福の鳥」とも言われています。
幸福を歌う歌なのかもしれません。
この楽曲名が歌詞の内容と
どう関与しているのでしょうか。
MVの意味・解釈
MVでは、赤い服装を身に纏った米津さんが千鳥足で歩き、妖艶に踊る姿が収録されています。
「Flamingo」というタイトル名だけあって
フラミンゴを意識しているのでしょう。
2:00以降の振り付けなんて
まさにそうですよね。
そして、同じ景色をループするMV。
曲感としては、随所に見える言葉遊び感、韻、それに合わせた狂言や演歌みたいな歌い方が特徴的に感じます。
- ループするMV
- 狂言や演歌のような、
日本の歴史、伝統を彷彿させる歌い方
ここは、下記に述べていく歌詞解釈でも
重要なポイントとなってくるので、
是非、抑えて頂きたいです。
聴いてて癖になるフレーズは
「歌詞のサビ以外はイ段で終わる」
という統一感からきているのでしょうか。
本当に聴けば聴くほど中毒されていきます。
それでは、本題の歌詞に迫っていきます。
歌詞
宵闇に 爪弾き
悲しみに雨曝し 花曇り
枯れた街 にべもなし
佗びしげに鼻垂らし へらへらり笑えないこのチンケな泥仕合
唐紅の髪飾り あらましき恋敵
触りたいベルベットのまなじりに
薄ら寒い笑みにあなたフラミンゴ
鮮やかなフラミンゴ 踊るまま
ふらふら笑ってもう帰らない
寂しさと嫉妬ばっか残して
毎度あり 次はもっと大事にして御目通り 有難し
闇雲に舞い上がり 上滑り
虚仮威し 口遊み
狼狽に軽はずみ 阿呆晒し愛おしいその声だけ聴いていたい
半端に稼いだ泡銭 タカリ出す昼鳶
下らないこのステージで光るのは
あなただけでもいいそれはフラミンゴ
恐ろしやフラミンゴ はにかんだ
ふわふわ浮かんでもうさいなら
そりゃないね もっとちゃんと話そうぜ
畜生め 吐いた唾も飲まないで氷雨に打たれて鼻垂らし
あたしは右手にねこじゃらし
今日日この程度じゃ騙せない
間で彷徨う常しえに
地獄の閻魔に申し入り
あの子を見受けておくんなまし
酔いどれ張り子の物語
やったれ死ぬまで猿芝居あなたフラミンゴ
鮮やかなフラミンゴ 踊るまま
ふらふら笑ってもう帰らない
寂しさと嫉妬ばっか残して
毎度あり 次はもっと大事にして
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歌詞の意味・解釈
前提として
ここの解釈では、本楽曲の背景は
「花魁」と「客」の話である
と仮定して進めていきます。
花魁(おいらん)とは、遊廓の遊女で位の高い者のことを言います。ちなみに、遊郭というのは大雑把に言えば、江戸時代の風俗といったところです。
なぜそのような解釈になるのか、
歌詞を細かく考察して、述べていきます。
1番
宵闇に 爪弾き
悲しみに雨曝し 花曇り
枯れた街 にべもなし
佗びしげに鼻垂らし へらへらり
宵闇とは
月の出が遅くなる、 陰暦16日ごろから20日ごろまでの、宵の暗さ。を指します。
つまり、この物語の時節は「秋の夕暮れ」
爪弾きとは
人さし指や中指を親指の腹に当て、 強くはじく動作のことで、嫌悪・軽蔑・非難などの気持ちを表すしぐさ。
主人公の心情は、
鬱を纏っていることがわかります。
花曇りとは、春にサクラの咲くころの曇天。
という本来の意味ですが、
上で述べたように花魁との関係を歌っているのだとすれば、その花魁との関係が上手くいっていない。もしくは、花魁のせいで気持ちに雲がかかっているという解釈ができます。
にべもないとは、愛想がないこと。
侘しいとは、
ひどくもの静かで寂しいということ。
遊女のサービス時間を終えた後の
主人公(客)の心模様を表しています。
空っぽになった心で
帰り道を歩いていく描写が連想されます。
笑えないこのチンケな泥仕合
唐紅の髪飾り あらましき恋敵
触りたいベルベットのまなじりに
薄ら寒い笑みに
唐紅の髪飾り あらましき恋敵
相手は遊女であるために、
当然他にも馴染みの客がいます。
自分以外の男性からの贈り物の
簪(かんざし)(唐紅の髪飾り)を
身につけていたのでしょう。
江戸時代でいう、簪を贈る行為は
「あなたの髪を乱したい」
という男性の独占欲を表す意味を持つよう。
他の客達も、自分と同じように
花魁に気に入られるべく、贈り物をしている。
その不毛な争いのことを、
笑えないこのチンケな泥試合
他の客たちのことを、
あらましき恋敵
と言っているのかも知れません。
ベルベットとは、なめらかなということ。
眥(まなじり)とは、目尻のこと。
気品あるあなたに触れたい
という、欲望が描かれています。
サビ1
あなたフラミンゴ
鮮やかなフラミンゴ 踊るまま
ふらふら笑ってもう帰らない
寂しさと嫉妬ばっか残して
毎度あり 次はもっと大事にして
- 赤い着物を身に纏うあなた(花魁)
- 唐紅の簪が鮮明に記憶に残った
- 色んな人(客)を相手する
(ふらふらしている)あなた - 気品あって美しいあなた
それらの意味を統一して
あなたはフラミンゴ
と、言っているのかも知れません。
寂しさと嫉妬ばっか残して毎度あり
別れの時の寂しさ。他の客もいるから嫉妬。
お金を払うから毎度あり。
そんな、憂鬱だけが残りながらも
次はもっと
と、何回も繰り返す(会いに行く)のです。
そのさまが、ループするMV
と相関しているのではないでしょうか。
続いて、2番に移ります。
2番
御目通り 有難し
闇雲に舞い上がり 上滑り
虚仮威し 口遊み
狼狽に軽はずみ 阿呆晒し
御目通りとは、貴人にお目にかかること。
花魁のあなたを前にして、喜びの気持ちを隠せない。しかし、高揚するあまり空回り。
虚仮威しとは、見栄を張ること。
軽はずみとは、
よく考えないで調子に乗って物事をすること。
自分を大きく見せようと、見え透いた嘘を並べては、ボロが出てしまい、結局はアホをさらす結果となってしまう。
愛おしいその声だけ聴いていたい
半端に稼いだ泡銭 タカリ出す昼鳶
下らないこのステージで光るのは
あなただけでもいい
泡銭とは、正当でない方法で手に入れたお金は身につかず、泡のように消えてしまうということ。
無理にでも集めたお金。
それをすべて花魁に溶かしていきます。
昼とんびとは、
昼間、人家にしのび入り金品をぬすむ者を表す。
もしかすると、
花魁に会うためのお金は、
盗みから得ていたのかも知れません。
主人公の邪な部分が見えると同時に、
あなた(花魁)にすべてを捧げているさまが分かります。
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コメント
こちらの考察のおかげで、ぼんやりとしていた情景がより鮮やかになりました。ありがとうございます。
他にもFlamingoの考察を読みましたが、私としてはこちらの考察が一番しっくりきました。
一点、読ませていただきつつ感じたことがあるのですが、
宵闇に 爪弾き
悲しみに雨曝し 花曇り
枯れた街 にべもなし
この部分は、当時、好みの花魁の馴染みになるには最低でも3回は通う必要があって、その都度たくさんのご祝儀が必要だったというような話から、
秋の夕暮れには爪弾きにされた
(梅雨又は夏)の雨に晒され悲しみ
花曇りの頃も冬枯れの街も
にべもない
という感じで、想いを抱えている期間が非常に長い事を表現しているのではないかと感じました。
以上、乱筆乱文のほど、ご容赦願います。
今後も読みごたえのある記事を楽しみにしております。
主人公を取り巻く情景が更に深まる解釈ですね。素晴らしい。コメントならびに考察のプラスaまでありがとうございます。
他サイトで色々な考察を読みましたが、こちらの解釈が一番納得できました。
私のような凡人にはなかなか理解できない世界観を楽しむことができて嬉しいです♪
ありがとうございました!
コメントありがとうございます。嬉しいお言葉。お褒め頂き光栄です。
フィリピン現地の女性と娘二人を作って、結婚はしていないけど、日本から月の3分の1はフィリピンマニラに通う日本人男性が、娘達を産んでくれた女性がたびたび過ちを犯すんだ…と言いながら、この曲いいと思うんだよね、と言っていたのがフラミンゴでした。まさに、マニラの女性を想う心情なのでしょうね。