【100回嘔吐】の「りりか(る)」について、歌詞の意味を徹底的に考察および解説していきたいと思います。
✔ 癖のあるタイトルに込められた意味
✔ 主人公が抱える二つの苦悩
人間なら誰しもが抱える苦悩を描いたナンバー。是非最後までお読みください!
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yamaさんのcoverで話題のナンバー
今回紹介していく「りりか(る)」は作詞作曲を100回嘔吐さんが務めたボカロ楽曲。
後に歌い手のyamaさんがcoverしたことで、SNSを中心に注目を集めています。
100回嘔吐さんは楽曲について、昨年末に
今回のはもしかしたらちょっとだいぶひねくれ歌詞なので次作る曲は明るい歌詞作りたいです
とか思いながらもどうなるかはわかりません
良いお年を
とツイートしています。
楽曲はそんなつぶやきの通り、苦しみだらけの少々ひねくれた内容になっています…
楽曲名「りりか(る)」とは
英単語で「lyrical(リリカル)」は「叙情的な、叙情詩的な、感情が外に溢れるような」といった意味。
叙情的な歌というのは、歌手の意識下の混沌とした感情を聴き手に訴えかけてくる歌の事を指しています。とりわけ「物哀しい感情」といった負の感情を扱うことが多いようですね。
今回は「りりか(る)」ということで「バズる」「disる」のように英語を強引に日本語の動詞に変換している様子。
よって「りりか(る)」は「lyricalに何かをする」、具体的に言えば「感情を描いた歌を歌う」といった意味合いで用いられているのではないでしょうか。
この楽曲名が歌詞の内容とどう関与しているのでしょう。
さっそく歌詞を見ていきましょう…!
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歌詞
羽もがれた瞬間 歩いた
座り込んでたら邪魔がられるから
もがれた跡グロくて笑った
おしゃタトゥー入れて生まれ変わろっかな○ ×じゃないの
でも限界はあんの
かまえ
前習えの苦学生
似た者同士群れてきついが
まあ人間ってそういうとこあるよな矯正した歯並び 綺麗に揃って
屈託無い笑みでにやけたけれど
だいたいさ
自分の問題が他人のさ
問題にもなるの
くっそうざいよな気づいていた居た痛みも
日々無感情に
偽って溶かして騙し切ってたいや
他 嫌
今になって耐えられんくなったぺたんこの空模様
嫌われて泣いた痛みも
日々無反応に
生まれ付いたって背負(しょ)ってくの僕しかいないや
今 笑えない歌 笑い飛ばさせてくれ
誰のせいでもないから苦しいのよどこ行って何しても僕なんだ 地団駄
コント「人生」
ってお前やないかい
ごめんメタ歌詞のせいですべった
10:10(トジュウ)
生きてりゃ丸儲けやんね?心底羨ましく思うよ
僕はここまでだからLALA
イキって怒っていかにも独りきり
詰み将棋傷ついた/つけた痛みも
日々の喧騒に
絡まって焦がして忘れ去ってたいや
他 嫌
今 笑えない歌 笑い飛ばさせてくれ
誰も誰でもいいわけがないんだよ似たようなことばっかり歌ってさ
正直もう飽きてるでしょ
でもこれが僕だもん
薬はしてないもん
人ってさ変わらないんだね
だから途方に暮れるのかそもそも空なんて飛べっこないくせに
ぶるから余計 痛い痛い痛いよ
日々の緞帳に
板付いて澄まして演じきってtired
他意やん
今になって耐えられんくなったぺたんこの空模様全否定された痛みも
日々無反応に
生まれ付いたって背負(しょ)ってくの僕しかいないや
今 笑えない歌 笑って歌わせてくれ
誰も責められないから虚しいのよ
作詞:100回嘔吐
歌詞の意味・解釈
1番
羽もがれた瞬間 歩いた
座り込んでたら邪魔がられるから
もがれた跡グロくて笑った
おしゃタトゥー入れて生まれ変わろっかな
楽曲は全体を通して見てみると、主人公の生きる苦悩を描いた歌詞になっています。
主人公の抱える苦しみは様々な要因が入り乱れているので、必然的に歌詞で描かれている内容もかなり複雑。感情一つ一つを分解して読み取っていくのは不可能です。
しかし私個人的には、主人公の苦しみは大きく分けて二種類に分類できると感じています。
ここで描かれているのは、主人公の抱える苦悩の一つ目。
「羽をもがれた」という表現の裏には「それまでは空を飛んでいた」という情報が隠れています。
もちろんこれは比喩であって、空は自由や憧れの象徴だったりするので実際のところは「以前は希望を抱いていたけれど今は現実に叩き落された」みたいな意味合いでしょう。
主人公は思い通りに事が進まない残酷な現実に対し、「おしゃタトゥー入れて生まれ変わろっかな」と平気なふりをしながらも苦しんでいるようです。
○ ×じゃないの
でも限界はあんの
かまえ
前習えの苦学生
似た者同士群れてきついが
まあ人間ってそういうとこあるよな
「○ ×じゃないの」
人生は正しいとか間違いとかじゃないから自分らしく生きればいい。そんなことを誰かは歌うけれど、人の我慢には限界というものがあります。主人公の直面する現実は、○ ×ではないからと許容できる程度のものではないのです。
後半の歌詞は世の中の構図の風刺。
現実を前に独りではどうすることもできない人間が、社会を成して生活している様を苦学生を例に表現しているのではないでしょうか。
矯正した歯並び 綺麗に揃って
屈託無い笑みでにやけたけれど
だいたいさ
自分の問題が他人のさ
問題にもなるの
くっそうざいよな
この部分の歌詞で表明されている主人公の不満は、「自分の現実に夢も希望もない」ことを歌っていたここまでの歌詞とは少々毛色が異なっているように感じます。
これが主人公の抱える苦悩の二つ目、「社会で生活することの生きづらさ」です。
主人公は苦しみながらも、矯正した歯並びで笑みを浮かべています。
しかしなぜわざわざ歯並びを矯正し、嬉しくもないのに笑みを浮かべなければならないのか。それは他人に見られながら生きているからです。
自分の感情を露骨に人前で表現してしまえば、きっと他の人を困惑させ傷つけることになってしまいます。だから人間は感情を押し殺し、偽りの自分を演じ切って日々生きなければなりません。
そうしたことから、主人公は自分の問題が本来関係ないはずの他人にも影響することに対し「くっそうざいよな」と言い放っているのではないでしょうか。
考えてみれば他人の目が無いのなら無理に笑う必要もないだろうし、まして歯並びの矯正など必要ないのかもしれません。
サビ1
気づいていた居た痛みも
日々無感情に
偽って溶かして騙し切ってたいや
他 嫌
今になって耐えられんくなったぺたんこの空模様
嫌われて泣いた痛みも
日々無反応に
生まれ付いたって背負(しょ)ってくの僕しかいないや
今 笑えない歌 笑い飛ばさせてくれ
誰のせいでもないから苦しいのよ
自分の痛みを隠さなければならない。
そうやって日々感情を殺し、無理して自分じゃない自分を演じていた主人公。
しかしもうそんな毎日に耐えられなくなってしまったようです。
でもこんなに苦しんでいるのに、別に誰のせいでもないのだから誰かを責めることも出来ない。
結局生まれ付いた以上は、全て自分で背負って生きていくしかない。
そんなどうしようもない日常の中で、主人公はこうして救いのない日常を歌にしてせめて笑い飛ばそうとしているのです。
2番
どこ行って何しても僕なんだ 地団駄
コント「人生」
ってお前やないかい
ごめんメタ歌詞のせいですべった
10:10(トジュウ)
生きてりゃ丸儲けやんね?
メタとはメタフィクションの略で、「登場人物が自分が創作物の中のキャラクターであることを自覚しているように振舞うこと」です。
ここでは、主人公がコント「人生」の中を生きるキャラクターであると自覚しています。
「人生」がコントだとするならば、どの場面を切り取ってもきっと「ってお前やないかい」というツッコミがはいるはずです。
違う人生を歩もうとしてるみたいだけど結局お前やないかい、という意味合いで。
どんなに自分を変えようとして、どこでなにをしていようと自分は自分のまま。
苦悩を抱える自分から逃れることはできないのです。
心底羨ましく思うよ
僕はここまでだからLALA
イキって怒っていかにも独りきり
詰み将棋
ここでは恐らく一つ前の歌詞である「生きてりゃ丸儲けやんね?」という考え方ができる人間に対し、羨望の眼差しが向けられています。
結局僕はここまでだから。
将棋における「詰み」とは自分がどんな手を打とうとも敗北が確定している状況のこと。
主人公は直面している苦しい現実に対し絶望を覚えているのです。
ここからの歌詞でも、尽きることなく主人公の憂いが歌い上げられていきます。
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