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【ヨルシカ/思想犯】歌詞の意味を徹底解釈!孤独な主人公の”破壊衝動”

3番

他人に優しいあんたにこの孤独がわかるものか
死にたくないが生きられない、だから詩を書いている
罵倒も失望も嫌悪も僕への興味だと思うから
他人を傷付ける詩を書いてる
こんな中身のない詩を書いてる

死にたくないが生きられない。終わらせたいが終わらせることができない。

何処にも行けない主人公はどうすることもできないまま、ただ詩を書く人生を送っています

 

誰かに受け入れられたい。だけど誰もわかってくれやしない。

だから主人公は他人を傷つけて、せめて誰かの冷たい視線だけでも集めようとしています。

ただ人を恨む中身の無い詩を書く日々を送っているのです。

 

主人公は孤独を振り払うことができないままに、ただ時間だけが流れていきます。

 

君の言葉が呑みたい
入れ物もない両手で受けて
いつしか喉が潤う
その時を待ちながら

ここで曲調も歌い方も全てが一変。

先ほどまでの鋭い歌い口調がまるで嘘みたいに、優しい雰囲気で楽曲が包まれます。

ここまでの歌詞がよそ行きに言葉で武装した主人公だったとするならば、この部分の歌詞こそが主人公の本心であるといえるでしょう。

 

君の言葉が呑みたい。

 

孤独に苦しみ、いっそ罪を犯すことにより美しい後悔がもたらされることを願った主人公ですが、心の底では「君」の愛を強く欲しています

君の存在に捕らわれ、終わりを拒んでいます。

 

思い出、記憶、大切な人の愛。

その全てが、主人公を犯罪による劇的な終焉から遠ざけていくのです。

 

ラストサビ

烏の歌に茜
この孤独よ今詩に変われ
さよなら、君に茜
僕は今、夜を待つ
また明日。口が滑る

美しいさよならの後の夕陽。

戻らない後悔を求めて罪を犯して、君に別れを告げ、「夜」すなわち人生の終わりを待つ。

それこそが主人公が望んだはずの結末でした。

 

しかし「君」からの愛を望み、過去を懐かしむ主人公は「さよなら」の後に「また明日。」と口を滑らせます。

美しい結末を拒み、再び訪れる明日を待ち望む。

 

彼は「思想犯」。犯行により人生が終わることを望んでいながら、未だ美しい思い出に囚われています。

 

 

MVの考察

上記の歌詞考察に基づいて、公開されているMVの内容に関しても所見を述べさせていただきます。

 

仮面をつけた男の姿が印象的なMV。しかし楽曲冒頭の主人公はまだ仮面をつけていません。

これはまだ主人公が「戻らない後悔を美しく想う」という思想に達していなかったからだと思われます。

 

叩きつけられたガラスや夕陽に照らされた美しい別れの情景に触れた主人公は、自らの本心を隠し仮面をかぶり、美しい結末に向けた破壊衝動を抱くようになります。

ビール瓶を片手に夜の街へ。

なおMV中盤時点でどうやら主人公の盗作は世間に露見しており、主人公の元には誹謗中傷が寄せられています。

 

しかし2番サビの直前を境に、主人公には破壊衝動とは別の感情が現れ始めるのでした。

 

2番のサビからの主人公は、破壊を望む仮面をかぶった自分を保つことができなくなります。

「戻らない後悔の全部が美しいって僕だってわかるのに」

結末を待ち望んでいるはずなのに、盗作が露見して計画通り世間に見放されたはずなのに、心に浮かぶ懐かしい情景や愛のこもった手紙の存在が主人公の本心を呼び戻すのです。

 

結局主人公は本心を偽ることなどできず、自ら仮面を破壊し始めます。

望んだ美しい結末を迎えることができないままに、主人公は愛や思い出への執着と破壊衝動の間でもがき苦しみ続けるのです。

 

感想

思い出や愛に捕らわれ、ついには犯罪を犯せなかった「思想犯」の詩。

自分とは関係ない誰かの独り語りでありながら、きっとすべての人間に通ずるような何か普遍的なものを感じずにはいられません。

結局人間というものは、どこまでいっても愛や思い出から逃れることなどできないのでしょう。

 

【ヨルシカ/思想犯】

歌詞の意味の解釈でした!

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