2番
きらきらはしゃぐ この地獄の中で
仕様のない身体 抱き締め合った
赤子に戻って
ここでいう《地獄》もまた1番冒頭の《水の中》同様に、この世界の比喩なのでしょう。
星野源さんの過去の楽曲『地獄でなぜ悪い』にも《ここは元から楽しい地獄だ 生まれ落ちた時から出口はないんだ》なんて歌詞があったりします。もっともこの歌詞は星野さんのくも膜下出血での入院を経て書かれたものなので意味合いはやや異なりますが…
そんな地獄ともとれる世界の中で、どうしようもない身体を赤子に戻ったように抱き締めあった。
ただ事実が述べられただけの歌詞ですが、”恋愛” ってそういうものなのかもしれない、なんて考えさせられる歌詞になっています。
躓いて笑う日も 涙の乾杯も
命込めて目指す
やがて同じ場所で眠る
他人だけの不思議を
記事の初めの方で「この楽曲のゴールは ”恋愛の不思議” だ」みたいなことを述べましたが、この部分の歌詞で描かれていることもまた不思議なことです。
何で好きになったのかも説明できない、「ただ貴方だった」それだけ。
そんな相手と命を込めて苦楽を共にし、最後には同じ場所で眠ることになるのです。
言葉にはできないけど、ただ ”好き” だから。
サビ2
“好き”を持ったことで 仮の笑みで
日々を踏みしめて 歩けるようにさ
孤独の側にある
勇気に足るもの
二人の人間の間の ”恋愛” について歌われ続けるこの楽曲ですが、楽曲の根底にあるのは、あくまで他人は他人だし人間は孤独なのだという星野さんの人生哲学です。
紅白歌合戦で『うちで踊ろう』を披露した時でさえ《僕らずっと独りだと 諦め進もう》と高らかに歌い上げて見せた星野さん。
彼に言わせれば人間誰かと愛し合ったところで孤独だし、辛い時も仮の笑みで生きていかなければならないことには変わりありません。
じゃあそんな中で、恋とか愛の位置づけが何なのかというと、それは「それでも生きていく勇気に足るもの」。
「勇気だ」と断言しないところがまた星野さんらしい気もしますが、勇気になり得るようなものが彼にとっての恋愛なのです。
3番
遺らぬ言葉の中に
こぼれる記憶の中に
僕らはいつも居た
《僕らはいつも居た》
ここでも、その事実が示されているだけです。
ただそう思った。ただそっと笑った。ただ貴方だった。
どれも結果的にそうだっただけで、それがなぜなのかを説明することはできません。
理由はわからないけれど、不思議なことに他人を好きになって恋に落ちている。
「星野源にとって恋愛とは不思議なものだ」
やはりこれがこの楽曲の結論であるように感じます。
ラストサビ
“好き”を持った日々を ありのままで
文字にできるなら 気が済むのにな
まだ やだ 遠く 脆い
愛に似た強い君想った日々を すべて
乗せて届くように詰め込んだ歌
孤独の側にいる
愛に足る想い
二人をいま 歩き出す
過去のインタビューで「自分のことはあまり歌いたくないという思いが根底にある。物語にしたりわざと主語を抜いている」なんてことを語っているように、星野源さんはこれまで自分自身のことをあまり歌ってきませんでした。
星野さんのラブソングの代名詞と言えば『恋』ですが、あの曲には星野さんの主観はあまり含まれていないし、ほとんど主語がありません。
その意味で、「自分にとっての愛とか恋はこういうことだと思っている」というのをちゃんと歌にしよう、という考えのもとで製作された今回の楽曲は貴重なものなのではないでしょうか。
文字にできないけど、ただ愛している。
なぜかわからないけどめちゃくちゃ好き。
そんな星野さんの恋愛への正直な思いが綴られた素敵な楽曲でした…!
【星野源/不思議】
歌詞の意味の解釈でした!
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コメント
なるほどね!
しかし、何回聴いても、せつない曲ですね。やだ、まだ、遠く脆い、素直な歌詞がなんとなくわかる気がして、気持ちを不安にさせます。
既婚者としては、大した取り柄のない私を選んでくれて、大切にしてくれる夫を私も大切にしたいとただ、そう思います。 ありがとうございました。♀️