【YOASOBI(ヨアソビ)】の「ハルジオン」について、歌詞の意味を徹底的に考察および解説していきたいと思います。
✔ハルジオンの切ない花言葉
✔歌詞から見えてくるハルジオンの奥ゆかしさ
✔原作小説よりもポジティブなクライマックス
失恋後の鬱経験をしたことがある人には、特に聴いて頂きたい1曲です。
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原作小説「それでも、ハッピーエンド」に沿って作られている
「ハルジオン」は、「夜に駆ける」と「あの夢をなぞって」に続く第3弾ナンバー。非常に食感の良いメロディーからのサビの盛り上がりが魅力的な楽曲です。
そして前作に引き続き、今作も「小説×音楽」の掛け合わせのもと歌詞の情景が描かれていきます。
文学的少年少女にはたまらない組み合わせですね。
ちなみに「ハルジオン」の原作小説は、橋爪駿輝が手掛ける「それでも、ハッピーエンド」です。
物語の中では、社会の多忙性や失恋で心を失い、それでも懸命に前を向こうとする主人公が描かれており、リアルな感情の浮き沈みや鬱感は心にジンとくるものがあります。
病み方向のパラメータが強い楽曲なのにMVや曲調が明るいのは「ハッピーエンド」を言い聞かせているからなのでしょう、、、
では楽曲の基本情報に関してはここまでにして、楽曲考察に移っていきます。まずはタイトルに着目していきましょう。
楽曲名「ハルジオン」とは
まず「ハルジオン」とは
キク科ムカシヨモギ属の植物。
のことを指します。春に咲く紫苑の花だからハルジオン。まさに上図の植物がそれです。誰もが見たことがあるのではないでしょうか。
この花名のタイトルが非常に奥ゆかしく、そして本当に切ない。
注目すべきは「ハルジオン」の花言葉。
これこそがハルジオンの持つメッセージ性であり追想とは、過去(の人物)を想起することを意味します。
大まかに物語の輪郭が見えている人や小説を読んだ方は、主人公を待ち受けている結末とマッチしすぎて、即座にピンときたのではないでしょうか。
病んでいるように見えて、前を向いている。前を向いているようで、前を向けていない。絶妙なアンバランスが本楽曲には存在するのです。
では本題の歌詞考察に移っていきたいと思います。
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歌詞
過ぎてゆく時間の中
あなたを思い出す
物憂げに眺める画面に映った二人
笑っていた知りたくないほど
知りすぎてくこと ただ過ぎる日々に呑み込まれたの
それでもただもう一度だけ会いたくてあなたの言葉に頷き信じた私を 一人置き去りに時間は過ぎる
見えていたはずの 未来も指の隙間をすり抜けた
戻れない日々の欠片とあなたの気配を 今でも探してしまうよ
まだあの日の二人に手を伸ばしてる境界線は自分で引いた
「現実は」って見ないフリをしていた
そんな私じゃ
見えない見えない
境界線の向こうに咲いた
鮮烈な花達も
本当は見えてたのに知らず知らずの内に
擦り減らした心の扉に鍵をかけたの
そこにはただ美しさの無い
私だけが残されていた
青過ぎる空に目の奥が染みた
あの日の景色に取りに帰るの
あなたが好きだと言ってくれた私を誰にも見せずに
この手で隠した想いが
今も私の中で生きている
目を閉じてみれば
今も鮮やかに蘇る景色と
戻れない日々の欠片が
映し出したのは
蕾のまま閉じ込めた未来
もう一度描き出すあの日のあなたの言葉と
美しい時間と
二人で過ごしたあの景色が
忘れてた想いと
失くしたはずの未来を繋いでいく
戻れない日々の続きを歩いていくんだ
これからも、あなたがいなくても
あの日の二人に手を振れば
確かに動き出した
未来へ作詞:Ayase
歌詞の意味・解釈
1番
過ぎてゆく時間の中
あなたを思い出す
物憂げに眺める画面に映った二人
笑っていた
前提として、本楽曲の歌詞では失恋した主人公が何とか前を向こうとする姿が描かれています。
ただ細かい部分で言うと、失恋の後悔や過去の想起まで描かれているため、失恋を経験したことがある人すべてが共感できると思います。
まず歌い出しの歌詞で描かれているのは失恋後のありきたりな情動。
あなたを失って過去に囚われている主人公は、幸せだったころの思い出を想起しているのです。
知りたくないほど
知りすぎてくこと
ただ過ぎる日々に呑み込まれたの
それでもただもう一度だけ会いたくて
ここは原作小説を見ないと解釈が難しい部分になるのですが、はじめの三行は自分から彼を振った主人公を表しています。
彼のことを知り過ぎて、些細な態度や言葉遣いだけで、彼の自分に対する気持ちを悟ってしまったのです。だから主人公は自分から別れを告げてしまう。
つまりただ過ぎる日々に呑み込まれたというのは、まさに不安に呑まれて解放されるべく別れを告げた主人公そのものなのです。
しかし好意が消えたわけではありません。
だから「もう一度だけ会いたい」という気持ちを抱えながらも、彼のいない日々を過ごしていきます、、、
サビ1
あなたの言葉に頷き信じた私を
一人置き去りに時間は過ぎる
見えていたはずの
未来も指の隙間をすり抜けた
戻れない日々の欠片とあなたの気配を
今でも探してしまうよ
まだあの日の二人に手を伸ばしてる
「俺らは変わんないよ」
付き合っていた当時、あなたは不変の約束をしてくれた。今では千切れてしまった約束。しかし微かな期待を胸に秘め、また孤独な時間を過ごしていく。
暗い歌詞なのに、曲調はアップテンポで明るい。これは自分から彼を振ってしまうほど強がりな主人公を映しているような気がします…
別れてもなお、過去の二人に手を伸ばす主人公はこれからどうなっていくのでしょうか。2番へと続きます。
2番
境界線は自分で引いた
「現実は」って見ないフリをしていた
そんな私じゃ
見えない見えない
境界線の向こうに咲いた
鮮烈な花達も
本当は見えてたのに
2番でも1番のBメロと同じように、彼を突き放した後悔が描かれています。
鮮烈な花たちというのは、鬱でモノクロな世界に入り込んでしまった自分とは逆の位置にいる、カラフルで色鮮やかだったはず未来を示しているのでしょう。
なぜこんなにも後悔してしまうのに、主人公は彼を突き放してしまったのか。「知り過ぎた」以外の理由が続く歌詞で描かれていきます。
知らず知らずの内に
擦り減らした心の扉に鍵をかけたの
そこにはただ美しさの無い
私だけが残されていた
青過ぎる空に目の奥が染みた
あの日の景色に取りに帰るの
あなたが好きだと言ってくれた私を
その理由は「美しさのない私」にあったのです。
原作小説の方では多忙な会社に勤めの結果、生気や余裕を失ったことで、美しさのない私になってしまいました。過去の失恋の原因に「自己肯定感の低さ」がある人は、形は違えど共感できるのではないでしょうか。
回想を繰り返す中で過去との決別が付いてきた主人公は、美しさのない私を打破するために、青すぎる空に目の奥が染みていた頃の自分を取り返そうとします。
ちなみにここは隠れ奥ゆかしいポイントの1つです!
青すぎる空に、、、という部分は、青い春の空の下で人生を謳歌していた自分。文字通り「青春」を謳歌していた自分の事を指しています。
そしてタイトル名「ハルジオン」は漢字にすると「春紫苑」になります。つまり主人公にとってのハルジオンは、ただの追想ではなく、青春の意を含む追想なのです。
これを踏まえておくとクライマックスの主人公の行動に、奥ゆかしさが増します。サビ2に移ります。
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コメント
復縁だとずっと思ってました!
ありがとうございます!
原作小説よりも少しポジティブな内容が、気持ちを前向きにしてくれますよね。
コメントありがとうございました!
説明ありがとうございます。とても良いMVと歌詞、音楽で最近で一番好きで、夜に駆ける→ハルジオンにはまりました。
ハルジオンという曲は初めて聞いたけど,なんか聞いたことがあるなぁと思いました。
YOASOBIの曲を聞いていたら,偶然見つかっただけですけど,すごくいい曲だなぁと思いました。
歌詞を調べたら,偶然見つかったのでみたら,意味の説明まで書いてあって分かりやすかったです!
原作の小説も見てみたいです。
ありがとうございました。