サビ2
会えない
もう会えない
夜を漁るあいにくの御心で
燃えない
もう超えない
恋はそこに寂しく転がっては
癒えないし
飾れない
電話したら夜が曲がるだけだし
そんな二人はもう
はなればなれ
このまま時は過ぎる
一度消えてしまった恋心は、二度とそこに戻ることなどありません。
癒えることもなければ、無理やり飾って取り繕ったところでどうにかなるものでもないのです。
会えないならじゃあ電話すればいいのかと問われれば、きっと恋を知る人なら誰しもがそんな問題ではないとわかっているでしょう。
「電話したら夜が曲がるだけ」
「夜が曲がるだけ」という表現がまた憎らしいほどに美しいですね。
無粋に言葉に分解してしまえば「何の解決にもならない」だとか「別れの決断が揺らいでしまう」だとかになるのでしょうが、きっとそういうものでもないのです。
深夜の主人公の心の中で渦巻くありとあらゆる感情が歪んでしまうような、夜という空間そのものが曲がっているような、言葉にすれば「夜が曲がる」と表現するしかないような何かをきっとここで川谷さんは描いているのです。
曖昧で抽象的な表現ではありますが、この歌詞を聴いていると何故か言わんとすることが伝わってくるのだから本当に素晴らしい歌詞です。
もう会うことなんてできない。電話しても夜が曲がるだけ。
どうすることもできない二人は、離れ離れのままただ時間だけが流れていきます。
ラストサビ
止まない
夜の餌
君はどこで悲しみに耽るのか
会えない
もう燃えない
寂しそうな転がり方見てると
漠然と心に空いた何かを求めて夜を漁る主人公。
色々と別れの言葉を吐き続けてきましたが、「君はどこで悲しみに耽るのか」なんて歌詞を見るとやはり未だに彼女は「君」のことを想っています。
きっと「夜の餌」も二人で過ごした過去の思い出の事なのではないでしょうか。
空腹を満たすためにゴミを漁るカラスのように、どうしようもない切なさを抱いた主人公は必死に夜を漁り、心を満たす「夜の餌」を絶えず求めているのです。
もう恋なんかできないとわかっていながら、決して止まない思い出を振り返り、君の今を想っているのです。
会いたいけど、会えない。きっともう会ってはいけない。
現実はどうしようもなく残酷で切ないものです。
恋はきっとわがままだし
夜の底は途方もない
グッバイ グッバイ
会えぬ人よ流体みたいだ
あれだけ身を焦がし、どうすることもできなかった恋心も今となってはただ寂しく転がっています。
君に会えない切なさから、必死に夜の闇をさすらう主人公。
恋はきっとわがままだし
夜の闇は途方もない
楽曲冒頭でも登場した「グッバイ」という歌詞も、ここではもはや薄情さなんか微塵も感じられません。
大切な人とのどうしようもない別れ。胸を締め付けられるような切なさが「グッバイ」という言葉から解き放たれています。
掴むことも消すこともできず、主人公の心の中で自由に形を変えて生き続ける「君」の存在。
「流体みたいだ」と誰に告げるでもなく呟いて、余韻を引きずったまま楽曲は幕を閉じていきます。
感想
言葉で表しようがない感情を、曖昧かつ繊細な表現で鮮明なイメージとして聴き手に送り付ける川谷さんの歌詞にはただただ感嘆するばかりです。
グッバイ、会えぬ人よ。
言葉で捉えられない流体みたいな切なさを、見事に描いた名曲です。
【indigo la End/夜漁り】
歌詞の意味の解釈でした!
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