TwitterはこちらApple Musicのレビュー

【ヨルシカ/風を食む】歌詞の意味を徹底解釈!消費社会に疲れた現代人へ贈る一曲。

3番

遂に心は半額 いつまでも売れ残って
テレビを眺めて空想 ニュースは希望のバーゲン
貴方は今日も買ってる 足りないものしか無くて
俯く手元で購入 空は高いのかな

3番では、心の価値が2番よりも更に低いものになってしまっています。

 

テレビを見れば誰にでもわかりやすい形で希望が安売りされていて、なにもお金など出さずとも希望を享受できる時代。

俯いてスマホを見れば、自分に足りないものがタップ一つで買える時代。

足りないものだらけだし、別に誰かに希望を届けているわけでもない。

ただ茫然とニュースを眺め、足りないものを補っているだけの自分には果たして価値があるのかと不安にもなるでしょう。

 

 

ニュース番組のエンディングテーマとして書き下ろしておきながら、《ニュースは希望のバーゲン》(その裏でいつまでも売れ残っているものがある)という表裏の構図のために「ニュース」というワードを使っているというのが面白いですね。

 

ラストサビ

貴方だけ 貴方だけ
この希望をわからないんだ
売れ残りの心でいい
僕にとっては美しい

春が咲き 花ぐわし
桜の散りぬるを眺む

1番で《貴方さえ 貴方さえ これはきっとわからないんだ》という歌詞の解釈を保留しましたが、ここで伏線が回収されているのだと私は考えています。

《貴方》がわかっていなかったのは、《この希望》

それは僕にとっての希望であり、たとえ売れ残りの心だったとしても僕にとっては美しいものです。

 

分かりやすく補足するなれば、《貴方》は消費社会を生きる中で、自分の価値がわからなくなってしまっています。ひとつ前の歌詞でもあったように、希望なんかニュースで安売りされている時代で自分の心に価値はあるのかと不安になっているのです。

 

そこに《僕》という楽曲中の人物は優しく語り掛けます。

貴方にはわからないかもしれないけれど、貴方は誰かにとって希望になっているのだと

貴方のことを想っている人が必ずいる。

商品価値なんかじゃ計れない、「桜」や「雲」のようなもっと純粋な美しさが貴方にはあるのだと。

 

そうやって、この楽曲は消費社会に疲弊した現代人の心を優しく掬い出してくれています。

まさにn-bunaさんの「消費することに疲れてしまった心を最後に優しく包むような曲を書きたいと思いました。」というコメントの通りです。

 

貴方しか 貴方しか
貴方の傷はわからないんだ
口を開けて歌い出す
今、貴方は風を食む

冬籠り 春が先
貴方の歌だけが聞こえる
今、口遊む貴方だけ

きっと貴方には、貴方にしかわからない苦悩だってあるのでしょう。

それでも、貴方が何となく口遊んだ歌には誰かを救うだけの希望があるのです

 

「冬籠り」は冬ごもりした草木が春になり芽をふく意から、「春」にかかる枕詞。

冬が終わり、春が訪れ桜は咲き、貴方の口遊む歌が聴こえる。

その景色は誰かにとって、何物にも代えがたい美しいものなのかもしれません。

 

貴方は美しい。

誰かにとって、きっとあなたは希望だ。

 

そうやって消費することに疲れた現代人をそっと包み込んでくれる優しい楽曲。

是非多くの方に聴いていただきたいです……

 

感想

時にその美しさを忘れ、何も感じなくなってしまったものであっても、確かにそこには美が宿っている。

決して消費されることのないものがこの世界にはある。

そして貴方も、誰かにとって希望になっているかもしれない。

 

そんなことを優しく教えてくれる素敵な楽曲。

 

【ヨルシカ/風を食む】

歌詞の意味の解釈でした!

スポンサーリンク

スポンサーリンク

コメント

  1. 匿名 より:

    素晴らしい解釈に涙が出ました。

    美しさに値段はつけられないわけで。
    それは自然も人の心もそうで。

    n_bunaさんの皮肉と愛が
    たくさん詰まってる素敵な歌だと
    わかることができました。

    ありがとうございます。

  2. 匿名 より:

    面白いね。

    nbunaさんはその和歌のスタイルを他の曲に使っていますか?
    解釈ありがと。私みたい日本語の学生にもう理解できます。

    • 骨助骨助 より:

      コメントありがとうございます。
      今回の楽曲で使っていたスタイルとはちょっと違いますが、「夜行」という楽曲のサビで和歌の掛詞という技法が使われていたり、「思想犯」という楽曲で有名な俳句を多数引用していたりします。

タイトルとURLをコピーしました