【BTS】の「Film out(フィルムアウト)」について、歌詞の意味を徹底的に考察および解説していきたいと思います。
✔ 異色のコラボレーション
✔ BTSの普遍的な表現力
✔ back numberが贈る切ない歌詞
BTSと失恋ソングの帝王・back numberの衝撃のコラボ。歌詞を中心に考察しましたので是非最後までお読み下さい…!
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『劇場版シグナル』 主題歌
今回紹介していく「Film out」は映画『劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班』の主題歌として製作された楽曲です。
ドラマ『シグナル 長期未解決事件捜査班』でもBTSが楽曲「Don’t Leave Me」を手掛けており、ドラマに引き続いての主題歌提供となりました。
2021年4月2日にYouTube公式チャンネルで公開されたMVは、公開後わずか3日間で5000万回再生を記録。
日本オリジナル楽曲でありながら、97の国と地域のiTunesトップソングで1位を獲得するなど世界的にも大きな注目を集めています。
制作は、日本の人気バンド・back numberとの衝撃のコラボレーション。
back numberの清水依与吏さんは楽曲について、
お話を頂いた時はとても驚きましたが、少し想像しただけですぐに魅力的なメロディーが頭の中で鳴ってくれていたので、これはすでに化学反応が始まっているのだと気付き、やらせて頂こうと決意しました。
自分以外の人が歌う事を想定しての楽曲制作が初めてだったので不安はありましたが、経験豊富なスタッフや共同編曲者であるUTAさんの尽力、JUNG KOOKさんとの刺激的なやり取り、そしてBTSメンバーそれぞれの持つ個性や表現力のおかげでとても叙情的でいてパワフルな楽曲が完成した事を嬉しく思います。
とコメントされています。
”失恋ソングの帝王” の異名を持つback numberとBTSの化学反応によって生まれた、痛烈に切ないバラードナンバー。
今回の記事では歌詞に注目しながら、楽曲の魅力を紐解いていきます。
まずはタイトル「Film out」について確認しておきましょう…!
楽曲名「Film out」とは
英和辞典サイトによると、「Film out」とは「画像やアニメーションをデジタルからアナログのフィルム形式に変換すること」とのこと。
今回の楽曲でも《記憶の中で 君だけを拾い集めて繋げて 部屋中に映して眺めながら…》といった歌詞が登場するので、この記憶の中の”君”を現実に求めている様を「Film out」と表現しているのでしょう。
ただ「Film out」は普通に検索しても使用例が見つからないくらいマイナーなイディオムのようなので、今回は造語として別の意図で使用されている可能性もあります。
何とも言い難いところです…
楽曲タイトルについて確認したところで、さっそく本題の歌詞を見ていきましょう!
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歌詞
浮かび上がる君は
あまりに鮮やかで
まるでそこにいるかと
手を伸ばすところで
ふっと消えてしまう淡々と降り積もった記憶の中で
君だけを拾い集めて繋げて
部屋中に映して眺めながら
込み上げる痛みで 君を確かめているLa la la…
光も水も吸わないくらいに腐敗して
根も葉も無い誓いで 胸の傷を 塞いで
並ぶ2つのグラス 役割果たす
事もなく ああ そのままで
君の触れたままで淡々と降り積もった記憶の中で
君だけを拾い集めて繋げて
部屋中に映して眺めながら
込み上げる痛みで 君を確かめている正しくなくていいからさ
優し過ぎる君のまま
笑ってて欲しかっただけなのに それなのに
涙の量計れるなら 随分遅ればせながら
やっと今君のとなりまで 追い付いて
見付けたのさ淡々と降り積もった記憶の中で
君だけを拾い集めて繋げて
部屋中に映して眺めながら
何ひとつ消えない君を抱きしめて眠る君がささやく言葉がその響きが
行き場を失くして 部屋を彷徨ってる
嗅いでしまった香りが 触れた熱が
残ってるうちは 残ってるうちは浮かび上がる君は
あまりに鮮やかで
まるでそこにいるかと
手を伸ばすところで
ふっと消えてしまう
作詞:清水依与吏
歌詞の意味・解釈
1番
浮かび上がる君は
あまりに鮮やかで
まるでそこにいるかと
手を伸ばすところで
ふっと消えてしまう
楽曲「Film out」は、先にも述べたように非常に切ないバラードナンバー。
楽曲中の主人公は(恐らく)恋人であった《君》をすでに失っており、その喪失感や虚しさが歌詞の中で綴られていきます。
触れられるくらいに、まるでそこにいるかのように、鮮明に心に刻みつけられている君の姿。
「思い浮かべる君は」ではなく《(心の中で勝手に)浮かび上がる君は》と表現されているところがまた心情描写としてリアリティがあります。
いかに主人公にとっての”君”が大きな存在であったのか、そして今の二人の関係性がどうであるのかが切に伝わってくる冒頭の5行です。
想像上の”君” を現実にいるかのように思い込む。
これが先に述べたように、デジタルの映像のアナログへの変換を意味する「Film out」というタイトルに繋がっているような気がします。
サビ1
淡々と降り積もった記憶の中で
君だけを拾い集めて繋げて
部屋中に映して眺めながら
込み上げる痛みで 君を確かめている
サビの歌詞ですが、冷静に内容を俯瞰すると主人公のやらんとすることは弱くて情けないものにも思えてきます。
”君”の記憶を必死にかき集めて、心の中で現在の部屋にその姿を投影する。
”君”のいない現実とのギャップで胸に痛みが込み上げる。
その痛みで君の存在の愛しさを再確認する。
その様は傍から見れば滑稽なものでしょう。
しかし、そんな女々しい表現だからこそ楽曲に切にリアリティが生まれており、別れを経験した人なら誰しもが共感できる普遍性のある歌詞となっています。
もし楽曲と同じ境遇に立てば、情けないけど自分だってそうするかもしれない。
そんなことを思わせてくれる、何も飾ることのない、弱さや女々しささえもさらけ出した裸のソングライティング。
これこそがback number・清水依与吏の魅力であり、彼らの楽曲が多くの人に愛される理由の一つになっているのでしょう。
back numberが惜しげもなく、自身の世界観をBTSと共有した痛切な歌詞。
単なる楽曲提供ではなく、真の意味で二組の”コラボ”が実現した楽曲になっているように感られます…
2番
光も水も吸わないくらいに腐敗して
根も葉も無い誓いで 胸の傷を 塞いで
並ぶ2つのグラス 役割果たす
事もなく ああ そのままで
君の触れたままで
ラップパートの歌詞ですが、言い回しや言葉選びのセンスがもはや芸術の域です。
1行目の歌詞で、やんわりと植物の比喩を暗示しながら自身の荒んだ心を表現。
2行目の歌詞では1行目の腐った植物の例えを《根も葉も無い》という慣用句で美しく回収。
そしてとどめは3行目からの、2つのコップを描写した歌詞。
君がもう部屋にいないことの切なさを部屋の風景を通じて描きながら、グラスは「glass(コップ)」と「grass(草)」の掛詞となっています。
やや重い歌詞でありながらも《くらい》《腐敗》《塞いで》、《グラス》《果たす》といったライミングは軽快で心地良さすら感じますね。
また《並ぶ2つのグラス》という表現が二人の当時の関係性を決定づけており、「Film out」を失恋ソングたらしめる大きな要因となっています。
2番のサビは1番と同じ内容なので割愛し、3番の考察に移ります…!
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コメント
分かりやすい
とてもよき
切ない