【ずっと真夜中でいいのに。】の「猫リセット」について、歌詞の意味を徹底的に考察および解説していきたいと思います。
✔ タイトル「猫リセット」の意味
✔ テーマは「繰り返される葛藤」?
ずとまよの過去の楽曲と照らし合わせながら、楽曲の真意に迫ります。ぜひ最後までお読みください!
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「indeed」とのコラボ曲
今回紹介していく「猫リセット」は2022年2月16日発売のミニアルバム「伸び仕草懲りて暇乞い」収録曲。
アルバムのリリースに先駆け、2021年12月2日にはMVの公開と楽曲の先行リリースもスタートしています。
MVは求人情報サイト「Indeed」とのコラボレーション企画を通じて製作されたことでも話題になりました。
毎回アニメーションを駆使した独自の世界観のMVが注目を集めるずとまよ。
今回はMV制作に携わるクリエイターの求人情報がIndeed上で公開され、実際に選考された2名のアニメーターを含む11名のクリエイターにより動画が制作されているとのことです。
ACAねさんはMVのコメント欄にて、
猫の声をサンプリングしたシンセと
猫の生声入ってます
と語られていました。
Twitterでも「しょうがも音源で参加してます」と猫の映像付きでツイートされています。
「猫リセット」というタイトルにちなみ、ACAねさんの飼い猫であるしょうがの声が音源に加わっているようです。
余談ですが、その猫のフルネームはACAねさん曰く「新生姜ストリングス」であるとのこと。
独特すぎます…
少々脱線しましたが、さっそく本題の歌詞を見ていきましょう!
歌詞
始める数秒前のメンテ
頭は重いし 毛は逆立った
どうしてもチグハグだった からだは
どうやって 狩場へ繰り出そうか
自分の存在定期的に
猫リセットできたら潔いのにな
信じても 自信が弱った
お使い業務定期 履歴の交渉波形を見つめてるだけで過ぎてく 歩道橋の匂い
きっとやつにはわからないからこそ 価値がある
カートの中眠る 4,5千円のヘッドフォンもっと期待したいし
この性格じゃどうやって
考えない 勘変えないようにしたいけど
引き分け業務 繰り返してる時はさ
甘い甘い散らかって 吐いて 最後虚しかったんだ
違う違う ただ僕に合う長所 選んでいいかな回線落ち→乗り過ごし のけぞった爪で連打した
連れてって ずれてって 生き返ることはないのに
敵でも味方でもない 互いのたちば無理して
返答に時間がかかって きりがないのにさギターの弦費 食費 交通費
喉仏 行き場のない米と涙ぶつかる
いずれは価値になる? そう言い聞かせ眠る
君にも嘘をつこうもっと期待し大志
この正確じゃどうやって
考えない 勘変えないようにしたいけど
引き分け業務 繰り返してる時はさ
甘い甘い散らかって 吐いて 最後虚しかったんだ
違う違う ただ僕に合う長所 選んでいいかなぁぁ何してんだろう 暇は敵だなぁぁ
経験値 シフト出し
気遣って書いた言葉じゃさ
「誰にも会えないもんね」
なんていつになったら治まる?
偽ったって消えないんだもうでもやっぱ 期待したいし
手順も受け答えも
生き急いでも しょうがないね
勝ち負け業務 折り合いつけるまでは
甘い甘い散らかって 掃いて 最後笑っていいから
黙ってな 鈍い僕に合う情緒 選びたいから
作詞:ACAね
歌詞の意味・解釈
1番
始める数秒前のメンテ
頭は重いし 毛は逆立った
どうしてもチグハグだった からだは
どうやって 狩場へ繰り出そうか
何か新しい物事を始める前や、面倒な用事がある日の朝を思わせるような気だるげな歌詞から始まる今回の楽曲。
先に結論から言ってしまうと、「猫リセット」は【他者と関わり合って生きていく人生で、どれだけ自分に対して素直に生きるべきか】という答えの無い自問を繰り返す楽曲であると私は解釈しています。
そして楽曲の中で、具体的な答えが見つかるわけではありません。
悩んで選んで間違えてを何度も繰り返して、それでもなんとか出口を探そうとしています。
そんなテーマを踏まえたうえで、この先の歌詞を見ていきましょう。
自分の存在定期的に
猫リセットできたら潔いのにな
信じても 自信が弱った
お使い業務定期 履歴の交渉
タイトルにもなっている「猫リセット」とは今回の曲のためにACAねさんが作った言葉ではなく、元から使われている造語です。
猫がパソコンのキーボードの上に乗ったりゲームのリセットボタンを押しちゃったりして、仕事やゲームの進捗がパーになってしまうなんとも悲しい現象のこと。
《自分の存在定期的に 猫リセットできたら潔いのにな》
ここでは、葛藤の中でにっちもさっちも行かない自分の人生が「猫リセット」されてしまえばいいのに…と願望を口にしています。
人間の誰かにリセットされた場合と違い、猫は別に悪気があってリセットしているわけではないし、なにより可愛いので猫を責めるわけにもいきません。
あくまで自分や他人の力じゃなくて、不可抗力的に猫がリセットしてくれたら決意とかいらないし潔くていいのになぁ、ということです。
波形を見つめてるだけで過ぎてく 歩道橋の匂い
きっとやつにはわからないからこそ 価値がある
カートの中眠る 4,5千円のヘッドフォン
【どれだけ自分に対して素直に生きるべきか】を歌っている、と説明しましたが、この部分の歌詞が【素直な自分】なのだと思います。
《波形を見つめてるだけで過ぎてく 歩道橋の匂い》
私たちリスナーには正直何のことを言っているのか推測できませんが、人は誰しも他者には解らない、自分だけの価値観を抱えているもの。
それがACAねさんにとっては音楽的な波形であったり、ヘッドフォンだったりに対する思い入れなのでしょう。
この感性を信じて自分に正直に生きていたいけれど、でもそれだとなかなか上手く生きられないし……
そんな葛藤がこの先の歌詞でも綴られていくのです。
なにも今回の楽曲に限った話ではありませんが、ずとまよの楽曲は全体を通して、一見すると掴みどころの無いような断片的な歌詞が続いていきます。
「よくわからない」と思う方もきっといるでしょうが、それはACAねさんが浮かび上がった理路整然としていない感情を、そのまま言葉に変換しているからなのだと個人的には考えています。
彼女は自分の感情にどこまでも真摯に、真正面から向き合って音楽を響かせているのではないでしょうか。
サビ1
もっと期待したいし
この性格じゃどうやって
考えない 勘変えないようにしたいけど
引き分け業務 繰り返してる時はさ
甘い甘い散らかって 吐いて 最後虚しかったんだ
違う違う ただ僕に合う長所 選んでいいかな
【他者と関わり合って生きていく人生で、どれだけ自分に対して素直に生きるべきか】がテーマだとするならば、サビの歌詞の言わんとすることも何となく見えてくるのではないでしょうか。
「引き分け業務」とは偽りの自分がなあなあでこなしている人間関係である、とここでは解釈しておきましょう。
自分の本心で接していないから、感情を肯定されようが否定されようが初めから引き分けにしかならないやり取りです。
《もっと期待したいし この性格じゃどうやって》
本当はもっと自分に期待したいけど、性格上どうしても本心を隠して引き分け業務に徹して、最後には虚しい気持ちになってしまう。
《違う違う ただ僕に合う長所 選んでいいかな》
違う、本当はもっと自分が思う長所を選んで、自分らしくありたいのに。
そんな自己矛盾をこの曲は繰り返します。
2番
回線落ち→乗り過ごし のけぞった爪で連打した
連れてって ずれてって 生き返ることはないのに
敵でも味方でもない 互いのたちば無理して
返答に時間がかかって きりがないのにさ
《回線落ち→乗り過ごし》
不幸の連鎖で人生はそう上手く進んでいきません。
《敵でも味方でもない 互いのたちば無理して
返答に時間がかかって きりがないのにさ》
自分に正直でいようとする限り、立場が違う人間同士分かり合えるわけもないのに、それでも分かり合おうと無理するからきりがなくなっていまいます。
だからやっぱり本心をさらけ出すべきではないんじゃないか、と彼女は考えます。
ギターの弦費 食費 交通費
喉仏 行き場のない米と涙ぶつかる
いずれは価値になる? そう言い聞かせ眠る
君にも嘘をつこう
難解な歌詞ですが、言わんとすることは自分の感性に素直に生きた結果上手く行かなくて苦しんでいる現状ではないでしょうか。
それがACAねさんの場合音楽だったわけです。
もっとも今の彼女が雑費に苦労しているとは思えませんが、ミュージシャンとして生きていく上では《弦費 食費 交通費》等さまざまな必要経費がのしかかってきます。
立ち行かず、涙しながら食事をとって、こんなことになるんだったら自分の感性なんか諦めて他のことをやった方がいいんじゃないか、なんて考えてしまうのも無理はないでしょう。
《君にも嘘をつこう》
だから楽曲中の主人公は自分を諦めた末の「引き分け業務」もいずれは価値になると自分に言い聞かせ、他者に対しても偽りの自分でいようと決意します。
ただそう簡単に本当の自分は捨てられないわけで…
サビは1番の繰り返しなので割愛し、3番の考察に進みます。
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