2番
非の打ち所ひとつない 人生なんて歩んじゃない
不謹慎な言葉を日夜 きつめのネクタイで抑えたヴィラン
躾のない自由はない 秩序の加護に飼われて
誇りを持った清き偽善者 傷つけたくないけど何かを噛んでいたい
《ヴィラン》とは悪党のこと。
「宿命」「Cry Baby」などの楽曲をはじめとして、誰しもの心に届くような美しい人間ドラマを彩ってきたヒゲダンですが、彼らですらも非の打ち所のない聖人君子というわけではありません。
《不謹慎な言葉を日夜 きつめのネクタイで抑えたヴィラン》
《誇りを持った清き偽善者》
誰もが偽善者で、醜い部分をネクタイで抑えた悪党。
政治家も教師も私たちも、誰しもが人前では秩序を守るために不謹慎でアナーキーな感情を自制しているものです。
誰だって汚い部分はあるし何かを噛んでいたいと思っているけれど、ただそれを他人には見せていないだけ。
抜け出せ この集団の根強い重力を
捨てられない粗大なイライラが爆ぜる
人前では見せられない《捨てられない粗大なイライラ》。
それが集団の根強い重力を離れ、自分だけの部屋で爆発して溢れ出したのが、楽曲で描かれている《何の価値もない夜更け》なのです。
3番
何にもない誰も居ない じゃなきゃ怒れない
笑わないで 指を差さないで
理性の半分ない間しか狂えない
笑わないで 指を差さないで隠し通していたい
楽曲は雰囲気が一変し、一気にセンチメンタルに。
感情が爆発して、猿になってめちゃくちゃな夜を過ごすのがあくまで「何にもない誰も居ない場所」で「理性の半分ない間」だけなのがなんとも人間らしいし、もっと言えば日本人らしいなと感じます。
《笑わないで 指を差さないで》
きっと誰だって後ろ暗い感情は抱えているけれど、そんなみっともない部分は絶対に誰にも見せられないわけです。誰かに笑われたくないし、指を差して指摘されたくないし。
爆発させるのは誰もいない場所で、深夜テンションで、酒でも飲んで理性がどうかしているときだけ。
《隠し通していたい》
そう心から呟いて、楽曲は再び鍵付きの部屋で《何の価値もない夜更け》へと向かっていきます。
ラストサビ
どうかしてる どうかしてる 浮き足立った心が煙を上げる
リーダーも英雄も信じるまいと怒れる暴徒の眼光
感情の大乱闘 治安の悪さと猿の徹夜は続く
どうかしてる 度を超してる 解りますか?
何の価値もない夜更け
誰にも見られない鍵のかかった一室で、私たちは今日も何の生産性もない、何の価値もない一夜を過ごしていきます。自己嫌悪と葛藤のループの中で、時に浮足立ち、時に怒り、時に猿になりながら。
人間の誰にも見せられない裏の顔を描き出した、ヒゲダンの新たな一面をのぞかせるダークな一曲。
詐欺師たちの騙し合いを描いた映画『コンフィデンスマンJP』主題歌だからこそ生まれた刺激的な楽曲だと感じました。
【Official髭男dism/Anarchy】
歌詞の意味の解釈でした!
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コメント
ありがとうございます
丁寧な解説嬉しいです