【米津玄師】の
「Lemon(レモン)」について
MVと歌詞の意味を徹底的に
解説していきたいと思います。
楽曲背景や根底にあるものが限りなく深いです。
是非、最後までご覧ください。
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楽曲名「Lemon」とは
「Lemon(レモン)」とは、
ミカン科ミカン属の常緑低木、
またはその果実のこと。
この果物『レモン』の味の特徴が
曲に込められた想いと濃密に関係しています。
一般的にレモンの味は二重構造になっていて酸味→苦味に移り変わるものです。
涙が出るほどの衝撃(酸味)とくすぶり続ける記憶(苦味)がこれが本楽曲『Lemon』に関係しているのではないでしょうか。
続いて、米津さんが語る『Lemon』に対する想いから楽曲の根底に近づいていきます。
『Lemon』の根底にあるもの
本楽曲制作のきっかけは
ドラマ『アンナチュラル』主題歌として
プロデューサーから
「傷ついた人たちを優しく包み込むような曲」
と、オーダーを受けたところから始まる。
ドラマ『アンナチュラル』が扱う内容は
「人間の死」
そのため、楽曲の根底にあるのは
『生命』そのもの。
この時点で米津さんに課せられているのは
「人間の死によって、
傷ついた人たちを包み込むような曲」
しかし、その路線で楽曲を制作している途中、『祖父の死』を体験します。
これについて米津は
あやふやなものとして死を扱っていたところに、実体としての死が飛び込んできたので、考えざるを得ない部分がありました。
とコメントしています。
『Lemon』の制作背景にあるのは身内の死。
楽曲に込められた想いは
「優しく包み込む楽曲」からは一転して
「あなたが死んで悲しいです」
という、悲嘆歌に変わります。
「ぼんやりとイメージできる“死”」ではなく、「明確ではっきりとした“死”についての感情」が、リアルに描かれているのです。
続いてMVの解釈に移ります。
MVの意味・解釈
教会を舞台にしたMV。
教会とは、神を信仰する神秘的な場所。
本楽曲の根底にある「生命」
その神秘が、教会とかけられている気がしてなりません。
また、本楽曲で気になるのは
やはり、「ハイヒール」
下で述べる歌詞考察を
見るとはっきりしますが
「あなたが死んで悲しいです」
の、あなたは「恋人」が対象。
ここからまず、考えられるのは
“残り続ける恋人への想いが、
ハイヒールという形見となって表れている”
といったところでしょう。
しかし、米津さんはこれについて
他の誰にもわからない
と言っています。
亡くなった女性と主人公のふたりにしか分からないことなのです。
恋人同士の2人にしか分からない合図
ってありますよね。そういった類です。
ふたりの愛情・絆の大きさ
それに比例する喪失感が垣間見えます。
それでは上記に述べた全てを踏まえ、
本題の歌詞に迫っていきます。
歌詞
夢ならばどれほどよかったでしょう
未だにあなたのことを夢にみる
忘れた物を取りに帰るように
古びた思い出の埃を払う戻らない幸せがあることを
最後にあなたが教えてくれた
言えずに隠してた昏い過去も
あなたがいなきゃ永遠に昏いままきっともうこれ以上 傷つくことなど
ありはしないとわかっているあの日の悲しみさえ あの日の苦しみさえ
そのすべてを愛してた あなたとともに
胸に残り離れない 苦いレモンの匂い
雨が降り止むまでは帰れない
今でもあなたはわたしの光暗闇であなたの背をなぞった
その輪郭を鮮明に覚えている
受け止めきれないものと出会うたび
溢れてやまないのは涙だけ何をしていたの 何を見ていたの
わたしの知らない横顔でどこかであなたが今 わたしと同じ様な
涙にくれ 淋しさの中にいるなら
わたしのことなどどうか 忘れてください
そんなことを心から願うほどに
今でもあなたはわたしの光自分が思うより恋をしていたあなたに
あれから思うように息ができない
あんなに側にいたのにまるで嘘みたい
とても忘れられないそれだけが確かあの日の悲しみさえ あの日の苦しみさえ
そのすべてを愛してた あなたとともに
胸に残り離れない 苦いレモンの匂い
雨が降り止むまでは帰れない
切り分けた果実の片方の様に
今でもあなたはわたしの光
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歌詞の意味・解釈
1番
夢ならばどれほどよかったでしょう
未だにあなたのことを夢にみる
忘れた物を取りに帰るように
古びた思い出の埃を払う
上でも述べましたが。
本楽曲の背景にあるのは「恋人の死」
それを悔やむ主人公が描かれています。
ここで描かれる情景は
部屋でうなだれる主人公。
「夢であって欲しい現実」
「現実であってほしい夢」
そんな信じたくない現実の中、少しでも心を楽にするために、恋人との思い出の品を見つめています。MVと関連させて考えると、歌詞中の“古びた思い出”が指すものは「ハイヒール」かもしれません。
戻らない幸せがあることを
最後にあなたが教えてくれた
言えずに隠してた昏い過去も
あなたがいなきゃ永遠に昏いまま
現実世界で起こるたいていの出来事は、失敗してもやり直しが効きます。効かなくとも、僅かな希望にかけて祈ること、再チャレンジすることはできます。
しかし「亡くなった命」だけは
絶対に戻ってくることはありません。
現代の日本では「命を軽視する言葉」が日常に飛び交い、冗談交じりとは言えど、命を軽んじいるようにも感じます。そんなご時世で、「命の尊さ」をあなたが最後に教えてくれたのです。
昏(くら)いとは、ぼんやりと暗いことを示す。完全な暗闇ではないところが「暗い」との違いです。
あえて日常で使用頻度の低い、「昏い」を適用したのは、“衝撃的な現実を受け止めきれず、頭がぼんやりしている主人公”と掛け合わせられているからでしょう。
きっともうこれ以上 傷つくことなど
ありはしないとわかっている
これ以上傷つくことはない
なぜなら「最上級の傷心」の中にいるから。
なぜなら「もうあなたに会えない」から。
どん底まできているから、これ以上傷つくことはないし、会うこともないから喧嘩をすることや揉めることもない。二人でいたときのように、些細なことで傷つくことは皮肉にも「ない」のです。
サビ1
あの日の悲しみさえ あの日の苦しみさえ
そのすべてを愛してた あなたとともに
胸に残り離れない 苦いレモンの匂い
雨が降り止むまでは帰れない
今でもあなたはわたしの光
どんなに悲しいと思っていた時間も、苦しいと思っていた時間も、あなたさえいてくれれば、その時も愛で溢れていた。
しかし、もうあなたはいない。
あなたの記憶 あなたに対する未練が
胸に残り離れない 苦いレモンの匂い
のように、いつまでも消えてくれないのです。
あなたを思い出すたびに、雨のように流れる涙。これが渇くまでは、もとの日常に戻ることなんてできません。
あなたは今でも光。希望。
あなた(光)がいないから、主人公はいつまでも昏い闇から抜け出せない。
2番
暗闇であなたの背をなぞった
その輪郭を鮮明に覚えている
受け止めきれないものと出会うたび
溢れてやまないのは涙だけ
今の昏い主人公と過去の暗闇の主人公。
その対比。
今の昏い主人公は
何も受け止めることができず、涙が溢れる。
過去の暗闇の主人公は
あなたの身体を受け止めて、愛情で溢れる。
違いは、あなたがいるかいないか。
その差で日常は激変します。
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何をしていたの 何を見ていたの
わたしの知らない横顔で
ここから分かる事実は
- 恋人は突然の事故で亡くなった
- そのとき主人公は一緒にいなかった
ということ。
“人生最後の瞬間、
あなたは何を考えて、
何を見ていたのだろう”
そう嘆きかける主人公の様子からは、
- 君の気持ちを知りたい
- 重なりたい
- 近づきたい
という、叶うことのない切な願いが伺えます。
サビ2
どこかであなたが今 わたしと同じ様な
涙にくれ 淋しさの中にいるなら
わたしのことなどどうか 忘れてください
そんなことを心から願うほどに
今でもあなたはわたしの光
亡くなった魂の行方なんてわかりません。
しかし、主人公は思うのです。
“あなたもわたしと同じように、
苦しんているのではないか”
苦しさ、淋しさの強度を知っているが為に
「忘れてください」と言っています。
大切なあなただからこそ
こんなにも耐え難い感情を味わってほしくないのです。
3番
自分が思うより恋をしていたあなたに
あれから思うように息ができない
あんなに側にいたのにまるで嘘みたい
とても忘れられないそれだけが確か
「失って気づく」という、ありふれた言葉。
それを身に染みて実感しています。
今まで味わったことのない苦さ。
苦さの度合いが度を超え過ぎているために
また感情の揺れが大きすぎるために
「まるで嘘」のように感じる。
でも、一つ確かなことは
自分の頭の中があなたでいっぱいであること。
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ラストサビ
あの日の悲しみさえ あの日の苦しみさえ
そのすべてを愛してた あなたとともに
胸に残り離れない 苦いレモンの匂い
雨が降り止むまでは帰れない
切り分けた果実の片方の様に
今でもあなたはわたしの光
『Lemon』の根底にある、「生命」
あなたが死んで悲しいです。
まさにそのメッセージが
胸に残り離れない 苦いレモンの匂い
という、歌詞に凝縮されています。
また最後に
切り分けた果実の片方の様に
今でもあなたはわたしの光
とありますが、ここから解釈できるのは
主人公+あなた=Lemon(レモン)
ふたりでいたから、
酸味も苦味もある人生だったのです。
あなた(光)を失ったいま、
残るのは悲しみだけなのです。
感想
米津玄師の代表曲といってもいいほど
人気度の高い『Lemon』
その裏には、限りなく深い制作背景と
込められた想いがありました。
『人間の根底にある命』
について考えさせられると同時に
『残り続けるレモンの苦さ』
から、『生命の尊さ』を改めて学びました。
【米津玄師/Lemon】
MVと歌詞の意味の解釈でした!(‘ω’)
時間がある方はこちらも合わせてどうぞ。
楽曲の深さが限りないです。
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コメント
初めまして!
何年ぶりかに、久々に
頭を割られる衝撃でした!
米津玄師さんのlemonの解説、感動いたしました。自分の錆び付いてしまった感性が少し戻った気がします。
ひとつひとつの歌詞、
そういうことなのか!と
なるほど、そうだったのか!と感動しきりです。本当に素晴らしい解説、感謝申し上げます(≧∇≦)
米津さんもよぅ言ってくれたと笑ってると思います。有難うございました。
ネ申だ!すこです~
888888888888
米津さんのおじいさんが亡くなったのなら、この歌のモデルは、恋人は、恋人ではなく、おじいさんなのでは?
でも、ステキな解釈です(≧∀≦)
ぽぽんつくさんコメントありがとうございます!
おじいさんのこと前提で、暗喩だとあまりにも暗い話になってしまうから、ラブソングのようなテイストで仕上げたのではないかという考察でした!