【米津玄師】の
「海の幽霊」について
MVと歌詞の意味を徹底的に
考察および解説していきたいと思います。
米津さんがいつもより力強い歌声で歌っているのは、それだけ楽曲に対する思い入れが強いからです。
どんな思いが込められているのでしょうか?
楽曲を深堀りしていきましょう。
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映画「海獣の子供」の主題歌
“一番大切な約束は言葉では交わさない”
そんな、キャチコピーからなる世界観を持つ
映画「海獣の子供」
今回紹介していく楽曲「海の幽霊」は、その主題歌として書き下ろした楽曲です。
主題歌担当の件について米津さんは
原作を初めて読んだのは10代の頃だと思うのですが、そのすごさに圧倒されたことを憶えています。今読み返してもあの時の衝撃は全く古びず、更に新しい発見をもたらしてくれます。
もし映像化されるのであれば歌を作らせてほしいなあなんていうふうに思ってたことが、今日になって実現するというのはなんとも感慨深いです。
原作が持ってるものに負けないよう、それでいてうまく寄り添えるようなものが、果たして自分に作れるのかと、ここ数ヶ月は問答の日々でした。今は映画館で流れる日を楽しみにしています。
とコメントしています。
なんと、10代の頃のファンだったのです。
映像化するなら歌を作らせて頂きたい
昔からそう思っていた米津さんにとって、今回のタイアップは、願い続けた夢が今になってやっと叶うような、本当に感動的な出来事であったのです。
- 壮大なスケールで展開される音楽
- 普段より力強い歌声
には、こういった思い入れの強さが影響しているのかも知れません。だからこそ、本楽曲を聴いたリスナーは胸を打たれ涙していく。
そして公開されたMV。
全て「海獣の子供」の本編映像で構成される。
どれだけ映画側が、米津さんの描く「海の幽霊」という主題歌を大切にしているのかが分かります。大規模スケールな音楽が聴覚に衝撃を与えると同時にSTUDIO4℃による繊細かつダイナミックなアニメーションが視覚に衝撃を与える。
贅沢すぎるMVですね、、、
では、楽曲の考察に進んでいきます。
楽曲名「海の幽霊」とは
これを解釈するためには
「海獣の子供」
のあらすじに触れる必要があります。
映画の為に書き下ろした楽曲であるため、原作との繋がりも密接なのです。
タイトル解釈に重要なあらすじはこちら。
ハンドボール部に所属する中学生琉花は、トラブルで夏休み早々部活禁止になってしまう。やさぐれた彼女は、シューズを買うためのお金で東京へ行き、そこで海の生物と交感する力をもつ不思議な少年、海と出会う。翌日、琉花は父親の勤務する水族館で、海と再び会い、父親に海の面倒を見ることを命じられた。いなくなった海を探しに浜辺に出た琉花は、海の双子の兄、空とも出会う。海と比べ軽い性格の空に、琉花は反発しながらも交流を深めていく。同時期、海には隕石が落ち、世界では「白斑」を持つ魚が光となって消える現象が多発していた。
引用:wikipedia
この中に「海の幽霊」の答えがあります。
そうです。
「白斑」を持つ魚が光となって消える現象
という部分が、正体である可能性が高い。
そして、更に深追い。
あらすじを突き詰めると原作で、
軽い性格の「空」は、入手した隕石を「琉花」に託した後、光となって姿を消してしまいます。それを彼女は追いかけて行く訳なのですが、この「空自身」も「海の幽霊」に当てはまるのではないかと考えています。
この楽曲名が歌詞の内容と
どう関与しているのでしょうか。
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歌詞
開け放たれた この部屋には誰もいない
潮風の匂い 染み付いた椅子がひとつあなたが迷わないように開けておくよ
軋む音をたたいて
何から話せばいいのか
わからなくなるかな星が降る夜に あなたに逢いたい
あの夜を忘れはしない
大切なことは 言葉にならない
夏の日々の起きたすべて思いがけず 光るのは
海の幽霊うだる夏の夕に 梢が船を見送る
いくつかの歌を囁く 花を散らしてあなたがどこかで笑う声が聞こえる
暑い頬の手触り
ねじれた道を進んだら
その瞼が開く離れ離れでも ときめくもの
叫ぼう 今は幸せと
大切なことは言葉にならない
跳ねる光に溶かして星が降る夜に あなたに逢いたい
あの時を忘れはしない
大切なこと言葉にならない
夏の日々の起きたすべて思いがけず 光るのは
海の幽霊風薫る 砂浜で
また逢いましょう作詞作曲:米津玄師
歌詞の意味・解釈
1番
開け放たれた この部屋には誰もいない
潮風の匂い 染み付いた椅子がひとつ作詞作曲:米津玄師
この「椅子」にまつわる話は
原作のエピソードを再現しています。
“誰もいない部屋に椅子を置いて閉鎖しておく”
そう工作しておいて、
次に部屋を開けたときに、
椅子に変化があったら
「幽霊」がいたことになる。
そんな言い伝えが、
原作では描かれていました。
つまり、ここの歌詞で描かれるのは
閉鎖した部屋を開けた瞬間の情景
ということになります。
誰もいなかったはずの部屋には、
ほのかに海の匂いが残っています。
あなたが迷わないように開けておくよ
軋む音をたたいて
何から話せばいいのか
わからなくなるかな作詞作曲:米津玄師
海の匂いが残っていたのは
あなた(幽霊)がいたから。
しかし、あなたが迷わないように
部屋を開けて通り道を作ります。
本楽曲の主人公を「琉花」だと仮定すると、あなた(幽霊)は「空」が当てはまる。
必死に空の存在を追いかけていた琉花でしたが、会えていない時間の分だけ、空との距離を感じています。
期待ゆえの不安
やるせない感情が歌詞表現から伝わりますね。
サビ1
星が降る夜に あなたに逢いたい
あの夜を忘れはしない
大切なことは 言葉にならない
夏の日々の起きたすべて思いがけず 光るのは
海の幽霊作詞作曲:米津玄師
「星降る夜=あの夜」は、琉花の回想。
原作でも、星降る夜に皆で集っているシーンがあったように、あなたがいなくなる前の楽しかった日々を思い出しているのです。
大切なことは 言葉にならない
は、映画のキャッチコピーである
“一番大切な約束は言葉では交わさない”
と重なる部分。
「大切さ」や「きらめかしさ」が度を超えて大きいために、言葉では言い表せないのです。
人生の中で誰しもが一度は、言葉にできないほどの情意を体験したことがあるのではないでしょうか?
その気持ちを思い出すと、歌詞の主人公、ひいては琉花の感情に寄り添えるかもしれません。
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2番
うだる夏の夕に 梢が船を見送る
いくつかの歌を囁く 花を散らしてあなたがどこかで笑う声が聞こえる
暑い頬の手触り
ねじれた道を進んだら
その瞼が開く作詞作曲:米津玄師
身体ががっくりするほど暑い夏の夕暮れ。
花を散らすには、
美しいものを台無しにする。
という意味がある。
船を見送る情景と、「空」がいなくなった情景を重ね合わせているのかも知れません。
サビでもあったように、
あなたとの思い出は、
言葉に表せないほど大切で美しいもの。
花を散らすと掛け合わせると、過去の体験を忘れて前に進んでいくという誓いのようにも読み解くことができます。
そうやって前を向きながら、
あなたの笑い顔を「いい思い出」
として処理しようとしている。
瞼が開く
という部分からも、目を閉じて失ったものを嘆く(ねじれた道)のは終わりにして、目を開けて現実を受け止め、前に進んでいくという誓いが感じ取れます。
ラストサビ
離れ離れでも ときめくもの
叫ぼう 今は幸せと
大切なことは言葉にならない
跳ねる光に溶かして作詞作曲:米津玄師
今は幸せと言い聞かせて前を向く。
なぜなら
どんなに距離が離れていたとしても、
相手を想うだけでときめくことが出来るから。
相手を想うだけで、一緒にいたときのような胸の高鳴りを感じることができるのです。
だから距離は問わないのです。
風薫る 砂浜で
また会いましょう作詞作曲:米津玄師
砂浜の中、再会に期待を乗せる。
今は幸せと言い聞かせながらも
再会を願っている姿がみえる。
「また会いましょう」
が、主人公にできる精一杯の前向きな姿勢かつ切望だったのです。
おわりに
楽曲を通して、
想う人を失くす悲しさ
と、なによりも
いま、近くにいれることの喜び
を感じさせられました。
また、私自身ファンの一人として、海を彷彿させるほどスケールが大きく、深く、なおかつ繊細な音楽に感動しました。毎度毎度、想像を超えてくる米津さんを、当サイトでは今後も応援していきたいと思います。
【米津玄師/海の幽霊】
MVと歌詞の意味の解釈でした!(‘ω’)
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