2番
転がした車窓と情景 動機は未だ不明
邪魔臭くて苛ついて 迷い込んだニャンニャンニャン
ここいらで落とした財布 誰か見ませんでした?
馬鹿みたいについてないね 茶化してくれハイウェイ・スターよう相棒 もう一丁 漫画みたいな喧嘩しようよ
酒落になんないくらいのやつを お試しで
正論と 暴論の 分類さえ出来やしない街を
抜け出して互いに笑い合う
目指すのは メロウなエンディング
2番のAメロBメロは、1番と同じように、車だったり、伊吹と志摩のタッグ感だったりを彷彿させるワードが散りばめられています。
喧嘩ばかりの正論(志摩)と暴論(伊吹)が、戻れないときの中を進んでいく。
困窮な過去を持つ二人だからこそ芳醇で豊かな未来(メロウなエンディング)を心内で強く願っているのです。
サビ2
それは心臓を 刹那に揺らすもの
追いかけた途端に 見失っちゃうの
きっと永遠が どっかにあるんだと
明後日を 探し回るのも 悪くはないでしょうお前がどっかに消えた朝より
こんな夜の方が まだましさ
サビ2に関しては、
- 過去にバディを失くした志摩視点
が強いのではと感じています。
見失ってしまう様子は、それこそバディを失ってしまった過去を表し、
永遠を探している姿は「自分とバディになった相手が死んでしまうのではないか」といった過る不安を象徴しているのではないでしょうか。
2話の最後で伊吹に「お前は長生きしろよ」といった志摩の姿が、永遠を願っている(探している)歌詞と重なります。
そう考えると「お前が消えた朝」も、志摩の喪失感を表しているように捉えることができる。物静かな志摩の心に触れることができたようで、心にグッとくるものがあります…
3番
肺に睡蓮 遠くのサイレン
響き合う境界線
愛し合う様に 喧嘩しようぜ
遺る瀬無さ引っさげて
ここは今までの歌詞と比べるとかなり異彩を放っており、ドラマとの関連性を保っているものの、米津カラーが最も出ている歌詞なのではないかと。
実は3番の「肺に睡蓮」という意味深な歌詞は、知る人ぞ知る小説、ボリス・ヴィアン『うたかたの日々』の一部が切り取られています。
簡単に説明すると「肺に睡蓮」は、空想上の病気であり、文字通り肺に睡蓮が咲いてしまう病気のことです。
小説の中では主人公の愛した新妻が、その病気にかかってしまい、その病気は幸せな二人の生活を侵してしまいます…
ただ小説を一通り理解したところ、物語性の関連というよりは、著者ボリス・ヴィアンの生き様たる部分に関連性を見出して、歌詞のワードとして採用したのではないかと感じています。
というのもヴィアンは「自分は40歳で死ぬ」と予言しており、実際に39歳に心臓発作で亡くなっています。つまり太く短い人生を生きるべくして生きた人物なのです。
そして彼は「醜いものなんて消えちまえ」と公言するほど鋭利な考えを持っており、描く小説は異常なまでに美しさや愛情を追及しています。
端的に言えば異次元レベルの世界観を持っており、それゆえにエキサイティングな話ばかりなんですよね。
そうして激しく生きたヴィアンの生き様が、まさに「稲妻の様に生きたい」「感電させたい」といった本楽曲およびドラマの情景に近いもの、似たものがあるのです。これらを象徴したかったのかも知れません。
更に言うと、ボリス・ヴィアンはジャズ・トランペットの演奏者としての顔も持っており、一発目のイントロがトランペットで始まるジャズテイストの「感電」とバチっと合ってくるのです。
掘れば掘るほど深すぎる楽曲…
『感電』は“今この瞬間”を激しく生き、そして暗闇から脱却せんと光り輝く二人の主人公の生き様を色濃く描いていたのです。
愛し合うように喧嘩して感電し合って、二人は前に進んでいく、、、
感想
執筆しながら思ったのですが
- 米津玄師の楽曲
- MIU404の主題歌
どちらの視点から見ても100点を取れる、200点満点の楽曲だなと。
本記事ではドラマに寄り添って~ということで、ドラマの登場人物たちを浮かべながら執筆させて頂いていましたが、考察しつつ「はあなるほど、、、」と感心することばかりでした。
自分まで思慮深い人間になった気分…(笑)
【米津玄師/感電】
歌詞の意味考察でした!
スポンサーリンク
コメント
んーいい曲だよねぇー
肺に睡蓮、病気だと思わなかった…
歌詞も曲もすばらしい
考察深堀り、すごいです。
感電の曲を下から順番に歌っても変な歌詞にはならないのが不思議中の不思議。皆さんも感電を下から順番に歌っていって見てください。
最初二人のことかと思ったけど、何かしっくりこなくて、クズミが出てきてこれは実は彼の歌では?と思うと、特に三番はしっくりきました。
ヴィアンの思想とも一致するし。
あと、背景に震災が敷かれてるので、関西弁に惑わされてるけれど、クズミが震災体験者だとすれば、「お前が消えた朝」が志摩だけのセリフじゃないのかなと思ったり。