【YOASOBI／群青】歌詞の意味を徹底解釈！原作『ブルーピリオド』と合わせて解説。

３番

何枚でも
ほら何枚でも
自信がないから描いてきたんだよ
何回でも
ほら何回でも
積み上げてきたことが武器になる
周りを見たって
誰と比べたって
僕にしかできないことはなんだ
今でも自信なんかない
それでも

不安な気持ちをかき消すように、主人公は何枚も何枚も描き続けます。

「描く」の目的語がありませんが、今回は美術を題材とした原作なので文字通り ”絵を” 描いています。

しかし一曲通じて一度も「”絵を” 描く」などと表現されていないのは、私たち聴き手の境遇に合わせていくらでも情景を変えられるようにするためでしょう。

美術の世界ならそのまま ”絵を” 描くことになるだろうし、それ以外のジャンルでも ”成功する未来を” 思い描いて練習や勉学に励むことには変わりありません。

『ブルーピリオド』を原作としながらも、誰しもが楽曲の主人公になれるような工夫が凝らされているように感じます。

練習を重ねようと、今でも自信なんかない。

それでも主人公は自分の積み上げてきたものや自分にしかできない事を信じて夢を追いかけ続けます。

感じたことない気持ち
知らずにいた想い
あの日踏み出して
初めて感じたこの痛みも全部
好きなものと向き合うことで
触れたまだ小さな光
大丈夫、行こう、あとは楽しむだけだ

好きなものと出会い、好きなものを好きだと言って本気になって向き合う。

その過程で積みあげてきた痛みや想いのその全てが、主人公の光になります。

この主人公の物語には、明確なゴールが設定されています。

『ブルーピリオド』の原作通りなら美大の入試。高校野球なら甲子園。高校文化部ならば総文祭。

その場所は人それぞれでしょうが、本気で好きなものと向き合う以上はその発表の場があるはずです。

挫折を味わいながら、何回も何回も努力して本気になって取り組んで。

「大丈夫、行こう、あとは楽しむだけだ」

そこには本番に向かっていく主人公の姿があります。

ラストサビ

全てを賭けて描く
自分にしか出せない色で
朝も夜も走り続け
見つけ出した青い光

「全てを賭けて描く」

原作通りに捉えればそれは絵を描くことであるし、もっと一般的に捉えればそれは ”一つの物語を” 描くことにもなるでしょう。

最後の表現の場で、自分にしか出せない色でこれまで積み上げてきた全てをぶつける。

入試や部活動を経験された方ならばわかっていただけると思いますが、そこには得も言えぬ美しさがあります。

好きなものと向き合うこと
今だって怖いことだけど
もう今はあの日の透明な僕じゃない
ありのままの
かけがえの無い僕だ

好きなものを好きだと言うことはいつまで経っても怖いまま。

それでも今の主人公は、かつての何事にも必死になれなかった無色透明な僕ではありません。

オリンピックや高校野球なんかがその最たるものですが、夢を追いかける誰かの姿は、傍から見れば美しい輝きを放っています。

必死になって青春を謳歌した主人公は、まさしくタイトル通り『群青』に輝いているのです。

知らず知らず隠してた
本当の声を響かせてよ、ほら
見ないフリしていても
確かにそこに今もそこにあるよ
知らず知らず隠してた
本当の声を響かせてよ、さあ
見ないフリしていても
確かにそこに君の中に

最後は再び美しい合唱パート。

その歌声は楽曲を単に締めくくるだけでなく、曲を聴いている私たちに「本当の声を隠したままでいいの？」と訴えかけているようにも感じます。

大人になって、いつしか隠すようになった本当の自分。

きっとそれは子供の頃の姿のまま、心の中でいつか声を響かせる日を待ち続けています。

「本当の声を響かせてよ、さあ」

今のままの自分でいいのか、改めて考えさせてくれる美しい楽曲でした…！

感想

何の不自由もない、無難な生活を送る。

そんなどこにでもいる主人公が、必死になれるものを見つけて夢を追いかける物語。

青春は美しい。夢を追いかけることって素晴らしい。

いつしか大人が目を背けていた、当たり前で大切なことにもう一度気付かせてくれる素敵な楽曲でした！

【YOASOBI／群青】

歌詞の意味の解釈でした！