3番
何処かから不意に
微かに聞こえてきたのは
ピアノの音
遠い日の音
帰り辿り着いた男は家の中で、ピアノの音が鳴っていることに気付き、家の中に駆ける。
実は男の正体は「元ミュージシャン」だったのです。世界が滅ぶと知る前は、今はなき親友と一緒に音楽活動を行っていた。親友はキーボード、男はギター。
だから今聞こえてきた「ピアノの音」を「遠い日の音」と重ね合わせ、男は彼女にいる部屋に近づいていくのです。
誘われるままに
呼吸を合わせるように
重ねた音
心地良くて
懐かしくて
幾つも溢れてくる
ピアノを弾いていた彼女は「一緒に弾きませんか?」と男を誘う。誘われた男は嫌々ながらもギターを手に取る。
そしてここから男の心境に大きな変化が生まれます。嫌々ながらセッションをしていたはずなのに、心は弾み、彼女とリンクするように演奏の手が動いていくのです。
いつしか蓋をして閉じ込めていた記憶
奏でる音が連れてきた思い出
気が付けば止まったピアノ
いつの間にか流れた涙
続きを鳴らそう
彼女に呼応する中で、男は親友と音楽に明け暮れていた日々を思い出す。
もう絶対に戻ってこない親友との日々だから「蓋をして閉じ込めていた」のに、彼女の奏でる音が親友とのセッションを思い出させたのです。
最後の日に何を祈りたいのか、何を願いたいのか。その答えが今この瞬間だったのだと男は気付く。
そしてふと気づけば彼女がピアノを止めて自分のことを見ている。男は涙を流していたのです。きっと世界の終演に近づくにつれて感情なんてものとは疎遠になっていたはずなのに…
ラストサビ
ありふれたあの日々をただ思い返す
終わりが来ることを待つ世界で
辛い過去も嫌な記憶も
忘れられないメロディーも
さよならなんだ
内容的にはサビ1と同じですが、
今日でさよなら→さよならなんだ
といったラスト一文の変化は「今日でさよなら」に対する憂いが強くなったことを示しているのでしょう。
せっかく最高の瞬間を迎えたのに、ずっと忘れていた感情を思い出せたのに、この時間は長く持たないのです。
今ここで好きなようにただ音を鳴らす
最後の日に二人きりの街で
ありふれたあの日々をただ想い奏でる音が
重なり響く
最後の日を痛感しながらも、そんなことは口にせず、彼女の音に合わせてギターの音を鳴らし続ける。
最後の日に二人きりのこの場所で。
明日世界は終わるんだって
明日世界は終わるんだって
もしも世界が終わらなくって
明日がやってきたなら
ねえ、その時は二人一緒に
なんて
一心に音を奏で、二人は世界の終演を待つ。
いつまでもこの時が続けばいいのにと思いながら。
彼女と心まで繋がった気がする男は「もし世界が滅びずに明日がやってきたなら、そのときは二人一緒に旅をしないか」なんて言葉が頭を過りながらも、何も言わずに演奏を続ける。
タイトル名「アンコール」には「もう一回の演奏を何度でもしたい。」という人生最後の願いが込められていたのです。
そしてきっと「彼女と一緒に明日を迎えてみたい」という切実な願いも入り混じっているのでしょう。
世界最後の日に二人は出会ってしまった。
感想
小説を読んで音楽を聴く。
その行動をとったときに私が感じた切なさや儚さはきっと歌詞解説の中で100%表現できていません。それくらい本作品は心にくるものがありました。
そして本楽曲には、ありふれた日常の輝きといった教訓も埋め込まれているんだろうなと感じました。
失った過去を想起して涙を流した彼はもちろん、嫌な記憶が多くあるピアノを弾き続けた彼女の本心も、ありふれていた日常を愛しく感じていたからに違いありません。
明日世界が滅ぶとしたら、好きな人や友人に会いに行く。
そんなありきたりな回答しか思いつかなかった筆者ですが、本作品にはすごく心を打たれました。
【YOASOBI/アンコール】
歌詞の意味の解釈でした!
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コメント
何かの作品の主題歌か何かを例えてるのかなーと思っていましたがそういう事だったんですね…素敵な曲です。
ありがとうございます。ずっと知りたかったので本当にありがとうございます
私も本好きです
YOASOBIの考察お願いします
長々とすいません。
アンコールを聞いていて
「この世界が長く続いて欲しいなぁ…」
と思ってしまうのがこの曲…
アンコールを今までずっと聞いてきて、ここで初めて意味が分かって、
ほんとに感動しました。
いつまでも世界が終わることなく続いてほしい。
この2人がこの世界を、
「アンコール」できますように。