3番
もう嫌だって疲れたんだって
がむしゃらに差し伸べた僕の手を振り払う君
もう嫌だって疲れたよなんて
本当は僕も言いたいんだほらまたチックタックと
鳴る世界で何度だってさ
君の為に用意した言葉どれも届かない
「終わりにしたい」だなんてさ
釣られて言葉にした時
君は初めて笑った
「いつか分かり合える」
と言い聞かせていた主人公でしたが、いよいよ心に限界がきます。
歌詞で綴られているように
「終わりにしたい(人生を)」
と心にもないことを君に言い放つのです。
この二人の関係性は少々異質的ですが、一般的なカップルの日常に置き換えても主人公の気持ちは共感できるのではないでしょうか。
カッとなって心にもないことをつい言ってしまうことってありますよね。
ただここからの展開が驚きで
君は初めて笑みをこぼします。
今までどんなに励ましても、うんともすんとも言わなかった君が、主人公が「終わりにしたい」と言った瞬間、なぜか笑ったのです。
ラストサビ
騒がしい日々に笑えなくなっていた
僕の目に映る君は綺麗だ
明けない夜に溢れた涙も
君の笑顔に溶けていく
不可解な君の笑みでしたが、はじめて見る君の笑顔に、今まで君を想い通りにできなかった煩わしさはスッと消えていく。それもそのはず、そもそも主人公は君の望みを叶えてあげたかっただけに過ぎなかったから。
必死に明るい未来を描こうとしていたのも君がそれを願っていると解釈していたからに過ぎません。君の笑顔こそが主人公にとっての絶対正義なのです。
変わらない日々に泣いていた僕を
君は優しく終わりへと誘う
沈むように溶けてゆくように
染み付いた霧が晴れる
忘れてしまいたくて閉じ込めた日々に
差し伸べてくれた君の手を取る
涼しい風が空を泳ぐように今吹き抜けていく
繋いだ手を離さないでよ
二人今、夜に駆け出していく
君の笑顔により、飛び降りるときにわざわざ連絡をくれていた意図を理解することになる。
原作であったように、君は主人公に引き止めて欲しかったのではなく、一緒に飛び降りたかっただけだったのです。
タナトスに支配されている人間には死神が見えると紹介しましたが、実は主人公もタナトスであり君の存在そのものが死神だったのでしょう。死神はその人の最高の理想像を映す。だから主人公は君に有無を言わさず惚れてしまった。
普通なら一緒に飛び降りるのを拒む場面でも、そうしなかったのはやはり彼女が“理想”だったから。
理想のゆえに、言い換えれば愛情の深さゆえに君の願いを拒むことができず、二人は「夜に駆ける」のです。
個人的に、飛び降りてから地面に着くまでの僅かな時間でも笑顔の君と重なり合いたかったのかなと解釈しています。だからこそMVのラストは二人が唇を重ねるシーンで美しく締められている。
感想
あまりに原作の再現度が高く、「考察」というよりは完全に原作をなぞるような形の「解説」になってしまいましたが、気づけば私自身この楽曲ひいては小説の世界観に引きずり込まれていました。
「生死」を扱うものがテーマになっているため、題材としては重いはずなのに「愛の美しさ」がそれを中和させている。切なくて悲しいラストのはずなのに、胸の中に残ったのは「温かさ」でした。
この絶妙なバランス感が私の心を奪っていった要因なのかなと自己解釈しています。
ちなみに上は小説のリンク。
時間がある方は是非お読み下さい。
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YOASOBIの他楽曲の考察記事はこちらから。
【YOASOBI/夜に駆ける】
歌詞の意味の解釈でした!(‘ω’)
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コメント
よるにかける、大好きだから、意味がしれていいですね。
そうですよね…。 すごく心に染みるし、意味がわかると悲しいですよね
最初は意味がわからなかったんですがタナトスの誘惑と夜に溶けるを見てわかりました(当たり前ですがw) 生まれ変わったら2人が結ばれますように…
また二人が生まれ変わって巡り会えますように
メロディーの爽やかさと歌詞のギャップになんともいえない気持ちになりました
詩もいい楽曲いい幾田りらさんの声もいい最高の曲なんだけど、何故か内容を理解すると切ない・・・
テナトスの誘惑買ってみようかな?
同じ解釈をしていらっしゃる方もいますが、「君」は元々、亡くなっていた人(もしくは「君」に姿を変えた死神)なのではないでしょうか。
この曲のPVで、3回落下するシーンがありますが、1度目は「君」一人が落下しています。2度目の落下シーンも主人公が君が飛び降りるのを止めている時期にもかかわらず君が主人公を落としているような状況にも見えます。3度目も二人の位置関係は同じです。
夜に駆けるめっちゃいい曲ですよねー。
夜にかけるめっちゃくちゃ大好き。だから意味を知れてよかった
どうして一緒に飛び降りた二人の、僕は目を閉じている(死んでいる)のに、君は生きているんですか?
曲調明るいけど詩が死にたい系のばっかりって言うのがボカロ出身作者に多くて、曲は良いのに残念だなと毎度思う。一作ならまだしも、そんなのばかりだからね。
この曲が実は自殺の暗い曲なんだと知った後に、カラオケで歌わなくなった人をたくさん知ってる。物語の表現って意味では良い作品なんだけどね。この手の曲が多いので食傷気味。
良い曲。