【YOASOBI】の「怪物」について、歌詞の意味を徹底的に考察および解説していきたいと思います。
✔ 注目の原作ストーリー
✔ 描かれる葛藤と決意
原作『BEASTARS』の物語を簡単に紹介しながら「怪物」の歌詞を考察していきます。是非最後までお読みください…!
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アニメ『BEASTARS』第2期OP
今回紹介していく「怪物」は2021年1月より放送されるテレビアニメ『BEASTARS』第2期のオープニングテーマとして製作された楽曲です。1月6日には楽曲の配信リリースもスタートしています。
「夜に駆ける」で紅白歌合戦への出場を果たした ”小説を音楽にするユニット” YOASOBI。
今回の楽曲は『BEASTARS』原作者の板垣巴留さんによる書き下ろし短編小説『自分の胸に自分の耳を押し当てて』をもとに制作されています。
小説は漫画(アニメ)『BEASTARS』の物語を切り取ったようなお話となっていますので、わかりやすく言えば「怪物」は『BEASTARS』の世界観を基に作られた楽曲です。
楽曲について、作詞・作曲を務めたAyaseさんは
BEASTARSという一つの物語、その世界観、そして原作となるオリジナル小説に綴られたレゴシの葛藤、悶々とした気持ち、その中から導き出した彼の決意を、この『怪物』という楽曲に詰め込みました。 大好きな作品のアニメ第二期、新たな幕開けのタイミングでこうやって携わることができること、本当に嬉しく思います。アニメと合わせて、この楽曲のことも愛していただければ幸いです。
とコメントされています。
「怪物」で歌われているのは一体どんな物語なのか。
今回の記事では歌詞を見ながら考察していきます。
原作を知らない方にも楽しんでいただけるよう、簡単に原作の内容をご紹介しておきます。
『BEASTARS』とは
『BEASTARS』は擬人化された肉食獣と草食獣が共存する世界を舞台に、全寮制の学校「チェリートン学園」へ通う動物たちのドラマを描いた作品です。
主人公はハイイロオオカミの少年レゴシ。ある日学園内で草食獣の生徒が肉食獣に食殺される事件が発生し、レゴシは容疑者として疑いの目を向けられながら事件に巻き込まれていきます。
楽曲「怪物」はそんな物語の中でも、とりわけあるワンシーンに焦点をあてて歌詞が書かれています。
そのシーンこそが小説『自分の胸に自分の耳を押し当てて』で描かれている場面です。
楽曲の世界観を手っ取り早く掴むのであれば、やはり原作小説を読んでしまうのがベスト。
『自分の胸に自分の耳を押し当てて』は『BEASTARS』ホームページにて無料で全文が公開中です。
小説と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、5分で読める程度の超短編小説です。
お時間に余裕のある方は是非。
小説はちょっと…という方向けに、小説の要約を載せておきます。
- 主人公レゴシはウサギのハルという少女に心惹かれている
- レゴシは事件の真相を追う中で、食殺犯による襲撃を受け敗北し、自信を失っている
- 世界には裏市があり、非合法的に草食獣の肉が流通している
- レゴシは自らの肉食獣としての本能と葛藤しながらも、草食獣たちを守ることを決意する
- レゴシは事件の真相を掴むため、肉食獣だらけの裏市へと歩き出す ー
この原作小説のストーリーを知ったうえで楽曲を聴いてみると、歌詞が何を描いているのかが格段に鮮明に見えてきます。
原作の内容を確認したところで、さっそく本題の歌詞をみていきましょう!
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歌詞
素晴らしき世界に今日も乾杯
街に飛び交う笑い声も
見て見ぬフリしてるだけの作りもんさ
気が触れそうだ
クラクラするほどの良い匂いが
ツンと刺した鼻の奥
目を覚ます本能のまま
今日は誰の番だ?この世界で何が出来るのか
僕には何が出来るのか
ただその真っ黒な目から
涙溢れ落ちないように願う未来に何度でもずっと
喰らいつく
この間違いだらけの世界の中
君には笑ってほしいから
もう誰も傷付けない
強く強くなりたいんだよ
僕が僕でいられるように素晴らしき世界は今日も安泰
街に渦巻く悪い話も
知らない知らないフリして目を逸らした
正気の沙汰じゃないな
真面目に着飾った行進
鳴らす足音が弾む行き先は
消えない消えない味が染み付いている
裏側の世界清く正しく生きること
誰も悲しませずに生きること
はみ出さず真っ直ぐに生きること
それが間違わないで生きること?
ありのまま生きることが正義か
騙し騙し生きるのは正義か
僕の在るべき姿とはなんだ
本当の僕は何者なんだ
教えてくれよ
教えてくれよ今日も
答えのない世界の中で
願ってるんだよ
不器用だけれど
いつまでも君とただ
笑っていたいから
跳ねる心臓が
体揺らし叫ぶんだよ
今こそ動き出せ弱い自分を何度でもずっと
喰らい尽くす
この間違いだらけの世界の中
君には笑ってほしいから
もう誰も泣かないよう
強く強くなりたいんだよ
僕が僕でいられるようにただ君を守るそのために
走る走る走るんだよ
僕の中の僕を超える
作詞:Ayase
歌詞の意味・解釈
1番
素晴らしき世界に今日も乾杯
街に飛び交う笑い声も
見て見ぬフリしてるだけの作りもんさ
気が触れそうだ
クラクラするほどの良い匂いが
ツンと刺した鼻の奥
目を覚ます本能のまま
今日は誰の番だ?
先述した通り、今回の楽曲の原作である小説『自分の胸に自分の耳を押し当てて』で描かれているのは主人公・レゴシが食肉が流通する裏市へと向かうワンシーンです。
今日も健全に肉食獣と草食獣が共存する素晴らしき世界。
しかしそれは表向きの姿。
その実態は、草食獣の食殺が秘密裏に行われていることを誰もが黙認している残酷な世界です。
《街に飛び交う笑い声も 見て見ぬフリしてるだけの作りもんさ》
《今日は誰の番だ?》
今日も裏市では新鮮な草食獣の肉が密売されています。
主人公のレゴシは理性から他者を傷つけることを拒み食殺を嫌悪しているものの、彼の種族がオオカミである以上その本能を消し去ることはできません。
彼が事件の真相を突き止めるべく向かっているのは、まさしく食肉が店頭に並んでいる裏市です。
《クラクラするほどの良い匂いが ツンと刺した鼻の奥》
彼は肉食獣としての本能を抱えながら、暗い闇を抱えた社会と対峙しています。
ここまでの歌詞を見ればわかるように、「怪物」で描かれているのは『BEASTARS』の世界観そのものです。
この世界で何が出来るのか
僕には何が出来るのか
ただその真っ黒な目から
涙溢れ落ちないように
この巨大な闇を抱えた世界で、一体自分には何ができるのか。
自分の本能も抑えられないようなこの僕が。
まして自分は食殺犯との戦闘で負けたばかり。
こんな弱い自分に一体何が出来るのか。
そんな悶々とした思いを抱えながら、彼は街を歩いていきます。
サビ1
願う未来に何度でもずっと
喰らいつく
この間違いだらけの世界の中
君には笑ってほしいから
もう誰も傷付けない
強く強くなりたいんだよ
僕が僕でいられるように
《君には笑ってほしいから》
原作小説から推測するに、”君” とは主人公が心惹かれているウサギの少女の事だと思われます。
間違いだらけのこの世界。さらに自分も肉食獣として、大切な人を傷つけ得る存在。
それでも君が笑って暮らせるように、僕が理性を保って僕で居られるように、もっと強くなりたい。
そんなレゴシのまっすぐな想いがサビでは綴られています。
2番
素晴らしき世界は今日も安泰
街に渦巻く悪い話も
知らない知らないフリして目を逸らした
正気の沙汰じゃないな
真面目に着飾った行進
鳴らす足音が弾む行き先は
消えない消えない味が染み付いている
裏側の世界
《素晴らしき世界は今日も安泰》
誰も悪い噂なんか知らないフリをして、何も知らないかのように振舞っていればそれは間違いなく安泰でしょう。
誰も社会の闇に触れなければそれは無いも同然。
《正気の沙汰じゃないな》
主人公はそう吐き捨てます。
主人公が歩いているのは裏市近郊。
町を行き交う肉食獣たちの出で立ちは皆様々ですが、その目的はたった一つだけです。
《消えない消えない味が染み付いている裏側の世界》
真面目に着飾った行進が足音弾ませて向かう先は裏市。
皆が草食獣の肉を求めています。狂気的。
次の歌詞では主人公の抱える葛藤にスポットライトが当てられます。
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コメント
最高です、、、
とても面白かったです!意味がわかったので、今後ますます楽しんで聞けそうです‼︎
これからももっと教えて欲しいです。頑張ってください!応援してます。
なるほど!!
よくわかりました☺️Beasters怖いドラマっぽいけどとても興味深い
考察、とても良かったです!
ありがとうございました!
補足ですが、1番の真っ黒な目は
うさぎのハルのことかと思います
原作でも出てきていたので、多分、、
この曲大好き!
ikuraちゃんのいつもとは違う雰囲気の声も好きだしリズムも好き。
最後の「僕の中の僕を超える」のところがめっちゃ好き!
元からこの曲好きだったけど、考察聞いてもっと好きになりました!
とてもいい考察を、ありがとうございます!
これからも頑張ってください!
素晴らしい解説ありがとうございます