2番
伝えれば済むと分かってること
「遠くに行かないでよ」
って少し、胸が言いたい
寝つけない夜に 暴れ出す鼓動
私の中溢れ出す愛情で
締め付けたい
2番の歌詞ですが、心情描写がもう凄まじいです。
《胸が言いたい》なんて慣用句は存在しないんだけれど、あの痛いほど思っているんだけれども言葉にはできない感覚は《胸が言いたい》という言葉でしか言い表せないような気がしてきます。
ただ等身大でまっすぐなだけでなく、このあたりの言語感覚の美しさも彼女の魅力の一つなのでしょう。
《私の中溢れ出す愛情で 締め付けたい》
そんな恋愛の我儘で猟奇的な部分も、そのまま言語化して美化されないままで歌になっています。
ずっと笑っているのも
起きてすぐ描くアイラインも
ただ貴方に、貴方に認めて欲しいから
可愛らしくてめちゃくちゃピュアな歌詞ですね。
性別すらも超越して、愛のないセックスだとか崖っぷちの愛だとか、ありとあらゆる恋愛を歌にしてきたあいみょん。
もはや相当な恋愛の手練れであるはずなのに、今になってなお、あたかも「これが私の初恋です!」みたいな顔でこんな歌詞を書いてしまうのだから彼女は恐ろしいです。本当に。
サビ2
誰にも負けないような
ぬくもりで貴方のことを
抱きしめてあげられる
自慢できるほどの恋はしたことがないけど
私は貴方を
2番のサビも1番同様に、”貴方” を思う女性の気持ちが繊細に切り取られています。
《誰にも負けないような ぬくもりで貴方のことを 抱きしめてあげられる》
最近のあいみょんさんのラブソングは、今までにも増してどんどん純真さを増しているような気がします。
ただでさえ等身大で楽曲を歌ってきた彼女ですが、これまでの楽曲は男目線で描いてみたり、自暴自棄になっていたり、二人の日常を描いてみたり、既に事後だったりしました。
しかし「桜が降る夜は」「裸の心」そして今回の「ハート」は本当に何の背伸びもしていない、ただ「好きだ」という彼女の恋心の無防備な部分が描かれているのです。
”裸の心” で恋心をただ真っ直ぐに歌う。
それが今の日本の音楽シーンの中心に立つ彼女の現在地なのではないでしょうか。
3番
たまに怒らせたりして
優柔不断に泣いて
貴方を困らせる天才だね
でも、ふたり結ばれてから
始まる恋もあるよ?
だから 今日も 貴方を想ってる
《でも、ふたり結ばれてから始まる恋もあるよ?》という歌詞は、明らかにドラマのストーリーを受けてのものとなっています。
婚姻届に判を捺した後から始まる、不思議で歪な恋の物語。
思えば、彼女の描く恋愛は、いつも満たされた形ではありませんでした。
王道ポップチューンの「マリーゴールド」はともかく、「愛を伝えたいだとか」や「ふたりの世界」、その他カップリング曲やアルバム収録曲で描かれる恋はそのほとんどが順風満帆ではなく、しかし確かに恋と呼べる形ではありました。
何も今回の楽曲に限った話ではなく、あいみょんさんの思う “ハート” の形はずっと「婚姻届に判を捺しただけですが」のような歪な関係だったのかもしれません。
”ハート” の形をそのまま描き切った、どこまでも純真なラブソング。
【あいみょん/ハート】
歌詞の意味の解釈でした!
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